任天堂 VS基板x3 の修理

起動しないという任天堂VS基板を3枚お預かりしたので直しました。

まずは1枚目、『VSスーパーマリオブラザーズ』です。

通電すると確かに立ち上がりません。VS基板のソケットは『沙羅曼蛇』の時と同じ片側ソケットなので、まずはソケットの接触を疑います。

ROMを刺し直したら立ち上がりましたが、根本的な解決になっていません。手間は掛かりますが、ROMソケットx6とPPU,CPUソケットを交換します。

ソケット全て平ピンのものに交換しました。

一発で起動したのでこれで問題解決、ヨシでしょう。

2枚目は『VSアイスクライマー』と『VSエキサイトバイク』です。『VSアイスクライマー』の方は既にソケットが交換されていました。

今まで使っていたハーネスは片側のみしか対応していなかったので、これを機に両画面分のJAMMA変換ハーネスを作成しました。

RGB反転回路と音声アンプを各2個使うという豪華な構成です。昔作った『スーパーパンチアウト』や2画面版『PlayChoice-10』に並ぶゴテゴテっぷりとなりました。

『VSエキサイトバイク』が立ち上がらないのも片側ソケットが原因だろうと判断し、刺し直した所無事に立ち上がりました。ハーネスも問題なく機能しています。

こちらもソケットを一通り交換しました。一発で立ち上がり、3面クリア後のボーナスステージまで遊んで問題がなかったのでこれで修理完了でしょう。

3枚目は『VSレッキングクルー』です。

こちらも絵が出なかったので、過去2枚の前例に倣いとりあえずソケットを交換します。

2P側を交換したら立ち上がりました。スタートボタンを押すと次の画面で止まるので、1P側との同期が取れずにフリーズといったところでしょうか。もう片方のソケット交換にも取りかかります。

28pinが12個、40pinが4個と大がかりな交換となりました。

1P側も立ち上がりました。2P側の様子も見てみましょう。

2P側も動いています。VS筐体で向かい合って遊ぶというゲームデザインなので、配置が1P側のマリオと対になっています。

取り外したソケットの山です。今回は特に考えることなく、ハーネスを作りソケットを交換しただけで動いたので良かったです。

【作業内容】
・ハーネス加工
・ソケット交換多数

日本物産 『ムーンエイリアン パートII』の修理

未チェック品の『ムーンエイリアン パートII』の基板を入手しました。『ギャラクシアン』よりもヤケクソな改造のされている今作に興味があったので嬉しい入手です。

ピン配列が純正『ムーンクレスタ』とも違う独自の配線です。配線図もないのでICからGNDと+5Vを割り出し、アンプから12Vを割り出します。その結果、左の6pinが電源周り、次の2pinは音声と判明しました。

通電してオシロスコープで当たると電源でない6pinの一番左からSyncが出ており、syncの隣3つが映像、一番右がビデオGNDと判明したので改めてスイッチオン。

音と映像が出ていますが立ち上がっていません。

リセットの信号が上下に動いているのでウォッチドッグ関連のICをチェックしますが、故障しているICが見当たりませんでした。

サブボード「AL-12B」の右端に-5Vと12Vと印刷されていますが、どこにも繋がっていないので配線しました。-5Vは電源の6pinからは来ていないので25pinの23から取っています。

サブボードに搭載しているEPROMの2708は駆動に-5Vと12Vが必要です。そのためこのような配線がされていたのでしょう。『ギャラクシアン』は2716のはずですが、『ムーンベース』の時に余った2708を再利用しようとした結果の2708採用だったりするのでしょうか。『早押し対戦クイズ ハイホー2』のROMシールが『ムーンベース カラー』と『ムーンエイリアン』の流用だったのを思い出します。

なかなかのレアケースだと思いますが、参考になればと思い該当箇所の写真を掲載しておきます。

ここまでの進捗です。入手当初の基板の写真を撮影していませんでした。右上の「G.G.I CORPORATION」の文字が眩しいです。GGIの『ギャラクシアン』のコピーを元にニチブツから改造キットを買ったとかそういった経緯かもしれません。

よく見ると左上のIC(74S201N)が無かったので注文して付けましたが、特に症状は変わりませんでした。

SRAM類も全てチェックしましたが全て無罪だったので、もう残るはEPROMくらいしかありません。2708の読み書きにはそこそこいいお値段のアダプタが必要となり、EPROM以外の可能性を疑っていましたが、これはもう2708のプログラムROM以外無いと思います。

という訳で2708アダプタを輸入しました。吸い出したところプログラムROMの3と7が死んでいましたので焼き直します。

起動しました。恐らくRGBの配線も合っているはずです。ここまで来たらもうウイニングランなので、25pinの配線図を追うだけです。

追いかけた結果をまとめました。ハーネスがなくて困っている人は参考にどうぞ。

最終的にこのような形になりました。3と7のROMシールは元から剥がし、セロテープで留めています。

3面クリアまで遊びましたが、特に異常な動作は見当たらなかったのでこれで修理完了とします。起動が怪しい時はまずプログラムROMを調べてみよう、というのが今回の教訓です。それと古い基板を扱うなら2708の読み書き環境はあったほうが絶対に良いです。

【作業内容】
・サブボードとのジャンパ追加
・欠品していた74S201Nの追加
・プログラムROM焼き直し

コナミ 『パロディウスだ! ~神話からお笑いへ~ 』の修理

海外から相場よりちょっとだけ安く『パロディウスだ!』を取り寄せました。関西の若者のセンスが炸裂しているこのゲームは海外で受け入れられたのでしょうか。

筐体に入れた所、ゲームは動作していますが、画面上にゴミが出てしまいます。再起動してもまた発生したので、基板に何らかの不良があると判断しました。

基板に衝撃を与えるとキャラ化けが発生します。MASKROMからEPROM+ソケット化されているところを押すと確実に発生するので、ここの接触不良でしょう。

コネクタがちゃんと付いていませんでした。これを維持する必要もないので、手元の新品ソケットと交換します。

ついでにEPROMも焼き直しました。押しても画面が化けなくなったので解決でしょう・・・と思ったら、横の交換されているSRAMを押すとキャラ化けが発生。こちらも交換していきます。

これで大丈夫かと各所を押して見ると、SRAMの頭の方を押すとまだキャラ化けが起きます。

手元の6264に交換するとキャラ化けは無くなりました。手元のは150nsと速度が遅いので、100nsの6264を発注しました。SRAMを交換したのでここの修理対応は完了でしょう。

サウンドテストで軍艦マーチでも聴こうとテストモードに入ったところ、COIN 2が入りっぱなしでした。動作品と描いてありましたが、eBayなのでこういうものでしょう。

COIN 2のコネクタの信号を見ると浮いています。

隣の2P STARTは押さないとHIGHで押すとLOWになります。見比べると分かりやすいですね。

RN4のKonami 005273というカスタムに辿り着きました。(7)がC22の74LS253(11)に行き、(8)がJAMMAの2P COINに行きます。74LS253へは導通している、(11)はINPUTであるという2点からこのカスタムが壊れていると判断しました。

ドナーとなるジャンク基板を入手したのでカスタムを取り外します。

交換するも症状は変わらず。こうなると受手側の74LS253のIC内部でパターンが切れているという可能性が浮上します。74LS253の方が圧倒的に安いのでカスタム取り用基板を入手する前にこの可能性を考えるべきでした。

これで完治したはずです。今回学んだことはeBayの動作品は信じてはいけない、コナミのI/O不良はカスタムを疑う前にその先のICをチェックするの2点です。それなりに高い勉強代でしたが、カスタムの予備も手に入った上に理解が深まったのでヨシでしょう。

【作業内容】
・ICソケット交換
・SRAM交換
・プログラムROM焼き直し
・74LS253交換

任天堂 『ポパイ』(2枚基板版) の修理

起動しない『ポパイ』の基板を預かりました。2枚基板版です。

任天堂ハーネスは手元になかったので、配線図を元に取り急ぎ作成しました。絵が出れば良いので反転回路も無し、作ってから気付きましたが音声アンプも無いです。

この画面で止まります。

以前直した『沙羅曼蛇』は片側ソケットが原因で起動しませんでした。片側ソケットを放置しても良いことはないので、こちらを交換しましょう。

プログラムROMx4とZ80を交換しましたが動きませんでした。起動しない可能性の一つである7HのSRAMを外して見てみましょう。

チェック機に掛けるとBADと出たので故障でしょう。ハンダが結構残っていて取り外すのに苦労しました。

交換してもまだ起動はしません。次はプログラムROMが生きているか調べてみます。

7AのROMを吸い出そうとすると11ピンのエラーが出ました。2764の11はDATA OUTPUTの1でした。

該当プログラムを別のEPROMに焼き直します。

少し画面が変わりましたので前進しているはずです。EPROMの信号をオシロで見てみましょう。

2764(5)の波形が浮いていました。回路図を見るとSRAM(3)に行くはずですが、テスターで調べると導通していませんでした。

パターンを繋いで見た上で立ち上げます。これで多分直るはずですが果たして。

立ち上がりました。ハーネスに音声アンプを追加して音声の出力も確認しました。1周クリアまで遊び、しばらく放置しても動作していたので、これで修理完了でしょう。

【作業内容】
・ICソケット交換
・SRAM交換
・プログラムROM焼き直し
・パターン修復

アルファ電子 『チャンピオンベースボール パート2』の修理

『チャンピオンベースボール パート2』の基板を入手しました。基板に貼られている「M6000146D」「M6000187A」というタイトーの管理シールが一番珍しい気がします。

タイトー版のマニュアルも純正で付いてきました。基板よりもタイトー管理シールとマニュアルの方が価値がある気がします。ハーネスは『タルボット パート2』の時に作ったので、早速基板を立ち上げてみましょう。

サブボードへのジャンパが取れていたので戻してから立ち上げた瞬間です。

・スプライトは出るが色が変
・背景は出ない
・PSGはノイズしか出ない
・音声はかすかに聞こえる
といった具合です。

サブボードがゆるゆるだったので、片側ソケットを取り外して平ピンソケットへと交換しました。

端子が汚かったので万能Jr.くんで磨いていきます。磨いた布が真っ黒になっていたので、かなり汚れていたのでしょう。

色は正常になりました。一番楽そうな音声周りから手を付けようと思います。

回路図を見るとLM324を出たり入ったりしていました。(7)からは音声が出力されていましたが、最終出力先の(1)からは音声が出ていなかったので、LM324の故障で間違いないでしょう。(使われていたのはHA17902P)

『エキサイティングサッカー』のジャンクから拝借したLM324Nに載せ替えたところ、あの合成音声が高らかに鳴り響きました。

続いてノイズ音が出っぱなしのPSG音源を見ていきます。AY-3-8910の音声出力端子であるANALOG CHANNEL A(4)、B(3)、 C(38)にプローブを当てるとノイズだらけ、別のAY-3-8910に交換しても同じなので、音源は無罪と判断しました。

回路図を見るとデータ転送を制御する信号である(27)のBDIR、(29)のBC1が入力なので、この波形を調べていきます。

信号が浮いていました。パターンを追いかけると7Aの74LS00(12)からC9の74LS00(3)と繋がっていますが、7AとC9のパターンが切れていました。

ジャンパするとノイズは出なくなりましたが、引き続き音は出ていません。74LS00の(3)は出力、(1)と(2)が入力なので、ちゃんと信号が入っているか見てみます。

こちらも波形が浮いていました。パターンを追いかけると5Dの74LS139(10)に繋がっていますが断線していました。

問題なくBGMが再生されるようになりました。残るは背景類が一切出ない問題ですが、これもパターン切れが原因ではないかと推測します。

片っ端からオシロで当たってみると、8Dと8Eの74LS366(1)が浮いていました。パターンの先を調べるとまたしてもC9の74LS00、(6)と繋がっていました。 

またここか・・・と思いながらジャンパさせます。

予想通り背景類が全て表示されました。もしかしたら・・・と思い6つ並んでいる2114を外してチェックしたりしましたが、直ったので結果オーライです。

【作業内容】
・ソケット交換
・端子磨き
・LM324N交換
・パターン修復

タイトー 『スペースインベーダー パートII』の修理 (2枚目)

何枚か『スペースインベーダー』の基板を触っていると欲しくなったので、海外で未チェックジャンクの基板を安く引っ張ってきました。金属ケース無しで汚れと修理痕がありますが、eBayのジャンクなのでこんなものでしょう。

『インベーダー』は移動音の出ない『パートII』1PスタートとDIPが効かないミッドウェイ版に続く3枚目です。

立ち上げると音もなくこの画面で止まります。起動すると大音量でSEが流れるのですが、それもないということはサウンド部分の故障もある模様です。

写真はないですが、8080CPUのリセット信号がHIGHになっていました。Z80と違いこの信号がLOWになっていないと立ち上がらないので、回路図から信号を追いかけます。

IC8の74161(15)が出力となっていたので、取り外そうとするともげてしまいました。この43年間でこの基板にどのようなことがあったのか・・・、考えれば考えるだけ不思議になります。

ジャンク基板から74LS161を持ってきたので交換します。立ち上げたらどうなるのか・・・!

無事に起動しました。パースが付いているだけでなく「A」部分がインベーダーになっているところがオシャレで好きです。

デモ画面に遷移するとインベーダーの形が変なことになっています。DRAMかシフターのどっちかではないかと予想しつつ、毎度おなじみインベーダーテストROMを立ち上げます。

シフターのNGが出ました。このタイプの基板はIC3のMB14241がシフターの役割を担っているので、ICの脚とソケットを調べてみましょう。

脚が折れていました。ソケットに脚が残留していたのもあるので、脚の補修とソケット交換を行います。

サビをヤスリで磨いてから替えの脚を装着しました。以前直した『ゲットスター』のように脚がもろくなくてよかったです。

「SHIFTERS = OK」と出たのでこれでヨシでしょう。あとは全く音が出ないという問題です。

音が全く出ない問題の答えは簡単で、アンプの先のコンデンサがありませんでした。

回路図によると16V1000μFと書かれていましたが、手元にあった25V1000μFを付けていきます。立ち上げると音が出るようになりました。

前オーナーにより、物理的に高いソケットにへと交換されています。

裏面を見るとスルーホールが無くなっていたり、芋ハンダや汚れも目立ちます。全て取り外してソケット交換+ソケット化、ついでに清掃も行いたいと思います。

ソケット化されていたIC26とIC27はパターンが切れまくっていたので修復しました。これで立ち上げるとショット音が長いというトラブル以外全て動作するようになりました。

テスターやオシロで色々と当たってみるとIC26の2と3が接触していました。一旦ハンダを取り除き、再ハンダしたらショット音が正常に再生されました。ソケットを付ける際にテスターで接触確認をすべきだったと悔やまれます。

基板があまりにも汚かったのでママレモンで洗浄し、スペーサーとネジで組み上げたところかなり見た目が良くなりました。3面クリアまで遊んだ上で問題がないと判断したので、これで修理完了とします。

【作業内容】
・基板洗浄
・74161を74LS161に交換
・MB14241修復
・ソケット交換
・コンデンサ(25V1000μF)取付
・パターン修復

カプコン 『1942』 の修理

純正未チェックの『1942』を入手しました。かなり基板が綺麗なので嬉しい買い物です。

コピー基板でもCAPCOMの印字がされていますので、PSG音源に「No.xxxxx CAPCOM」とシールがある、ROMシールは黄色い丸にSRと印刷という所から判断されるのが良いかと思います。海外版や後期ロット(?)は従来のカプコン銀シールです。早速通電してみましょう。

タイトルロゴやスコアなどのテキストが出ません。前に見たコピー基板では該当EPROMの波形チェック→接触不良発見という流れだったので、過去の成功に倣い今回も該当EPROM(F2,SR_02)から見てみましょう。

EPROMの3(A7),4(A6),5(A5),6(A4)がHIGH固定になっています。これが故障の要因なのは間違いないので、どのICが原因でこの波形を出しているのか遡っていきましょう。

EPROMの(3)はC2の74LS273(6)に行き、入力の(7)を見ると波形が浮いています。浮いた波形からHIGH固定を出力しているので、このICは動作していると判断。一つ上のC3の74L273をチェックします。

入力の信号は来ているのに、出力が浮いた波形になっているので、C3の74LS273の故障は確定です。取り外してチェックする必要もないのでニッパーで切って取り外します。

取り外してソケット化+新品の74LS273に交換しました。今回は84年製の富士通製でした。

テキスト類が表示されています。2面クリアまで確認しましたが問題なかったので、これで修理完了でしょう。

【作業内容】
・74LS273交換

タイトー 『スペースインベーダー』 (ミッドウェイ版) の修理

ミッドウェイ版『スペースインベーダー』の基板を海外から購入しました。「修理済み動作OK」と書かれているだけあり、多くのICがソケット化された上で交換されています。『スペースインベーダー』を触るのはこの前の『パートII』以来2枚目です。

早速JAMMAハーネスを作りました。マザーボードのTコネクタはテーブル版『スペースインベーダー』の流用が効きますが、ピンコネクタ部分が独自です。『ナイトストライカー』のハーネス制作時に買ったタイトーHコネクタと同等品が使えそうなのでそのまま使いました。

ハーネスができたので立ち上げてみましょう。

立ち上がってコインが入るのにスタートボタンが効きません。ハーネスの不備を疑いましたが、該当ピンとJAMMAハーネス間で導通しています。これはもう基板の故障でしょう。

ちなみにこの小型液晶はHDMIとコンポジが入るからと買いましたが、『インベーダー』の白黒の信号も映るのでそれなりに便利な気がします。Amazonのリンクを貼っておきますので興味ある方いたらどうぞ。こちらです。

回路図を元に1P STARTの信号を追っていくと、7414(11)から(10)に行っています。

ボタンを押すと(11)の波形は動いていますが、(10)は写真のまま全く波形が動いていません。試しに2P START出力である(12)の信号を見てみると動きがあるので、この7414の不良で確定でしょう。

カスタムの抜かれたジャンクの『名人戦』に74LS14があったので移植しました。立ち上げてコインを入れてスタートが・・・効きました。

ゲームは遊べるようになりましたがDIPスイッチの設定が反映されていません。DIPをONにしてテスターで当たったところ導通していない、つまりONになっていないので壊れているのでしょう。

取り外してみると確かにボロボロです。動作品とは一体・・・と思いますが、オークションなので多分そんなものでしょう。8連DIPスイッチが取れるジャンク基板を探します。

別のジャンク基板からDIPスイッチを移植しました。立ち上げるとDIPの設定は効いたのでこれで修理完了でしょう。

動作確認として何度か遊んだところ、UFOに弾がヒットしたのにヒットと処理されないことがありました。まだ完治していない可能性が高いのでもう少し見ていきます。

『インベーダー』のチェックROMを使ったところ、そもそも立ち上がらないというトラブルが発生しました。押し込むと先に進んだのでICソケット不良と判断、見てみると当時物だったので交換しました。

チェックROMは立ち上がりましたが、シフターのエラーが出て止まりました。シフターについて調べると「スプライト機能のない基板でオブジェクト描画に必要な操作を高速化する」と書いてありました。オブジェクト描画がおかしいからUFOの判定がおかしい、と考えれば納得できます。

色々と見ていきましたが、ジャンパされていた線が外れていました。「誰かがジャンパしたんだから付いてるだろうヨシ」という思い込みが余計な時間を食った結果ですね。

他の基板のパターンや長さから推測して本来あるべき場所に戻していきます。

SHIFTERS = OK と出ました。やっぱりあのパターン切れが故障の原因です。梱包中に外れたか輸送中に外れてしまったのでしょう。

遊んだ限りこれで大丈夫なはずです。動作品と書かれていましたが、移動中のトラブルもあるでしょうし、こちらで弄っている間にジャンパが取れた可能性もあります。とりあえず問題なく動いているのでヨシとしましょう。

【作業内容】
・7414を74LS14に交換
・DIPスイッチ交換
・ICソケット交換
・パターン切れ修復

コナミ 『沙羅曼蛇』 の修理 x2

調子の悪い『沙羅曼蛇』の基板を2枚お預かりしました。1枚はキャラ化け、もう1枚は起動画面から先にいかないといった症状です。キャラ化けの方から見ていきましょう。

上部と下部のテキストとスプライトの表示がおかしいです。下ボードはバブルボードであり、『ネメシス』の回路図があるので参考に見てみましょう。スプライトは回路図上だとOBJのはずなので、その信号が入っているSRAMやDRAMの波形を見ていきます。

8HにあるDRAMのTMM4164AP(7)の信号がHIGH固定でした。7はA1(アドレス)なので、ここがHIGH固定というのは考えにくいです。この信号を出しているのは10Hの74LS244(3)でしたので交換しましょう。

244を交換するだけで直りました。DRAMのアドレス信号は縦に全部繋がっているので、キャラとテキストの一部が仲良く化けたのでしょう。6面まで遊びましたが問題はありませんでした。

次は起動しない『沙羅曼蛇』です。まずは上ボードのEPROM2個とMASKROM2個が正常かどうか確かめます。MASKROMの吸い出しは
・32pinソケットを買ってきて32,31,30をジャンパ
・27C1000として吸い出す(ICソケットとIDチェックは飛ばす
でできました。

吸い出したところROMは全て正常でした。基板に戻して通電するとタイトル画面まで出ましたが、変な音が流れるといった具合です。起動に関しては故障ではなく接触の問題ですので、ソケットの交換を行いました。変な音が流れるのも接触不良ではないかと思うので、6個まとめて交換します。

ロゴがKonamiの頃はこの片側ソケットを多用しており、接触不良の温床となっています。過去にキャラバケする『サーカスチャーリー』を手に入れましたが、片側ソケットの交換で直りました。(先日直した『タイムパイロット’84』は特に問題なかったのでそのままですが、ダメになった時に考えればよいかなと思います。)

特に問題が出ることなく起動しました。ある程度遊びましたが問題がなかったので、これで修理完了とします。

今回お預かりした『沙羅曼蛇』の基板は、両方とも比較的簡単に特定ができて良かったです。持っている方も多い基板ですので、もし壊れた際にはこの記事が少しでもお役に立てればと思います。

【作業内容】
1枚目
・下ボードの74LS244交換
2枚目
・上ボードのICソケット交換x6

東亜プラン 『ゲットスター』 の修理

東亜プランの傑作である『ゲットスター』の基板を入手しました。ROMシールはオレンジががった金だけだと思っていましたが、こちらは三菱の銀シールのバージョンです(両方とも純正)。ゴミみたいな絵が出て起動しないと書かれていたので早速見てみましょう。

立ち上げるとROM CHECKと出て画面が止まります。CPUかプログラムROMが怪しいので、プログラムROMを見てみます。

プログラムROMはZ80横のA68-00,A68-01,A68-02の3つで構成されています。写真右上の2個並んでいるROMはテキスト、左上の4個並んでいるのは背景のROMとなります。

脚の一部が錆びていてボロボロになっており、少し触ったら根元から取れたEPROMもありました。

折れた脚を修復し、根元から取れたEPROMは吸い出した上で焼き直しました。ちなみにEPROMの中身はすでに持っている国内版の『ゲットスター』と同一のものでした。

立ち上がりました。スプライトが出ているのは動作品の上ボードを使っているからです。スコアやロゴなどの出力不良を見ましょう。

ROMを外すと脚が折れていましたので付け直します。

SRAMの信号が出ていないので、とりあえず交換してみるかと交換したところ画面が出なくなりました。クレジットが入ってゲームが動いているようなので、テキスト周りの不具合のはずです。

落ち着いてSRAMの波形を見ていくと、(18)CSと(20)OEの波形が変でした。(20)の先を追うと4Dの74LS157(9)です。データシートだと9は出力なので、このIC不良とみて間違いないでしょう。

外してソケット化した上で新品に交換しました。

テキスト周りの絵が出てきました。上からスコア、ロゴ、INSERT COIN、(C)TAITOと出ているはずです。

EPROM付近のICを片っ端からオシロで追いかけると7Hの74LS157(4)の波形が変でした。4は出力なので、この157は交換対象のはずです。

サクッと手元の新品と交換しました。左の「×」と書かれている74LS32は無罪でした。何のトラップだったんだ。

見事にテキスト周りが復活しました。次は色のおかしい背景を見ていきます。

EPROMとソケットは問題なかったので、EPROM周辺のICを調べていくと、5Qの74LS174(2)(5)(7)(10)(12)が変です。データシートだといずれもQと書かれている出力になるので、ここも壊れているのでしょう。

という訳で交換しました。富士通製のICの不良が多い気がします。

背景の色は正常になりましたが、テキスト部分にゴミが出ただけでなく、ゲットスターの登場音がスローになっています。

音が遅いのはCPUへのクロックが落ちているからでした。画面にゴミが出るのもCPUへのクロックが本来より落ちているためであると推測するので、Z80(6)のクロックを追いかけていきます。

7Mの74LS04(6)→(5)→7Kの74LS393(11)→(13)→7Jの74S163(9)
7K(13)→7M(10)→7J(15)
となったので、7Jの74S163に辿り着いています。

断定はできませんが、とりあえず丁寧に外してみてICチェックに掛けてみましょう。

これだけICテストでエラーが出ているので交換対象でしょう。

こちらもソケット化した上で手元の74LS163に交換しました。

テキストのゴミは消えました。ただサウンドの再生が遅いという問題が解決していません。サウンド関連は上ボードなのに、下ボードに問題があるようなので見ていきましょう。

上ボードのZ80のCLOCKを追いかけると下ボードの7Lの74S04へ辿り着きましたので交換すると症状が悪化しました。よく見てみるとこの2つのICは74「S」136と74「S」04であり、LSではありません。調べるとSは高速化され消費電力が大きい(動作周波数56kHz)、LSは低消費電力版(28kHz)とあります。この2つをSからLSにすることで(1/2)^2の1/4のクロックしかCPUに来ていないことになります。

74S163と74S04へと交換すると音声の再生も正しい速度になりました。これで下ボードは修理完了でしょう。

上ボードを交換するとスプライトも音も出ないといった状況です。音はなんとかなるでしょうから、先にスプライトを見ていきます。

EPROMは問題がなかったので、EPROM付近の波形を見て怪しいところを追いかけていきます。2Tの74LS157(4)(7)と出力が2個出ていない、1Aの74LS04、5Bの74LS04も出力不良があったので交換しました。

スプライトの出力に必要なSRAM付近のICを見ていくと5Lの74LS174(5)(7)(10)が変ですので交換しました。いずれもQ出力なので納得の壊れ方です。

スプライトの何かが見えてきましたので前進しています。このまま怪しい波形を見ていきましょう。

だんだん画像もなくなっていきますが、5MのSRAM、MBM2148L(1)(2)(3)(11)の出力が死んでいましたので、パターンを追いかけます。すると4Rの74LS157(4)(7)(8)(12)へと繋がっていたので、この157の不良で間違いないでしょう。

交換したところ色はおかしく、ヒットボックスが出ていますが、スプライトが更に出てきました。

2HのSRAM(25)に信号が来ていないという問題も見つけたのでパターンを追います。4Eの74LS174(2)に来ていたので、その隣の(3)を見ると浮いています。

2Eの74LS367(5)との間でパターンが切れていたので繋いだところSRAM(25)に信号が来ました。

スプライトのパレットが変で、ヒットボックス化しているのはEPROM付近のICが怪しいと睨み、付近を片っ端から調べると7Lの74LS08(5)がHIGH固定でした。ここは入力なので出力を追いかけると、9Kの74LS166(13)に辿り着きます。13はPARALLEL OUTPUTとあるので、このIC不良で間違いないでしょう。

74LS166の新品はなかったので、6116目当てに購入したジャンクの『ジャントツ』から拝借します。

スプライトの問題は全て解決しました。動作品の『ゲットスター』と安オシロ、諦めない心のおかげでここまで来ました。あとはサウンドの問題です。

オーディオプローブでYM2149からアンプの出力まで追いかけたところ、C24のコンデンサが抜かれていることに気付きました。

16V470μFのコンデンサが動作品に付いていたので、手元にあった25V470μFを取り付けました。音は問題なく出力されています。

起動すらしなかった『ゲットスター』がようやく問題なく遊べるようになりました。元から面白いゲームですが、その面白さが3割増しで感じられます。1周したけど問題ないのでこれで修理完了とします。

【作業内容】
・EPROM修復、焼き直し
・74S04交換
・74LS04x2 交換
・74LS157x4 交換
・74S163交換
・74LS166交換
・74LS174x2 交換
・パターン切れ修復
・コンデンサ(25V470μF)取付