ボロボロの『リバーパトロール』のアーケード基板です。
川から拾ってきたのかと思うくらい状態が悪いので、ママレモンで洗ってから天日干しにします。
ママレモンで洗って天日干しにしました。上の写真と見比べると綺麗になりました。
過去2枚ではコンデンサの交換が重要だったので一通り交換しました。
とりあえずEPROMを吸い出そうとするも、ROM1と3の脚がもげました。これは嫌な予感がします・・・。脚を付けて吸い出してみると「River Patrol (Japan, unprotected)」でした。
PROM(MB7051)を取り外そうとしたらサビサビのボロボロで、脚を付けようとヤスリがけをしたら別の脚がもげるといった状況です。これ以上触ると危ないのでTESLAのMH74188で焼き直しました。
Z80もサビサビ、ソケットもボロボロなので交換していきます。
ソケットを外したところです。全体的にボロボロですがパターンを追う参考になるかとは思います。IC下のパターンも見たかったので、このままサビサビIC&ソケットを一斉に交換していきます。
ソケットとコンデンサを交換してもウンともスンとも反応がないので、Z80のCLOCK(6)を見ると波形が来ていません。
クリスタルから7Uの74LS368に来ていますが、オシロとデータシートで見るとどうにも波形が変なので外して調べてみます。
IC死亡の図。交換したところZ80へCLOCKが入りましたが、まだ絵も出ません。
色に関してはPROMが司っていると判断し、OUT部分を見ると全く信号が出ていませんでした。
そしてCE(15)の波形が浮いており、パターンを追いかけると2Cの74LS139のDATA OUTPUT部分でした。74LS139を交換すると無事に波形が出ましたが、それでもPROMのOUTは沈黙しています。
PROMから波形が出力されてない問題については82S123(スリーステート)の代替え品としてTESLAのMH74188(オープンコレクタ)を焼いただけのためです。OUT部分に抵抗を入れプルアップさせることで波形が出ました。
上ボードへと戻り、浮いている波形を探していきます。2Fの11がどう見ても浮いているので、パターンが断線している模様です。
パターンを追いかけると2Aの16へと繋がっていますが、テスターで導通確認をすると断線していました。全体的にズタズタなのでそれが原因でしょう。裏面からジャンパさせると波形の出力は改善しています。
「DATA信号が変」という問題を解決すべく、各ICのデータ信号をチェックするとPSG(AY-3-8190)のDA0が浮いていました。
パターンを追うと2Rの13から2Dの13の間で断線している模様です。裏面からジャンパしたところ、DA0にも信号が入るようになりました。
ローラー作戦で他のICを調べ、以下の対応を行いましたが特に進捗はありませんでした。
・下ボード3P(74LS273)の全出力がNGだったため交換
・同じく下ボード4N(74LS157)の12がHIGH固定だったので交換。
そして6Fの7425(サビサビ)を取り外すと脚がもげてしまったので発注しました。PROMに続くサビサビの被害です。
上ボードのDATA信号からゴミが出る問題は、DATAに関するIC(Z80横の245、DRAM、EPROM)をひとつひとつ外して検証しました。その結果EPROM5が引っ張っている模様です。ROMライターのチェックも通っていたので気付くのに時間が掛かりました。焼き直したところDATAの波形は良さそうに見えます。
動作品の基板を見ることができたのですが、交換した2Kの6は脚を浮かせてジャンパさせていました。ICにジャンパさせている系は外す前に上と横の写真を撮るべきだと噛みしめます。
脚を浮かせて立ち上げると画面には「D 8800」とエラーテキストが表示されました。
この8800とは何かとMAMEのソースを見てみると
>map(0x8800, 0x88ff).ram().share(“bigspriteram”);
とあるので、大きなスプライト=自機の船用RAMのエラーではないかと判断しました。
吸い出していたROMを眺めてみると8と9が自機の船だったので、この横の2114がbigspriteramに該当するはずです。
EPROM横の2114を2個取り外し、チェック機に掛けると1個はエラーを吐きました。ただし交換しても改善しなかったので他も壊れているのでしょう。
ここでようやく過去に修理した2枚目の『リバーパトロール』を借りてきました。下ボードは同じだと思ったら型番が「OVG-50A」と「OVG-50B」と微妙に異なり、基板の設計も微妙に違っています。何かを『リバーパトロール』にコンバートした版と純粋に『リバーパトロール』用として出たそうでない版とかでしょう。
ひとまず下ボードを3枚目、上ボードを2枚目(動作品)にして立ち上げると・・・
起動しました。色がくすんでるのはオープンコレクタのPROMを無理矢理プルアップしているからでしょう。抵抗値を変えるなり、焼き直すなりをすれば改善するはずです。これで故障しているのは上ボードということになります。
ここまで来て立ち上がりもしないとなるとZ80に繋いでいるジャンパを間違っている他ないと判断し、同じ型番の上ボードを借りて見比べました。その結果Z80(22)のジャンパは不要であるという結論が出たので取り外します。
外すと立ち上がりました。パターンがボロボロの基板は回路図か動作品があるとないとで本当に違うというわかりやすい例ではないでしょうか。3面まで遊んで問題が無かったのでこれで修理完了でしょう。
【作業内容】
・基板洗浄
・コンデンサ全交換
・EPROMの脚修復x2
・EPROM焼き直し
・PROM焼き直しx3
・Z80,AY-3-8190交換
・ソケット複数交換
・クリスタル交換
・74LS368交換
・76LS139交換
・7425交換
・2114交換
・ジャンパ飛ばし