カプコン 『サイドアーム』(北米版)の修理

色々とありカプコンの名作『サイドアーム』北米版のジャンクを入手しました。出品説明文にはスプライトと背景がおかしいとありましたが、まあ何とかなるだろうと見越しての購入です。

立ち上げると確かにスプライトの半分が出ておらず、背景にも線が出ています。上がゆがんでいるのは同期の問題なので関係ないです。とりあえずスプライトから見ていこうと思います。

スプライトと背景は下ボードで管理されているので下ボードを見ます。回路図を見ると5Eと5Fの2つのSRAMがビデオボードの全SRAMなので、ここのデータの波形を見てみます。

5EのSRAMの出力がおかしいように見えます。

取り外してみたところ問題がありませんでした。このSRAM周辺、回路図だと「LINE BUFFER 1」のICを調べてみます。

7Eの74LS163(11)(12)の波形が浮いています。

ピギーバックするとスプライトが正常に出ました。やはりここが原因でしょう。

74LS163を交換したのでスプライト周りはこれで完了のはずです。次は背景を見ます。

背景ROMはSA_15から22までです。ROMを動作品と入れ替えてみましたがキャラ化けは解消しなかったので、この基板の背景ROMは無罪ということでしょう。

Webにある回路図だと背景ROMの先、「SHEET 10 OF 12」がなかったので自分で調べます。結論からするとROMのDATA信号は11Gの86S100に入って、(7)(8)(9)(10)から出力されます。

(9)(10)の波形が動作品(2枚目の画像)と比べると変です。カスタム不良であって欲しくはないですが、可能性としては十分にあるので取り外してみます。

別のジャンク基板から抜いた86S100へと交換します。ソケットは1.778mmピッチのものが使えます。

カスタムを交換したところ背景不良が直りました。スタートボタンを押すと地球がボゾンに攻められて真っ赤になる訳ですが、ひとまず青く美しい地球が戻ってきました。

遊んでみると一部敵スプライト=今回はアイテムキャリアも兼ねてるキャラの表示がおかしいです。DIPA-8のテストモードでスプライトが見られるので、動作品と見比べてみます。

上が今回の基板で下が動作品の基板です。色もデータもありません。

このSA_06からSA_13がスプライトROMです。脚を磨いた後にROMライターで吸い出してみるとSA_08とSA_09のROMデータが壊れている模様です。

27C256で焼き直したらキャラが微妙に化けています。ROMデータ自体は正常なので、一旦ソケットを交換してみることにします。

ソケットを変えても解決しませんでした。マスクROMの速度が250nsなのに対し、焼いたEPROMの速度が100nsでした。そこが原因の可能性もあるかと思います。

ジャンクのKABUKIクイズ基板に使われていたIntelのD27C256で焼き直してみました。

スプライトが問題無く出ています。没グラフィックのアッシマーも問題ありません。ROM不良と焼き直しといえば北米版『戦場の狼』を思い出します。この頃のカプコン基板のマスクROMはなんとなく死亡率が高い気がします。

一通り遊んでも問題が見当たらなかったので修理完了とします。グラフィックも曲もプレイ感覚も良いので、死んだらどうにもならない部分だけが気になってしまいます。ボスの種類が少ないのも少し気になりますが、『グラディウス』初代も似たようなものなのでそこはまあそういうものでしょう。

【作業内容】
・74LS163交換
・86S100交換
・EPROM焼き直しx2