任天堂 『VSスーパーマリオブラザーズ』と『VSエキサイトバイク』 の修理

eBayで未チェックジャンクの『VSスーパーマリオブラザーズ』と『VSエキサイトバイク』のセットが安く出ていたので購入してみました。立ち上げると両方とも起動しなかったので、早速嫌な気分になります。

過去の成功体験を信じて深く考えずにソケットを交換しました。

ダメです。ウンともスンとも言わないので、プログラムROMの波形を見てみましょう。

信号がパタパタ動いているので、定期的にリセットが入っているのでしょう。

CPUである2A03(3)がRESETですが、ここが上下に動いています。

CPUを交換しても変化無し、プログラム部分のSRAMを外してチェックしても問題ありません。回路図を見る限りCPUとPPUが相互に連携した上で立ち上がり、PPUの出力(39)のALEが出ていないのでPPU不良の可能性が浮上してきました。CPUと違いファミコンからひっぺ剥がせないカスタムなので死んでいると最悪です。

『VSスーパーマリオブラザーズ』のPPUは『VSクルクルランド』と同じRP2C04-0004なので、手元の『VSクルクルランド』のPPUを持ってきたところ起動しました。替えの効かないPPU不良という最悪の結果でした。

RP2C04-0004の乗った別のVS基板を購入し、『VSスーパーマリオブラザーズ』のROMを移植してこちらは完了とします。ジャンクのVSを買うときはPPU不良=基本は詰みという可能性をよーーーーく考えた上で皆様も手を出しましょう。

『VSスーパーマリオブラザーズ』は無事にクリアまで確認しました。『スーパーマリオブラザーズ』の1と2のちゃんぽんなので、ディスクシステムの『スーパーマリオブラザーズ2』がクリアできれば十分楽しめるゲームだと思います。7-4の迷路は独自なので予習しないと死にます。

『VSエキサイトバイク』もPPUからの出力が死んでいたので、別のPPUを付けた所色が変ですが立ち上がりました。色が変なのはPPUの型番違いなのでいいのですが、すぐにリセットが掛かります。

リセット信号が生成される1J/2K/4C/4EのICをチェックしても特段壊れているようには見えませんでしたが、1Jの74LS123の(10)に波形が来ていないのでこれが原因でしょう。ウォッチドッグ異常問題は以前直した『タイムパイロット’84』と同じ症状です。

この波形は5B(3)の74LS32から来ており、74LS32の(1)が浮いているのが原因です。ただこの(1)の信号は8J、つまりは使用していない側のCPUから来ています。試しに同じ基板(MDS-02-CPU)を使っている『VSクルクルランド』と『VSマッハライダー』から、8JのCPUの抜いてみましょう。

『VSマッハライダー』は立ち上がってすぐリセットが掛かりました。これはこの『VSエキサイトバイク』と全く同じ症状です。つまり「MDS-02-CPUは44pin側でのシングル稼働は不可、シングル稼働する場合は36pin側で起動させなければいけない。また36pin側が立ち上がらないと44pin側もリセットを繰り返す」という仕様でしょう。少なくともMDS-05-CPUでは対処済みですが、シングル稼働させる場合は36pin側を使った方が確実でしょう。

『VSスーパーマリオブラザーズ』のマニュアルには「UNISYSTEM(one monitor)の場合は2Jにカスタムを刺し、ROMは6Aから6D、8A/8B=36pin側にROMを刺せ」と書いてあるので44pin側に刺すのは任天堂の想定外ということでしょう。これを見た皆様もシングル稼働の場合は36pin側(サブ)にROMを刺して運用してください。

色はPPUが違うのでおかしいですが、ひとまず36pin側にROMを持って行ったら動いています。PPUは後日なんとかします。

両方ともPPUが死んでいるという近年まれに見る最悪の結果でした。再三言いますが、皆様もVS基板のジャンクを買うときはある程度覚悟しましょう。

PPUチェンジャーなるものが海外にはあるので、そちらをeBay経由で購入してみました。これを使えば型番のPPUでも何とかなるという大変便利な代物です。

ちゃんとした色で『VSエキサイトバイク』が出ています。ファミコン版と比べると表彰台が大変リッチな見た目になっています。VSはPRGが64Kx4の256K、CHRが64Kx2の128Kとファミコン版の2倍だからこそ出来ることでしょう。

もの凄い回り道とお金が掛かりましたが、VSについて少し詳しくなったのでヨシとします。

作業内容
・ICソケット交換
・PPU(RP2C04-0004)交換
・PPU(RP2C04-0003→PPUチェンジャー+RP2C04-0001)へ交換