この修理日記ではお馴染みとなってきた『1942』です。過去に直したのはコピー基板が1枚、テキストが出ない純正基板、立ち上がらない2枚目の純正基板の3枚です。
今回は『バルガス』からの改造(オフィシャル)なので、サブボードが載っていたりと少し見た目が違います。基板にSNKのシールが貼られているので北米版『バルガス』からのコンバージョンでしょう。
立ち上げると背景だけがスクロールしていています。コインを入れてスタートを押すと動いてはいるのでプログラムと背景はOK、テキストとスプライトがダメで音は半分死んでいます。
サブボードのソケットが不安定だったので交換していきます。
こちらは表面の写真ですが、裏面のサブボードのソケットも交換しました。
チラツキは減りましたが特に故障が直るといったことはありませんでした。まずはテキスト面から見ていきましょう。
前の基板ではこの辺の74LS245が怪しかったので、E5の74LS245を見てみます。
片方の波形は正常なのに対し、もう片方の波形は浮いています。
とりあえず変えてみましたが特に変化がなかったので、もう少し丁寧に調べてみます。
テキストが出ないということでSRAMの波形をチェックします。
(1)(2)(3)(4)(22)(23)の波形が明らかに変です。いずれもアドレス線でした。
アドレスはF1と多分J1(フラットケーブル用コネクタがありアルファベットが分からず)の74LS157の出力からSRAMへと繋がっていました。出力がおかしかったので、まあ壊れているでしょう。
交換してみましたのでスイッチオン。
テキストは出ましたがバケバケです。進んでいるのは間違いないのでこのまま頑張りましょう。
SRAM近くにあるE2の74LS273を見てみると(2)(5)=出力部分が出ていません。
これも壊れているでしょうからから交換します。
74LS273を交換したところ大分絵が出てきましたが、微妙に壊れています。この壊れ方はアドレスだろうと判断したのでEPROMからもう一度見直します。
2716(10)→C4の74LS86(3)→(2)→J2の74LS86(8)と辿り着きました。(9)(10)の波形は正常なのに(8)=出力がおかしいのでここの故障でしょう。
交換しました。どんどんとICが交換されていきます。
見事にテキストが出てきました。なかなかの数の富士通製ICが壊れていて『ゲットスター』の修理を思い出します。次はスプライトを見ていきましょう。
スプライトROM付近の74LS273が怪しいと思ったら(11)のCLOCKとGNDがジャンパされていました。『バルガス』からのコンバージョンなので、『1942』では使っていない回路なのでしょう。
回路図を見るとSB-5,SB-6,SB-7からRGBのVIDEO OUTが出ているとあるので、このアドレス線を調べてみると(1)(2)(3)の信号が出ていませんでした。ここが怪しいです。
SB-5,6,7の(1)→E11の74LS273(2)→(3)→D8の74LS20(8)→(9)(10)(12)(13)と繋がっています。
D8の74LS20(13)→D7の74LS174(2)→(3)→D1の74LS257(7)と繋がっています。74LS257(7)は出力で、入力の(5)(6)は正常なのでここが壊れているのでしょう。
74LS257を交換しました。
交換したらスプライトが正常に出ましたが、またテキスト面が壊れています。改めてテキスト面を見るのもちょっと億劫だったので先にサウンドを見ます。
オーディオプローブで当ててみるとA9のPSGから音が出ていません。
交換したところ問題なく音声が出ました。ここは楽に直って良かったです。
電圧を調整してもテキストが崩れるので故障でしょう。気を引き締めて見てみましょう。
L1の74LS86の出力が2Vくらいしか出ていないので変です。これが原因で不安定な表示になっているのでしょう。
L2の74LS86の出力は3Vくらいしか出ていません。こちらも壊れているのでしょう。
74LS86を2個交換しました。ここまでテキスト面だけが壊れているというのも何かありそうです。
問題なくテキストが表示されるようになりました。電圧を調整しても問題ないです。
2面クリアまで遊んだ後は1時間ほど付けっぱなしにしても問題がなかったので修理完了とします。とにかくICが壊れていたので苦労しました。
【作業内容】
・サブボード用のICソケット交換x2
・74LS86交換x3
・74LS157交換x2
・74LS245交換(不要だったかもしれない)
・74LS257交換
・74LS273交換
・AY-3-8910交換