任天堂 『VSホーガンズアレイ』と『VSダックハント』の整備

任天堂のVS基板に光線銃を繋いで遊んでみたいと思い、『VSホーガンズアレイ』を入手しました。こちらは元から『VSホーガンズアレイ』だったので対応済みでしたが、36pinコネクタ近くにある大量のコンデンサの内、C56,C61,C71,C78を取り外さないとちゃんと動かない模様です。(マニュアルによるとこれによる他のタイトルへの影響はないとのこと)

立ち上がりましたがノイズのような音が流れっぱなしになっています。気になるので追いかけてみます。

逆側のオペアンプが交換されているので『VSホーガンズアレイ』側のオペアンプもかと思いきや、こちらは無罪のようです。

CPUである2A03の(1)(2)が音声出力なのでここにプローブを当ててみるとノイズ音が出っぱなしでした。つまりCPUからの出力の時点で変です。

ジャンクのファミコンから取り外したCPU(動作確認済み)にしても症状が同じですので、プログラムROMなどの上流に原因があるはずです。

オシロで見てみるとデータ部分の出力が変だったので、片側ソケットを全て交換してみます。ソケット交換だけで直った前例もあるのでなんとかなるかと思いましたがどうにも変わりませんでした。

ギャングだけでなくダックも撃ちたいと思ったので『VSダックハント』のROMだけを購入しました。PPUは以前買った2C03があったので流用します。

こちらもソケットを交換した上でスイッチオン。同じくCPUからノイズが出ているので、おそらくガンを繋がないと出るとかそういう仕様じゃないかと思います。ガン待ち。

ガンが届きましたので、これを改造して接続していきます。

配線をまとめるとこちらです。

HIT部分にあるトランジスタを除去してジャンパさせる、1P LEFT(3)に該当するALMはGNDに落とさないとノイズ音が出っぱなしになるというところに注意してください。あくまでも自己責任でどうぞ。ALM端子は銃が接続されているかどうかという所に使われているのでしょう。

バッチリ動きました。『VSダックハント』は鴨撃ちとクレー射撃以外にボーナス面が収録されています。犬とダックが飛び交うので、ダックだけを撃っていきます。犬を撃つと終了。

犬を撃つと大ケガをした上で「俺じゃなくて鴨を撃て(意訳)」と怒るのが味わい深いです。これはファミコン版にないので、VS基板にガンを繋げないと体験できません。

銃社会のアメリカで『ダックハント』はバンドルで出たのもあり大ヒット、プレイヤーを嘲笑する犬へのヘイトが非常に高いと聞いています。そんな方々もこの『VSダックハント』は満足するのではないでしょうか。

『VSホーガンズアレイ』もこの配線を使って動きました。ガンシュー2in1でもいいのですが、なんとなく別途買った『VSエキサイトバイク』との2in1にしています。缶撃ちで曲が鳴るのと2周するとブレイクデモが出るのがファミコン版との違いでしょうか。

14インチのモニターでチェックすると判定が厳しすぎるので、29インチのエクセリーナIIに入れてみると快適でした。2周目の缶撃ちが終わると寸劇が見られます。『ダックハント』も同様にVS独自の寸劇が見られるのでちょっとお得な感じがしますね。

【作業内容】
・ICソケット交換
・北米版光線銃を改造して接続

SNK MVS用麻雀パネルの整備

先日行われたオークションにてMVS用の麻雀パネル(未使用)を入手しました。ネオジオは格闘ゲーム一辺倒のイメージが強いですが、この麻雀パネルはレンタルやメモリーカードなど様々な可能性を模索していた黎明期のものです。

おそらく対応ソフトは『麻雀狂列伝 西日本編』『みなさんのおかげさまです!』『バカ殿様麻雀漫遊記』『雀神伝説』の4本だけであり、いずれもレバーとボタンで遊べるのでこのパネルの存在意義はほぼ無いです。そういった点からもよく残っていたなと心から思います。

配線が一部取れています。付いている線もちょっと動かすと外れそうなので、再ハンダしておこうと思います。

断線している配線をテスターで見ようとしましたが、15pinのコネクタにテスターが当たりませんでした。

ファミコンの拡張ポートはネオジオのコントローラと同じ規格の15pinコネクタを使用しています。そこでジャンクのファミコンにコントローラを刺し、ファミコンの裏面からちぎれた配線がどこに繋がっているかを調べます。

ベースは通常のネオジオコントローラーと同じであり、それを麻雀マトリクスに組み合わせているだけなのでGNDやスタートといった信号は同一です。麻雀パネル裏面の回路で確認しつつ、数字に即して配線しました。

ネオジオ用麻雀マトリクスを調べたのでアップしておきます。あくまでも自分で調べた限りですので自己責任でお願いします。念のため配線される前にテスターでご確認ください。

LED用の13pinコネクタも作成しました。そのまま繋ぐだけですが、長さがないといけないのでそこに注意すべきでしょう。

ネオジオコントローラが刺さるシングルマザーはMV-1初代とMV-1Fのみで、手元のマザーはMV-1FZだったのでMV-1初代を買い足しました。FでないのはFよりもちょっと安かったからです。

ここに刺し、DIPの1(テストモード)と3(麻雀モード)をONにしてスイッチオン。

各ボタンも反応し、LEDも出ているので配線完了です。ANO清水センセの絵ってことで『雀神伝説』は絶対に持ってるはずなんですが、どこ探しても出てこないので後日何とかしたいと思います。今回はMVS用麻雀パネルを生かすまでということでおひとつ。

カプコン 『1942』(『バルガス』改造版) の修理

この修理日記ではお馴染みとなってきた『1942』です。過去に直したのはコピー基板が1枚テキストが出ない純正基板立ち上がらない2枚目の純正基板の3枚です。

今回は『バルガス』からの改造(オフィシャル)なので、サブボードが載っていたりと少し見た目が違います。基板にSNKのシールが貼られているので北米版『バルガス』からのコンバージョンでしょう。

立ち上げると背景だけがスクロールしていています。コインを入れてスタートを押すと動いてはいるのでプログラムと背景はOK、テキストとスプライトがダメで音は半分死んでいます。

サブボードのソケットが不安定だったので交換していきます。

こちらは表面の写真ですが、裏面のサブボードのソケットも交換しました。

チラツキは減りましたが特に故障が直るといったことはありませんでした。まずはテキスト面から見ていきましょう。

前の基板ではこの辺の74LS245が怪しかったので、E5の74LS245を見てみます。

片方の波形は正常なのに対し、もう片方の波形は浮いています。

とりあえず変えてみましたが特に変化がなかったので、もう少し丁寧に調べてみます。

テキストが出ないということでSRAMの波形をチェックします。

(1)(2)(3)(4)(22)(23)の波形が明らかに変です。いずれもアドレス線でした。

アドレスはF1と多分J1(フラットケーブル用コネクタがありアルファベットが分からず)の74LS157の出力からSRAMへと繋がっていました。出力がおかしかったので、まあ壊れているでしょう。

交換してみましたのでスイッチオン。

テキストは出ましたがバケバケです。進んでいるのは間違いないのでこのまま頑張りましょう。

SRAM近くにあるE2の74LS273を見てみると(2)(5)=出力部分が出ていません。

これも壊れているでしょうからから交換します。

74LS273を交換したところ大分絵が出てきましたが、微妙に壊れています。この壊れ方はアドレスだろうと判断したのでEPROMからもう一度見直します。

2716(10)→C4の74LS86(3)→(2)→J2の74LS86(8)と辿り着きました。(9)(10)の波形は正常なのに(8)=出力がおかしいのでここの故障でしょう。

交換しました。どんどんとICが交換されていきます。

見事にテキストが出てきました。なかなかの数の富士通製ICが壊れていて『ゲットスター』の修理を思い出します。次はスプライトを見ていきましょう。

スプライトROM付近の74LS273が怪しいと思ったら(11)のCLOCKとGNDがジャンパされていました。『バルガス』からのコンバージョンなので、『1942』では使っていない回路なのでしょう。

回路図を見るとSB-5,SB-6,SB-7からRGBのVIDEO OUTが出ているとあるので、このアドレス線を調べてみると(1)(2)(3)の信号が出ていませんでした。ここが怪しいです。

SB-5,6,7の(1)→E11の74LS273(2)→(3)→D8の74LS20(8)→(9)(10)(12)(13)と繋がっています。

D8の74LS20(13)→D7の74LS174(2)→(3)→D1の74LS257(7)と繋がっています。74LS257(7)は出力で、入力の(5)(6)は正常なのでここが壊れているのでしょう。

74LS257を交換しました。

交換したらスプライトが正常に出ましたが、またテキスト面が壊れています。改めてテキスト面を見るのもちょっと億劫だったので先にサウンドを見ます。

オーディオプローブで当ててみるとA9のPSGから音が出ていません。

交換したところ問題なく音声が出ました。ここは楽に直って良かったです。

電圧を調整してもテキストが崩れるので故障でしょう。気を引き締めて見てみましょう。

L1の74LS86の出力が2Vくらいしか出ていないので変です。これが原因で不安定な表示になっているのでしょう。

L2の74LS86の出力は3Vくらいしか出ていません。こちらも壊れているのでしょう。

74LS86を2個交換しました。ここまでテキスト面だけが壊れているというのも何かありそうです。

問題なくテキストが表示されるようになりました。電圧を調整しても問題ないです。

2面クリアまで遊んだ後は1時間ほど付けっぱなしにしても問題がなかったので修理完了とします。とにかくICが壊れていたので苦労しました。

【作業内容】
・サブボード用のICソケット交換x2
・74LS86交換x3
・74LS157交換x2
・74LS245交換(不要だったかもしれない)
・74LS257交換
・74LS273交換
・AY-3-8910交換

ナムコ 『ナムコ クラシックコレクション Vol.1』 の修理

色の表示がおかしい『ナムコ クラシックコレクション Vol.1』を預かりました。昔からこの症状自体は知っていましたが、実際に自分がなんとかするというのは初めてです。

明らかに滲んでいるというか、白が強く出過ぎているように見られます。

タイトル画面はまともに見えますが、『ゼビウス』は色の滲みが顕著に出ています。

ビデオアンプのLM1203N付近のC20,C21,C22(それぞれ25V4.7μF)を交換すると直ると言われているので交換していきます。

コンデンサを取り外し、綿棒とエタノールで掃除をしてから交換していきます。取り外しはドライバで根元の方を掴み「グリッ」とひねる感じで取るのがいいのではないでしょうか。外すと明らかに液漏れしている臭いがします。

C20,C21,C22の3つを交換しました。LM1203Nの(1)=VCCと(7)=GNDに470μFのコンデンサを付けるとおまじない程度には良いと聞いたので付けています。

ビデオアンプ近くのボリューム(明るさ)を調整してもまだ残像が出ます。アンプ付近の他のコンデンサも劣化しているはずなので、ついでに交換してみたいと思います。まずコンデンサを買うところから。

秋葉原で買って帰ったものはどうにもサイズが一回り大きいので、結局モノタロウで買い直しました。表面実装タイプの電解コンデンサは、少なくとも大きいサイズと小さいサイズがあるので皆さまも本当に注意してください。

映像周りのコンデンサを一通り交換しました。フラックスを活用することで、綺麗に半田付けをすることができました。フラックスを塗る→仮ハンダする→反対側を本ハンダする→仮の方にもう一度フラックスを塗りハンダ、とやると確実に付くと思います。

改善はしているのですが、それでも白が一部滲んでいます。またゲーム画面(特に『ギャラガ』)によって輝度がまちまちになっているのも気になっています。

ここまで対応して解決しないとなると、モニターの相性を疑うべきだと判断しました。時代的にも合うナムコのエクセリーナII(モニター基板はMS9-29)で立ち上げてみます。

色も輝度もしっかり出ていますのでモニターの相性だと思います。ただビデオアンプ付近のコンデンサの液漏れは間違いなくあったので、対応自体は間違っていないでしょう。

たまに1Pの下が入らないことがあったので、FLI11,FLI12,FLI13を再ハンダしました。どうやらNA基板でもここのハンダ不良が原因で接触不良を起こすらしいです。

入力がちゃんと効きました。少し揺らしたりしても問題無かったのでこれで修理完了です。

【作業内容】
・ビデオアンプ付近のコンデンサ全交換
・フィルターICの再ハンダ

アルファ電子 『カイロスの館』(C) の修理

eBayで見かけたので物珍しさで『カイロスの館』のコピー基板を購入しました。純正基板は2枚構成なのに1枚に収まっているというところが大きな特徴でしょう。

『エクイテス』、『ハイボルテージ』、『スーパースティングレイ』のコピー基板は見たことありますが、ここまで形が違うこの時代のアルファコピー基板は初めてです。

あまりにも汚いのでママレモンで洗いました。フラックスと思われる粘着性のある液体がそこら中に付いているのが謎です。しっかり水気も飛ばしたのでスイッチオン。

この画面で止まります。こういう時は68000(18)のリセット信号を見てみます。

リセット信号が上下にパタパタしています。信号の先を追いかけると68705(カスタム部分)の(2)に来ていました。つまりMPUがもがれているこの基板単体だと詰みです。カスタムを飛ばしたコピーができなかったコピー業者の敗北とでも言えますでしょうか。それはさておきこのままだと汚いパーツ取り基板です。せっかくなのでもう少し粘ってみます。

ジャンクの『名人戦』からALPHA-8511(=68705)を移植しました。

立ち上がりゲームが動いていますがゴミゴミしています。カスタムのソケットがあまりにもゆるゆるだったのが原因に思えたので、これを新品へと交換してみましょう。

フラックスらしき液体がこびりついているだけでなく、ソケットも錆びてるのか全然外れなかったです。しかもスルーホールを抜かないようにしなければならないので、取り外しには非常に苦労しました。

ソケットを新品にして立ち上げると大分画面が安定してきました。ただ明らかに色が出ていないだけでなく、キャラが少しチラチラしています。キャラのちらつきはROM脚磨きと挿し直しで何とかなると信じて対応しました。

5から10のROMを磨いてから挿し直し、11を取り外してみるとソケットがボロボロでした。ボロボロの13番はデータ信号ですので、ここを交換すると確実に改善するはずです。

こちらもフラックスらしき液体がベッタベタでしたので、フラックスクリーナーとエタノールで清掃しつつソケットを付けました。

キャラのちらつきもなくなり色も正常になりました。

純正の『カイロスの館』は36pin+サウンドボードの12pinというハーネスですが、このコピー基板はサウンドボードも含めて36pinにまとまっています。この基板用のハーネスを作っていきましょう。

使われている音声アンプのC1181Hは5が音声出力で7が電源(12V)なので、テスターやオーディオプローブを使ってコネクタを特定します。基本は純正と同じでsyncの裏が12V、Rの裏がSP+でした。

という訳で作ったハーネスはこちら。多分この『カイロスの館』(C)以外使い道はない気がします。ゲームを遊んでみるとPSGとFMの音声バランスが変、具体的にはFMの音量が妙にでかいです。また画面全体がチラチラするときがあります。

BGMの合成はこのR50,R51,R52で行っていました。それぞれYM3014からのFM、YM2203CのSSG部分、PSGが来ており、写真手前側で連結されています。純正基板を調べると全ての抵抗が10kΩなのに対して、このコピー基板はR52(FM)のみ2.2kΩでした。ここを10kΩに交換すると音量バランスは正常になりました。こんなところをわざわざ前オーナーが替えるとも思えないので、製造時からこれだったのでしょう。

画面がチラチラする症状を追いかけていますが、ここはコンデンサが正しく付いているのかを疑いました。

アルファ電子基板のコネクタ付近にあるコンデンサは470μFなのに、220μFが付いているので不安がよぎります。ひとまずここ以外は付いていたコンデンサと同じ容量のものを付けてみましたが、特にちらつきは代わりませんでした。

PSGが弱っている結果ノイズを出している可能性もあるので、それぞれ取り外して新品と交換しましたが症状は改善されませんでした。

元の基板のボリュームは10kΩなのに対しこの基板は1kΩだったので、10kΩに戻しても何も改善しません。逆に音量調整がしづらくなったので1kΩにしました。

元のサウンドボードを見ながらコンデンサの容量を合わせてもノイズが出るので、設計上の問題ではないかとも思えてきます。追いかけた限りではC1181H(5)→100μF→470μF→SP+であり、12Vのラインには1000μFが付いていました。

セラコンが割ともげているので、ダメ元ですが付けていきましょう。

セラコンが付いているべきであろう場所に片っ端から付けてみました。コストカットの一環で割と付いていなかったのではないでしょうか。

画面のノイズは割と解決しましたが、100%の解決とまではいきませんでした。コピー基板ですしこれ以上はどうにもならないと思います。強いて言えば合成音声の音量が小さい気がしますのでもう少し見ます。

効果音用の音声ボリュームから遡って合成音声の最終抵抗を探します。R44に辿り着き、抵抗に22kΩが付いていました。

他が10kΩなのにこれだけ22kΩというのは変なので10kΩに交換します。

ボイスバランスは純正基板に大分近くなりました。1周クリアまで遊びましたがまあ大丈夫でしょう。

LUNCH WAKANAとあるのは、当時アルファ電子で取ってた仕出しの弁当屋とのことです。まだあります。またゲーム中に出てくる犬の名前はチラシだと「愛犬1号 タルボット」とあるので、アルファ電子のあのタルボットでしょう(リンク先は愛犬不在のパート2)。

【作業内容】
・ハーネス作成
・カスタム(ALPHA-8511)追加
・ソケット交換
・ROM脚磨きと挿し直し
・抵抗交換
・電解コンデンサ交換
・セラミックコンデンサ取付

NOVA GAMES 『インテレピット』 の修理

起動したけど絵がバケバケだった『イントレピッド』を預かりました。(C)表記のされているNOVA GAMESのROMシールが貼られているので間違いなく純正でしょう。

原題が『Intrepid』であり『インテレピッド』という表記も見たことがあります。Wikipedia情報ではありますが「イントレピッド(: Intrepid)とは、「大胆不敵」を意味する英語の形容詞である。」とあるので、この記事では『イントレピッド』とします。

追記
タイトーによるDIP表での表記は『インテレピット』でした。まだまだ知らないことばかりであると痛感致します。タイトルは正しい表記に変更しましたが、本文に関しては自戒も含めそのままとしておきます。

動作チェックをしようにもハーネスがなかったのでタイトーハーネスを作りました。Hコネクタの12pinが入手困難と言われていますが、モノタロウで普通に買えます。その辺については『ナイトストライカー』のJAMMA変換ハーネス作成記事をご覧下さい。

立ち上げるとチラチラして9101という数字が出てそれ以降進みません。

一番対応コストが低いフラットケーブルの接触不良を疑いました。フラットケーブル部分に接点洗浄剤を吹き、何度かコネクタを抜き差しします。カプコンの古い2枚基板はこれだけで改善する場合が結構あります。

予想は的中して立ち上がりました。ただ音声にノイズが乗っていて、ボリュームを最大にしても非常に小さいです。ちなみにOPで流れるしんみりする曲はバイエルン・レーテ共和国の国歌、つまりは「インターナショナル」=社会主義や共産主義を代表する楽曲です。赤い国の大使館に忍び込むというゲーム内容には即しています。

オーディオプローブで調べるとPSG音源からは音が高らかに出ていますが、コンデンサからの出力は怪しいです。

アンプを交換するのは手間なのでサウンド周りのコンデンサ4点を交換しました。立ち上げると高らかにOPデモ曲が鳴ったので修理完了でしょう。

下ボードのみ片側ソケットを使っていました。片側ソケットは『イー・アル・カンフー』や『沙羅曼蛇』などの古いコナミ基板やVSシリーズなどの任天堂基板で多用されており、今回は2点だけだったのでついでに交換しました。

ゲーム内容はスパイを操作して大使館から密書を持ち出すという一風変わったものです。

変装メガネ、ランニングシューズ、傘、IDカードなどを大使館から拾い集めていき、最後は鍵の付いた部屋の奥の金庫から書類を盗み出します。

そして最後は傘を使ってビルの外から脱出してステージクリアです。アーケードというよりかはパソコンゲームらしいゲームデザインだと思います。

【作業内容】
・フラットケーブルの接点洗浄
・コンデンサ交換
・ICソケット交換(故障ではないのでやらないでもよい)

アルファ電子 『ジャンピューター』 の修理

ROMシールがアルファ電子のものに見えたので、ジャンクの『ジャンピューター』を購入しました。AD-81-00と書かれている型番は”A”lpha”D”enshiの”81″年の基板と見えますが真実はいかほどに。

基板に「1人用スタートしない」とマジックで書かれています。

画面端に「サンリツ キ゛ケン」と出るので純正と思って間違いないでしょう。そしてマジックで基板に直接書かれている通り1Pスタートが効きません。

入力信号を見ている74LS368の波形を見ると8G(12)のみLOWになっていました。スタートボタンを押すと波形は上下に動くので、その先からここまでの間で何かがおかしいのではないかと思います。

MR1の集合抵抗の値を図ると1つだけ2.2kΩではないので取り外します。手元になかったので発注してひとまずは保留としました。

デモ画面で放置しているとリセットが掛かったり画面が化けてフリーズしたりしていました。大量に直付けされているDRAMを1つ1つ外すよりも楽なので、ソケットに付いているEPROMからチェックしてみましょう。

手元の純正基板のROMと比べると1,2,8,9が少しだけ異なりました。

多分これが原因なはずなのでこの4つを焼き直してみました。

しばらくデモを付けっぱなしにしてもフリーズしなかったのでこの問題は解決したと思います。あとは入力不良のみです。基板が汚かったのでママレモンで洗ってパーツの到着を待ちましょう。

新品の集合抵抗を付けましたが症状は変わりませんでした。そうなると先程の74LS368不良以外考えにくいです。この前修理した『パロディウスだ!』の入力不良と全く同じパターンです。

74LS368の交換で直りました。色々と回り道をしましたが直ったのでヨシとします。

【作業内容】
・基板洗浄
・ROM焼き直し
・2.2kΩの集合抵抗交換(不要の可能性もあり)
・74LS368交換

任天堂 『VSマッハライダー』 の修理

『VSマッハライダー』のROMとPPUを買ったので、『VSクルクルランド』の反対側に取り付けました。反対側の『VSクルクルランド』は動いているので大丈夫だろうと思いスイッチオン。

同期が取れていません。PPUに触ると同期が取れたのでソケット不良でしょう。ソケット不良問題は3枚一気に直したVS基板、そして少し前に『VS忍者じゃじゃ丸くん』でも発生しました。仮に新品のソケットへと交換しても、PPUを何度も抜き差しするとソケットがガバガバになるというのは教訓でした。

立ち上げると画面がびっくり!!僕のVSシステムもまっ赤っか!ということで映像面に問題がありました。元の基板はeBayで買ったものなのでこんな物でしょう。

上が『VSマッハライダー』のR信号、下が『VSクルクルランド』のR信号です。信号の出力先を見ると2PのCD4066BEでしたのでこのICに原因があるはずです。もう1枚持っているVS基板から拝借したら正常な信号が出ました。感動もつかの間立ち上げて一定時間が経つと色がおかしくなったので、まだ別のICに問題があると思われます。

RとGの波形は問題無かったですが、Bの信号が明らかに異常です。

4PのCD4066BEも手元のVS基板と交換しました。

色味が正常に出ました。主人公のマッハライダー(多分)も色鮮やかです。

『VSマッハライダー』はステージクリアをする度に少しずつ女性の絵が出るのが大きな特徴です。コンテニューでその場復活するので、お金さえつぎ込めば最後まで見られるのは脱衣麻雀と同じ方式。

左手にナイフを持っているのが世紀末感を出ています。ここまで遊んでも色味に問題が出なかったので修理完了でしょう。CD4066BEは注文したので届いたら入れ替えます。

新品が届いたので交換しました。これでようやく修理完了です。

【作業内容】
・CD4066BEx2交換

ジャレコ 『VS忍者じゃじゃ丸くん』 の修理

『VSじゃじゃ丸くん』のROMセットとVSマザーを預かったので組み合わせて見ました。起動しなかったので、ROMソケットx12とCPUとPPUのソケットを交換しました。以前に直したVSシステムと同じ対処法です。

立ち上がりましたがスコア表記が「SCORA」となっています。VSシステムは2A/2Bと8A/8BがキャラROMなのでそのSRAMが怪しいと判断しました。

ツールでROMの中身を見てみましたら確かにキャラROMでした。

予想通りSRAMが死んでいましたので新品へと交換しました。

スコア部分の表示が直りました。

もう片方の『じゃじゃ丸くん』はタイトル画面にガマガエルがいないだけでなく途中で止まります。PPUを入れ替えたら症状が転移したのでPPU不良でしょう。

海外で出ているPPUチェンジャーと『VSベースボール』のPPUを組み込んでみます。チェンジャーは8連DIPタイプなら問題無いですが、3連DIPx2のタイプだと2C04から2C05にするときジャンパが必要です。

ちゃんとガマガエルが表示されゲームも遊べました。PPUが余っているということもあまりないと思いますが、そういった状況でしたらPPUチェンジャーを持っておくと良いのかもしれません。

【作業内容】
・ICソケット交換多数
・SRAM交換
・PPUチェンジャー組み込み