エスケープ 『ワンダーボーイ』(sys2版)の修理

eBayで未チェックのsystem2版『ワンダーボーイ』を入手しました。セガのsystem1は『ピットフォールII』『フリッキー』で見てきましたが、修理でsystem2を見るのは初めてです。

立ち上げるとまったく画面が出ません。早速見ていきましょう。

メインCPUを調べてみると(6)のCLOCKは来ていますが、(26)のRESETがLOWですので、ここが原因でしょう。

『チョップリフター』の回路図があるので見てみると、Z80(26) → IC48の74LS04(10) → (11) → IC74の839-0001(7)へと辿り着きます。839-0001は『モンスターランド』と交換してみましたが、変わらなかったので異常なしでしょう。

CPU周辺のICを見ているとIC56の74LS244の出力が浮いていたので、とりあえず交換しておきます。

交換するも特に症状は変わらず。

メインCPU、カスタム、サウンドCPUが片側ソケットだったので、今後のトラブルを見越して交換しておきます。

RESET周りを見ても何も解決しない(長時間放置すると何故かHIGHになるのも謎)ので、回路図の1P目、起動に関係しそうな部分を見ていくことにします。

315-5138の脚が2本折れています。根元から折れてる上に、他もボロボロだったので焼き直します。

PALへの入力信号を見てみると315-5137(2)が浮いています。これはIC16の74LS669(14)から来ているので、ここが壊れていると判断して間違いないでしょう。

この周辺のICがやたらと壊れているので、他のICも出力を調べていきます。

IC23の74LS669の出力もHIGH固定でした。回路図を見る限りそんなことはないはずなので、交換します。

交換しました。やはりこの周辺に故障ICが集まっているように見えます。

その隣、IC24の74LS155(2)が浮いています。

入力元を辿るとIC33の74LS08(8)でした。

(9)には信号が来ているので、このICの故障でしょう。交換します。

浮いている信号を調べているとIC27の74LS273(11)が怪しいです。(11)はCLOCKなので、信号が来ていないとおかしいです。

どこから来ているか調べると、IC42の74LS164でした。出力波形が全部おかしかったので取り外します。

74LS164は手元になかったので、発注して一旦はお開き。

74LS164が届いたので取り付けますが、まだ起動しません。RESET信号は上下にパタパタ動いていました。

まだこの辺のTTLが怪しいだろうと調べてみると、IC56の74LS157の出力がおかしいです。

交換するとRESET信号がちゃんと出るようになりましたが、画面は変わらず真っ暗です。

起動に関わってそうだなあと思ったIC50の315-5139は(1)(2)(3)が入力ですが、いずれも信号が入っていません。これはIC51の74LS161(12)(13)(14)から出力されていますので、回路図を見ていきましょう。

IC51の手前はIC59の74LS74。そこからIC80の74LS32(6) → (4) → IC72の74HC04(2) → (3) → IC81の74LS139(9) → IC74(5) = 839-0001と辿り着きます。RESET信号もここから出ていましたが、周りのTTLを交換したら正常に動作したので他を当たります。

やっぱり起動に関係するということで、回路図でいう1P目 = CPU周りを見ていきます。

入力は来ているのに、IC46の74LS107の出力がHIGH固定なのはおかしいと思います。

74LS107はなかったのでソケット化だけしてお開き。見た目の割に重傷・・・とまで書いて気付いたのですが、PALの脚が腐食してもげてたのでそもそも状態が悪かった。

74LS107が届いたので交換するも何も変わらず。それもそうで(9)に波形が来ていないのが原因であって、IC自体には問題がなかったということです。

この信号はIC99の74LS139から出ており、入力である(2)がプログラムROMから出ているAD12、(3)はAD13でした。立ち上がっていないからこうなっているんだろう、ということで放置して先に進みます。

焼き直したIC11へ何も信号が入っていないのが気になります。

IC17の74LS669(2)に信号が入っていないのが原因ですが、この信号は一つ横のPALであるIC10(14)から出ています。ここに入っている信号を見てみると(2)(3)(4)(5)へは正常に来ていますが、(6)(7)(8)(9)はHIGHかLOWだけなのでおかしいです。この出本はIC22の74LS669だったので交換します。

交換しました。74LS669は3つも交換している上に、周りも交換されたICだらけです。

立ち上げるとよーーやく起動しましたが背景がおかしいです。

音も出て入力も効いています。ボーイが化けていないので、スプライトは大丈夫だと思うんですが果たして。

背景ROMは異常なし、横の6264 x2も異常なしだったので調べていきます。

SRAMとか色々と調べてみましたが異常なし。背景を生成するのはおそらくIC1の315-5049。IC18の74LS244とIC12の74LS367と背景SRAMへと繋がっています。

カスタムは軽くオシロで見た感じ異常なし(というかあったら死亡)、SRAMは問題がないので間にある74LS244を試しに外してみます。

ここの74LS244を外しても症状は余り変わらず、ということで新品に戻してみます。

正常に絵が出ました。見た感じ波形がちゃんと行き渡ってそうでしたが、そうではなかったようです。というか74LS244が1個おかしいだけでここまで画面が壊れるんだなあと驚いています。

いつ遊んでも4-2で終わるのですが、今回も4-2でした。そこまで問題がなかったのでこれで修理完了とします。結局メインCPUから背景カスタムの間のICがとにかく壊れていた。

【作業内容】
・ソケット交換
・74LS244x2 交換
・PAL焼き直し
・74LS669x3 交換
・74LS86交換
・74LS164交換
・74LS157交換
・74LS107交換(不要)

『ワンダーボーイ』繋がりということで、昔コンテ作業と素材集めをしたPVを貼っておきます。せっかくの『ワンダーボーイ』の仕事だからと、良さそうなシーンを頑張って集めたので見てね。