タイトー 『フィールドゴール』 の修理

タイトーの『フィールドゴール』が壊れたとのことなのでお預かりしました。『サーカス』(風船割り)の世界をアメフトに置き換えている、コミカルな雰囲気の漂うブロック崩しの亜流です。

手元にハーネスはないので作成からです。この前作成した『スペースインベーダー』のハーネスとTコネクタは同じなので、具材節約のために『フィールドゴール』Gコネ→『インベーダー』Gコネのハーネスを作りました。

Webにあるマニュアルを追って配線図を作りましたので、こちらにもアップしておきます。※自己責任でお願いします。

立ち上げたところ、画面右の一部が消えているだけでなく、選手にボールを当てた時の「ぱぉぱぉぱぉぷおぉー」といった声が限りなく小さいです。

画面右が消えている症状は、時間を置くと徐々に復活しているように見えます。サウンドは後回しにしてこちらから見ていきましょう。

PROMのソケットが白い→古いタイプのソケット→接触不良になりやすいと判断し、試しにM11のPROMを抜いて脚を磨いて戻したところ改善しました。このソケットのままだと、また動作不良になる可能性もあるので交換してみます。

という訳で画面右の一部が見えない問題は解決しました。次は「ぱぉぱぉぱぉぷおぉー」の音です。

筐体に貼ってあったボリュームの対応表です。ボリュームが実際にどのサウンドを指すのかいまいち分かりづらいと思います。「ぱぉぱぉぱぉぷおぉー」はVR6「ホワード選手が倒れた時の”ポン”の音量調整です。」に該当すると思ったら、VR4「選手にボールをパスした時のホワードヒット音です。」が正解です。胴体に当たっても怒ってるだけだし、頭に当たったら倒れるから「パス」ではないだろうと判断したのが原因でした。

当時のチラシには「走っている選手にボールをパスすると、その背番号の100倍が加算されます(頭にボールが当たると倒れます)。またボールを取りそこなうと、くやしがったりする動作がコミカルで、ゲームを一層楽しくしてくれます。」と表記がありました。

選手にボールを当てるのではなくパスをしている、怒っているのではなく悔しがっているというのが新発見でした。あの時代にここまでの要素を盛り込んだというのは特筆すべきではないでしょうか。

修理に話を戻しますが、回路図だとVRの数字が一つ若いのは『インベーダー』で学んだので、回路図上ではVR3を追っていきます。

ボリューム手前のM67(MC3340)の1では爆音で「ぱぉぱぉぱぉぷおぉー」が出るのに、出力は音量が小さくなっていました。限りなく怪しいのでMC3340を発注し、店頭受け取りの準備が整うのを待つばかりです。

約1週間後、MC3340を受け取ったので、ソケット化の上で交換しました。

これで完治・・・と思い立ち上げるとパドルが左に入りっぱなしという状況になっていました。

何度かゲームを開始させると、ボールがいい感じに跳ね返り「ぱぉぱぉぱぉぷおぉー」は聴けましたが、ゲームができないのでそれ以前の問題です。

オシロを片手に回路図上の「1 PLAYER CONTROL」信号を追いかけていくと、M62の74LS74の出力が1つHIGH固定でした。

試しにピギーバックしてみるとパドルが反応したので、このIC不良が原因で間違いないでしょう・・・ということで交換しました。

問題なくゲームが遊べるようになりました。ある程度遊び、各ボリュームの対応するだろう音声の出力も確認したので、これで修理完了とします。

【作業内容】
・ソケット交換
・MC3340交換
・74LS74交換

ストリートファイター展 | 俺より強いやつらの世界展 |に協力致しました

弊社キャット・ホイ商事は、ストリートファイター展 | 俺より強いやつらの世界展 |大阪会場の設営に協力致しました。

稼働タイトル(『ファイナルファイト』、『スーパーストリートファイターIIX』)とそれに伴うオペレーションのご提案、基板の貸し出し、筐体手配の協力(ナツゲーミュージアム様と共同)・・・と体験コーナーの筐体周り全般を担当しています。

そして「『ストII』は対戦があってこそであり、その様子は別画面に中継したい」という要望を受け、中継ハーネスの作成、アップスキャンコンバーターも含めた貸し出しも行いました。

開催初日には実際にフロアに立ちオペレーションやお客様の案内のヘルプも行いました。海外からのお客様と『ストII』を介してのコミュニケーションを行うという大変貴重な体験をさせて頂きました。

後日『ファイナルファイト』のポスターも貸し出し致しました(『スパIIX』はカプコン様所有品)。筐体の横にポスターがあることで、より作品の魅力が引き立っていると思います。

貴重な原画は写真撮影OK、最新作である『ストリートファイター6』の体験や充実した物販もございますので、『ストII』シリーズに少しでも興味があれば是非お越しください。

コナミ 『タイムパイロット’84』 の修理

海外からジャンクと分かって輸入した『タイムパイロット’84』の基板です。上ボードは動作する、カスタムは無事、ゴミみたいな画面が出て止まるといった症状が書かれていました。早速立ち上げてみましょう。

立ち上げると確かに起動しません。ちょっとだけアニメーションがありますので、起動しようとしているけど何かが邪魔をしている感じでしょうか。

こういう時はCPUを疑うべきなので、6809のリセット信号(37)を見てみましょう。

リセット信号が上下に動いているのは異常事態です。この上下に動く波形を回路図から追っていきます。

IC12Gの6809(37)←(2)←13Hの74LS04(1)←(8)←13Gの74LS10(9)←(12)←13Hの74LS04(13)←(8)←14Hの74LS293と辿り着きました。

74LS29はR0(1)とR0(2)に波形が入っていないとカウント動作になります。つまりはリセットを繰り返しているのはR0(1)とR0(2)に波形が来ていないからとなるはずです。

信号を追いかけると、74LS293(12)(13)←(8)←8Gの74LS00(9)←(6)←15Jの74LS32(4)←MAFRと来ました。

MAFRと書かれている信号が浮いているのでほぼほぼコイツでしょう。

回路図を見ていくと3Aの74LS138の15から変な信号が出ていました。入力は来ており出力が浮いているので、このICが不良と見て間違いないはずです。

74LS138を交換したら起動しました。5面まで遊びましたが特に異常はなかったので、これで修理完了とします。

【作業内容】
・74LS138交換

タイトー 『スペースインベーダー パートII』の修理

今回は『スペースインベーダーパートII』の修理です。インベーダーの移動音がしないということでお預かりしました。

こちらが基板の写真。「TAITO」のロゴが眩しい純正基板です。

インベーダー系基板は手元にないのでJAMMA変換ハーネスから作っていきます。

起動しました。コインを入れてスタートすると再起動するというトラブルに見舞われましたが、下ボードのROMの刺さりが甘かっただけでした。ROMを押し込むことで多少の衝撃を加えても問題なく遊べるようになりました。

説明書や回路図を元に、各ボリュームの対応図をまとめました。

今回は回路図を元にSTEPの信号を追いかけていきます。

26の556→27の7411→100Ω→100Ω→10kΩ→ボリュームとなっているので、オシロとオーディオプローブで566から順に見ていきます。

インベーダーの移動に合わせて波形も出ており、ボリュームの入力部分までごくわずかですが音声が来ていました。インベーダーの上ボードは左に回せば音が大きくなりますが、付け替えられているボリュームは逆だったのもハマりかけた一因です。

よく見るとボリュームは50kΩ(503)なのに交換されたものは10kΩ(103)になっています。外して同じ抵抗値のものを付けます。

同じ抵抗値のボリュームを付けました。これで左回しにすると音量が上がるようになりました。

正しい抵抗値のものにしましたが、引き続き他の効果音に比べると低めです。他の効果音の音量を下げてマスターボリュームを上げることでバランスの良い音量に調整しましたが、マスターボリュームをかなり上げても全体音量が低い気がします。

マスターボリュームのオペアンプであるLM3900Nがソケット化されていたので、試しに手元の新品と交換したところ音量が急激に大きくなりました。LM3900Nはソケット化した方がいいと言われている理由が少し分かった気がします。

【作業内容】
・プログラムROMの挿し直し
・ボリューム交換(10kΩ→50kΩ)
・LM3900N交換

セガ 『ペンゴ』 の修理

セガの名作『ペンゴ』の純正基板です。開発はコアランドだそうですが、現在の権利はセガのものです。

キャラ化けしています。

それだけでなくコインを入れてスタートすると、この画面でフリーズした後にリセットします。

キャラに関するROMはEPR-1640とEPR-1695の2個ですのでここから見ていきましょう。吸い出してデータが一致するか調べたところ正常品でした。戻す際に脚を磨いたらフリーズがなくなったので、そこは接触不良が原因だったのでしょう。

触るとキャラ化けの具合が少し変化するので、念のためICソケットを2個交換しました。

回路図を見ていくとEPROMのデータ信号はIC91の74LS194、IC104の74LS157、IC98の74LS194を通るそうです。

今挙げた3つのICの波形をオシロで調べるとIC104の2と6の波形が変です。この波形の先はIC35の74LS08の11でした。パターン切れではなかったので、入力側の12と13の波形を見てみましょう。

入力は2個来ているけど出力が正常ではない模様です。この74LS08が不良とみて間違いないでしょう。

綺麗に外してチェックを掛けるまでもないので、脚を切ってICを交換します。

直りました。たまに起動がこける時がありましたが、プログラム部分のEPROMの脚を磨いて挿し直したら改善しましたので、これで完了とします。

【作業内容】
・ソケット交換x2
・74LS08交換
・EPROMの脚を磨いて挿し直し

オルカ 『リバーパトロール』の修理 (4枚目)

電池の切れた『リバーパトロール』の基板を買ってきました。電池部分をZ80に置き換えて、ROMを過去に直した基板から吸い出したROMに置き換えます。

ROMの番号が間違っていました。左から5,4,3,2,1という並びが正しいです。

並びを直してスイッチオン。「BADROM 7 05」と出ますので、起動しているのは間違いないです。今までと比べて軽傷のはずです。このタイプのボードは動作品が手元にあるので、入れ替えてみます。

上ボードはNG、下ボードは動作品という状況です。とりあえずROMのエラーが出てるので上ボードのROMをオシロで見ていきますと、4(左から2番目)の13,14,15の波形がチラチラしているので接触が悪いのかもしれません。

怪しい箇所をテスターで調べると、導通したりしていなかったりしています。試しにここのROMを外してみると「BADROM 7 00」。このROMが怪しいのは確定でしょう。

ひとまず4の13,14,15から左右へとジャンパさせてみます。

通電すると「BADROM 7 3D」05から3Dとなると数字が増えているので、何らかの改善があったと思います。もう一度オシロでEPROMの波形を見ると15だけ妙に浮いていました。

焼き直したら起動しました。すぐに直って良かったです。

【作業内容】
・カスタムCPUをZ80に交換
・プログラムROMx5を電池レス版に焼き直し
・パターン修復

オルカ 『リバーパトロール』の修理 (3枚目)

ボロボロの『リバーパトロール』のアーケード基板です。

川から拾ってきたのかと思うくらい状態が悪いので、ママレモンで洗ってから天日干しにします。

ママレモンで洗って天日干しにしました。上の写真と見比べると綺麗になりました。

過去2枚ではコンデンサの交換が重要だったので一通り交換しました。

とりあえずEPROMを吸い出そうとするも、ROM1と3の脚がもげました。これは嫌な予感がします・・・。脚を付けて吸い出してみると「River Patrol (Japan, unprotected)」でした。

PROM(MB7051)を取り外そうとしたらサビサビのボロボロで、脚を付けようとヤスリがけをしたら別の脚がもげるといった状況です。これ以上触ると危ないのでTESLAのMH74188で焼き直しました。

Z80もサビサビ、ソケットもボロボロなので交換していきます。

ソケットを外したところです。全体的にボロボロですがパターンを追う参考になるかとは思います。IC下のパターンも見たかったので、このままサビサビIC&ソケットを一斉に交換していきます。

ソケットとコンデンサを交換してもウンともスンとも反応がないので、Z80のCLOCK(6)を見ると波形が来ていません。

クリスタルから7Uの74LS368に来ていますが、オシロとデータシートで見るとどうにも波形が変なので外して調べてみます。

IC死亡の図。交換したところZ80へCLOCKが入りましたが、まだ絵も出ません。

色に関してはPROMが司っていると判断し、OUT部分を見ると全く信号が出ていませんでした。

そしてCE(15)の波形が浮いており、パターンを追いかけると2Cの74LS139のDATA OUTPUT部分でした。74LS139を交換すると無事に波形が出ましたが、それでもPROMのOUTは沈黙しています。

PROMから波形が出力されてない問題については82S123(スリーステート)の代替え品としてTESLAのMH74188(オープンコレクタ)を焼いただけのためです。OUT部分に抵抗を入れプルアップさせることで波形が出ました。

上ボードへと戻り、浮いている波形を探していきます。2Fの11がどう見ても浮いているので、パターンが断線している模様です。

パターンを追いかけると2Aの16へと繋がっていますが、テスターで導通確認をすると断線していました。全体的にズタズタなのでそれが原因でしょう。裏面からジャンパさせると波形の出力は改善しています。

「DATA信号が変」という問題を解決すべく、各ICのデータ信号をチェックするとPSG(AY-3-8190)のDA0が浮いていました。

パターンを追うと2Rの13から2Dの13の間で断線している模様です。裏面からジャンパしたところ、DA0にも信号が入るようになりました。

ローラー作戦で他のICを調べ、以下の対応を行いましたが特に進捗はありませんでした。
・下ボード3P(74LS273)の全出力がNGだったため交換
・同じく下ボード4N(74LS157)の12がHIGH固定だったので交換。

そして6Fの7425(サビサビ)を取り外すと脚がもげてしまったので発注しました。PROMに続くサビサビの被害です。

上ボードのDATA信号からゴミが出る問題は、DATAに関するIC(Z80横の245、DRAM、EPROM)をひとつひとつ外して検証しました。その結果EPROM5が引っ張っている模様です。ROMライターのチェックも通っていたので気付くのに時間が掛かりました。焼き直したところDATAの波形は良さそうに見えます。

動作品の基板を見ることができたのですが、交換した2Kの6は脚を浮かせてジャンパさせていました。ICにジャンパさせている系は外す前に上と横の写真を撮るべきだと噛みしめます。

脚を浮かせて立ち上げると画面には「D 8800」とエラーテキストが表示されました。

この8800とは何かとMAMEのソースを見てみると
>map(0x8800, 0x88ff).ram().share(“bigspriteram”);
とあるので、大きなスプライト=自機の船用RAMのエラーではないかと判断しました。

吸い出していたROMを眺めてみると8と9が自機の船だったので、この横の2114がbigspriteramに該当するはずです。

EPROM横の2114を2個取り外し、チェック機に掛けると1個はエラーを吐きました。ただし交換しても改善しなかったので他も壊れているのでしょう。

ここでようやく過去に修理した2枚目の『リバーパトロール』を借りてきました。下ボードは同じだと思ったら型番が「OVG-50A」と「OVG-50B」と微妙に異なり、基板の設計も微妙に違っています。何かを『リバーパトロール』にコンバートした版と純粋に『リバーパトロール』用として出たそうでない版とかでしょう。

ひとまず下ボードを3枚目、上ボードを2枚目(動作品)にして立ち上げると・・・

起動しました。色がくすんでるのはオープンコレクタのPROMを無理矢理プルアップしているからでしょう。抵抗値を変えるなり、焼き直すなりをすれば改善するはずです。これで故障しているのは上ボードということになります。

ここまで来て立ち上がりもしないとなるとZ80に繋いでいるジャンパを間違っている他ないと判断し、同じ型番の上ボードを借りて見比べました。その結果Z80(22)のジャンパは不要であるという結論が出たので取り外します。

外すと立ち上がりました。パターンがボロボロの基板は回路図か動作品があるとないとで本当に違うというわかりやすい例ではないでしょうか。3面まで遊んで問題が無かったのでこれで修理完了でしょう。

【作業内容】
・基板洗浄
・コンデンサ全交換
・EPROMの脚修復x2
・EPROM焼き直し
・PROM焼き直しx3

・Z80,AY-3-8190交換
・ソケット複数交換
・クリスタル交換
・74LS368交換
・76LS139交換
・7425交換
・2114交換

・ジャンパ飛ばし

カプコン 『1942』(C) の修理

手元の『1942』(C)を立ち上げたところ、写真のように一部スプライトの色が化けていました。具体的には敵戦闘機とPow、編隊撃破スコアの一部です。

スプライト周りをオシロで当たってみた結果、キャラROM16(N1)、17(N2)のデータ信号が浮いていました。

この2個のEPROMを吸い出してromidentを掛けるも、データベースと一致。そうなるとEPROMは正常動作品のはずです。

試しにこの2個のROMを外して立ち上げたらどうなるかと実験してみたら、最初の状態に加え自機とショットの色もおかしくなっていました。つまりこの2つのEPROMの接触が故障の要因であると考えられます。

ROM脚を磨いてソケットに刺し直すと色鮮やかな緑が戻ってきました。ROMの接触だけで直って良かったです。

【作業内容】
・キャラROM16、17の脚磨きと挿し直し

インテレビジョンのビデオ出力改造

日本国内販売版のインテレビジョン一式を入手しました。中を見てみたところ、保証書など細かいものを除くと大体揃っているかと思います。

IntelligentとTelevisionが合体した造語なので発音は「インテリビジョン」と呼ぶのが近いですが、ここは日本なのでバンダイが採用した「インテレビジョン」と記載しています。

アメリカでは1980年、日本では1982年に発売されたゲーム機なので、映像と音声の出力はRFのみです。今日の環境で気軽に遊びたいところですので、海外では割とメジャーになっているビデオ出力改造を行ってみます。定型文のようですが全て自己責任でお願い致します。

こちらがインテレビジョン本体です。

ひっくり返して黄色い丸で囲んだ部分のネジを取り外します。この時はネジがなくならないように、灰皿なり小物入れに入れて管理するといいでしょう。私は蓋が付いていて視認性も高いプラスチックケース SK-5が便利なので使っています。秋月電子で80円でした。

次にコントローラー受け皿のネジを取り外します。

受け皿を取り外したところです。この銀色のシールドケースの中にメイン基板が入っています。取り出すために、電源のコネクタx2とコントローラーコネクタx2を取り外します。

電源コネクタとコントローラーコネクタの接写です。この手の部品を外す前に写真に収めておくと正しく戻しやすいです。

このシールドケースですが、外れないようにハンダで止めてあります。ハンダ吸い取り機や吸い取り線、マイナスドライバーを使ってなんとか取り外して下さい。片側だけハンダされているものは楽なのですが、全体的にがっつりされているものは根気よくやりましょう。

こちらはシールドケースを外した中身です。写真手前の小さな箱がRFコンバーターとなります。

eBayで割と安く入手可能な「COMPOSITE MOD」と言われる基板です。写真だと左側に位置する4点(+5V IN、VIDEO IN、GND IN、AUDIO IN)を中の基板に直接ハンダしていきます。

接続場所は画像を参考にして下さい。GNDは電源コネクタの2番目にあり、ハンダが汚いと1番目と接触する可能性があります。接続後はテスターで1番や3番と導通していないことを確認して下さい。基板右側の74LS00と書かれているICは7番目がGNDで14番目が+5Vなので、接続されたMODと74LS00の該当箇所が導通してるかを確認してみるのも良いかと思います。

接続したらMODを固定して出力側の配線です。今回は両面テープとスポンジを組み合わせて貼り付けています。

RCAコネクタの黄色にVIDEO OUTとGND OUTを接続し、白コネクタにはAUDIO OUTとGND OUTを接続します。今回は本体に穴を開けたくなかったので、電源部分の穴からRCAコネクタを出すことにしました。

あとは元に戻して組み上げれば完成です。動作チェック用に買ってみた『SKIING』を起動してみましょう。

コンポジット端子からちゃんと映像が出ました。

ちゃんと音声も出力されてコントローラーも反応しています。未チェック品を購入しましたが、完動品のようなので良かったです。これにてビデオ改造は成功ですので、適当に面白そうなソフトをいくつか遊んでみましょう。

【STAR STRIKE】

『スターウォーズ』のクライマックスシーン(プロトン魚雷投下のアレ)を再現したゲームです。5カ所ある穴に爆弾を投下すると敵の惑星が破壊されてステージクリア。ププププという音が聞こえたら地面スレスレで爆弾を連打、対空ショットを敵に当てると水色になって撤退するのでその間は時間が稼げるの2つを覚えればクリアできるかと思います。

1982年で最も売れたインテレビジョン用タイトルで、80万本売れた大ヒット作と書かれているだけあり、中古市場での出回りもかなりのものがあります。細かい作り込みも見られる力作なので、インテレビジョンを持っていたら遊んでおきたいゲームだと思います。

【NEW DEMON ATTACK】

ATARI2600で出た『フェニックス』のクローンゲームのインテレビジョン版です。コンバーターの都合なのか何らかの理由で正常に色が出ていません。ATARI2600版の方が効果音が不気味な感じが出ていたのでそこはATARI版の勝ちかと思います。

サウンドでは負けますが、インテレビジョン版にはATARI版に存在しなかった基地が実装されています。『フェニックス』のパチモノ度が急上昇していますが、そこはインテレビジョン版ならではのアドバンテージなので堪能しましょう。

【ADVANCED DUNGEONS & DRAGONS】

弓矢を持ったプレイヤーを操作して、ダンジョンを進みつつ王冠を集めるのが目標のRPGです。少しずつ視界が広がるダンジョン内で弓矢や船、斧、鍵を集めて先に進みます。弓矢の発射方向にテンキーを使うだけでなく、拾う、弓矢の本数確認、はしごを登る(脱出)、走るがそれぞれボタンにアサインされているのでそことなく複雑です。

プレイヤーの脚のアニメーションがやたらなめらかであったり、やたら多いボタンといったところに洋パソゲーらしさを感じられます。海外での評価は高く、インテレビジョンの名作としてこのタイトルが挙げられることも多いです。このテキストを書いている時点では全然安いので、インテレビジョンをお持ちであったらコレクションに加えてみてはいかがでしょうか。

SNK MV-1F (MVSマザー) の修理

電池部分が腐食しており、音が出ないジャンクのMV-1Fマザーを購入しました。安いときは1000円だったネオジオマザーも年々相場が上昇し、電池由来の故障も比例するように増えてきています。電池由来の故障とは一回どういったものなのか実際に見てみましょう。

こちらが届いたMV-1Fマザーです。カートリッジを差し込む部分の下に電池があるので、まずはこのガワを取り外します。電池部分は写真だと右上に位置しています。

写真の通りバックアップ用の電池が粉を吹いて周辺をズタズタにしています。付いていてもいいことがないので、電池を取り外します。

バックアップ部分の裏は、両面テープでスポンジが張付いています。半田付けに邪魔なので、今回はシール剥がしを使って剥がしました。

綺麗に剥がせたので、早速電池を取り外しましょう。

電池を取り外しました。見た限り電池左と下のパターンがかなり痛んでいます。この粉をエタノールで清掃してみます。

大分綺麗になりましたが、そこまででは・・・といった状態です。電池すぐ下のSRAMはかなり被害を受けています。脚も大分腐食しており、そのまま使い続ける理由もないと判断したのでSRAMを取り外してみました。

スルーホールが抜けずに取り外すことができました。ここまで来たら洗浄しても大丈夫だろうと判断し、ママレモンと刷毛を使い洗浄。この日の作業はここで終了です。

ママレモンで洗い、半日自然乾燥させた基板です。

大分綺麗になったので、ソケットを付けて6116を装着します。これで当初の状態に復帰となります。

立ち上げると、確かに入力を含め「サウンド以外」の動作は問題ありません。Webにある回路図を元に絞っていきましょう。

サウンドはこの丸で囲まれた部分で主に動いています。電池周辺(右上)とそうでない部分(左下)部分を繋いでいるYM2610→YM3016の間を調べてみます。

上がYM2610(64)のクロック出力、下がYM3016(5)のクロック入力です。波形が一致していないので、断線がある模様です。直結すると音が出るようになりましたが、正常な音声が出力されていません。

断線が疑われているSRAM上のパターンを見ていきます。回路図を見るとSRAMのデータ(9)~(17)がボロボロのパターンを通ってカスタム(NEO-C1)の(74)~(83)に繋がっている模様です。

テスターで当たってみると6116の(13)(14)(15)が断線している模様です。カスタムの上に直ハンダするのも気が引けたので、導通していないスルーホール間を線で繋ぎ、グルーガンで固定しました。その右のジャンパは何故かGNDが切れてたので繋いだものです。

3つのパターンを繋ぐと正常な音声が再生されました。ステレオハーネスを作成し、音声出力を確認したので、これにて修理完了とします。

【作業内容】
・電池の取り外し
・基板の洗浄
・SRAMの交換(おそらく不要)
・パターン切れx5の修復