ユニバーサル 『ギャラクシーウォーズ』(ROMC/白黒)の修理

この修理日記ではなんと4回目の『スペースインベーダー』基板の修理日記です。今回は立ち上がらない白黒版の修理となります。確かにAV7000で立ち上げると電源が入りません。これは電源ラインがショートしていて、保護回路が働いているからでしょう。

過去に直したものは音が小さい『パートII』DIPとI/Oが死んでいたミッドウェイ版eBayで拾ってきたジャンクの『パートII』の3枚です。お暇な時にそれぞれどうぞ。

あまりにも汚かったのでまたママレモンで洗浄しました。

ROMボードを見ると基板は純正なのにROMはどう見てもコピーです。

ケースには「水車」「ギャラクシー」と書かれています。『スペースインベーダー』のコンバージョンでROMが少なく、タイトルに「ギャラクシー」と付くのは『ギャラクシーウォーズ』一択でしょう。

修理に話を戻します。テスターでエッジコネクタに当たるとGNDと12Vが導通しています。どこのボードが悪いのか切り分けて調べてみましょう。

中央CPUボードの上にある16V22μFのタンタルコンデンサがショートしていました。特にここのタンタルはショートしやすいとのことです。

耐圧を上げて25V22μFのタンタルコンデンサへと交換しました。ただ交換しても導通している模様です。

この8 x 2 = 16個のタンタル(35V1μF)のどれかがショートしている模様です。

手前に倒した8個のタンタルがショートしていました。かなりの数です。

他のタンタルも近々爆発しそうな気がしたので、この際全部替えておこうと思い取り外しました。タンタルはなかったので注文。

タンタルが届いたので一通り交換しました。16個となるとなかなかの作業です。GNDと12Vが導通していないことをテスターで確認した上でスイッチオン。

予想通り『ギャラクシーウォーズ』が立ち上がりました。ユニバーサルやタイトーといったメーカー表記がないタイプのROMです。

「GOOD」と出るまで遊びましたが、サウンドも含め異常は見当たりませんでした。

元の鉄ケースに戻し、再度動作確認を行いましたが、異常は見当たりませんでした。これで修理完了とします。

【作業内容】
・中央ボードのCPU近くのタンタルコンデンサ(16V22μF → 25V22μF)交換
・中央ボードDRAM近くのタンタルコンデンサ(35V1μF)x16交換

ウエストン 『ライオットシティ』の修理

ウエストンの『ライオットシティ』を入手しました。ROMCは何度か見たことありますが、純正の『ライオットシティ』は初めて見ます。『ワンダーボーイ』シリーズ、特に『モンスターランド』のファンとしては同じ開発元のタイトルとして押さえておきたい1枚です。

ゲームの動作自体は問題がないのですが、音量を上げるとノイズ音が出ます。CPUを別のマザーへと移し替えて遊んでいましたが、このまま音のおかしいマザーを放置するのも良くないので調べてみます。

何故かコンデンサがホットボンドで固定されて付いています。気味が悪いので外しておきましょう。

ボリュームが交換された跡がありましたが、回路図通り2kΩなので問題無しです。

アンプは大丈夫そうなので、アンプ付近のコンデンサを一通り交換してみます。写真だと奥の470μFのコンデンサは跡が目立っていたので抜けていたのかもしれません。

手前の470μFはスルーホールが死んでいたのでジャンパしました。コネクタCとD(+5V)の部分がジャンパされているという、あまり意味の無い処理がされていたので取り外しました。

音声問題が解決しました。簡単に直って良かったです。コンデンサ交換で音が直ったのは過去事例だと『エアバスター』くらいでしょうか。アンプが死んでるとか音源が死んでるとか別の理由の方が多い印象です。

上ボードも下ボードも割と汚なさが目立ったので洗浄しました。紙のROMシールでもそのままで大丈夫な場合がありますが、今回みたいな風化しそうなのはROMを外してから洗った方がいいです。

ゲームは見ての通り『ファイナルファイト』の模倣作です。武器やつかみ時の追加攻撃、投げの無敵がないといったところは残念です。

ゲーム中やOPは青いチョッキを着ていますが、エンディングの1枚絵はチョッキがないので完全にコーディーです。それに対して2Pのボビーは歩き方も含めオリジナリティが高いので必見だと思います。PCエンジンSUPER CD-ROM2で『クレスト オブ ウルフ』という名前で移植されていますが、同じくらい淡泊な内容なので興味がありましたらどうぞ。

【作業内容】
・基板の洗浄
・ジャンパと追加されたコンデンサの除去
・アンプ付近のコンデンサ交換

タイトー 『ルパン三世』の修理

画面が反転しっぱなしの『ルパン三世』を預かりました。

確かに『スペースインベーダー パートII』とは上下が逆に出ています。DIP2-4がフリップですが、どちらへ入れてもこの向きに出ているので何らかの故障は間違いないです。

IC13の7417の出力が変に見えたので、取り外してもチェックしてもICチェッカーでは異常なしでした。ソケット化して戻してみたところ画面の向きが正常になりました。

フラットケーブルの接触だったと思い、接点洗浄剤を拭いていったん修理完了としました。

後日立ち上げるとまたフリップしっぱなしでした。流石にこれはフラットケーブルの接触ではないと思いますので、オシロスコープ片手に本格的に調査してみます。

画面反転の信号は『スペースインベーダー』の回路図上だと文字通り「VIDEO INV」でした。下ボードのIC15=74LS86の(1)へ信号が来ている模様なので、とりあえずここの波形を見てみます。

正転と反転はONかOFFしかないので、波形が浮いているというのは異常です。この信号は下ボードより上流、つまりは中央のCPUボードから来ていますので、パターンを追いかけていきます。

VIDEO INVの信号が来ている所のみハンダが付いていません。ハンダ割れとかではないので製造ミスの可能性が出てきます。基板が製造されてから約43年、ゲームセンターやマニア、そして基板屋でそのままだったのかと思うと感慨深いです。

念のため多めにハンダを盛っておきました。

衝撃を与えても問題なく画面が正常に出ています。

下ボードのIC15(1)の波形はGNDに落ちていました。2Pスタート時にはHIGHになっていたので修理完了でしょう。

2PのI/Oがスタート以外反応しなかったので、付属のハーネスを見てみたら1P部分のみの配線がされていました。付属のハーネスはチェック用でしかないので、ここに対してはそんなものだと思います。

2Pの上下左右とワープボタンが反応していますので、これで修理完了とします。引っかかると銭形にすぐ捕まるので4方向レバーで遊んだ方がいいでしょう。

【作業内容】
・フラットケーブル接点洗浄
・中央ボードのフラットケーブル部分にハンダを盛る
・付属のJAMMA変換ハーネスへ2P部分の配線

セガ 『ピットフォールII』の修理

未チェックジャンクでeBayに出ていた『ピットフォールII』の基板です。割安だったのですが、特に問題なく動いたのでラッキーでした。

しかしちょっと時間をおいて立ち上げたところ背景が化けていました。こういう時は接触だろうと背景のROM(EPR-6469~6474)を触ってみると、EPR-6473に触れたときにキャラ化けが消えました。ここの接触でしょう。

任天堂VS基板コナミの古い基板でおなじみの片側ソケットでした。

古いと外しにくいソケットも多いですが、今回はサクサクと外せました。

多少衝撃を与えてもキャラ化けが出なくなりました。ソケット1個の交換で良かったです。

テーブル筐体に入れて遊ぶかと思ったらまた違ったキャラ化けが発生してしまいました。再点検します。

移動中にキャラ化け→接触だろうと判断し、一番怪しいこのサブボードを抜き差ししてみました。型番は「171-5208」です。ソケットは両側タイプだったので交換せずそのままにしました。セガシステム1のこのタイプはとにかく接触不良に悩まされるので、多少高くても1枚基板版というか後期版を買った方がいいと思います。

問題なく最後まで遊べました。覚えることが一番多いのが1面で、あとはマップさえ覚えれば1面クリアまでに会得したテクニックでどうにかなります。そのためクリアまでの難易度は低い方ではないかと思います。AC版の移植もなく稼働店舗も早々無いですが、見かけたら是非1面クリアまでだけでも遊んで欲しいセガシステム1の名作です。

【作業内容】
・ICソケット交換
・サブボード挿し直し

タイトー 『ルナレスキュー』の修理

起動したら画面が化けていた『ルナレスキュー』をお預かりしました。写真に写っている一番上のボードはサウンドボードですが、『スペースインベーダー』からかなり手が入っています。

よく見るとボリュームが破損していました。昔のタイトー基板はボリュームが垂直に付いているので、どうしても破損しやすいと思います。『ドンキーコングJr.』の修理の時にまとめ買いした50kΩのボリュームへと交換します。

PC-8001のグラフィック画面のような絵が出ています。デモ画面は途中で右半分が大きく乱れるので、なかなか一筋縄ではいかなさそうな雰囲気です。

『ルナレスキュー』は『スペースインベーダー』と同じ基板だから使えましたが、ミッドウェイ版2枚目の『スペースインベーダー パートII』の時に使ったテストROMを使うと、この画面を最後に再起動します。この画像からするとDRAMは問題なさそうに見えます。

直った『パートII』の上ボードと中ボードを使って起動しても画面が化けているので、下ボードに原因があることは間違いないでしょう。

直付けされているROMは手を付けたらどうにもならなさそうなので、ソケットに付いているEPROMのチェックと白ソケットの交換を行ってみます。

今までよく動いていたなあと思いますが、パキパキに脚が折れています。脚を補強してチェックしてみましたが、「RE 17/18」が2バイト違うくらいであとは問題ありませんでした。

白いソケットも交換してみました。立ち上げてもキャラ化けが直るわけでもなかったので、予想はハズレということになります。全体のパーツ数も少ないので片っ端から調べてみようと思います。

IC17の7486へ入力が来ているのに、出力はHIGHになっているので変です。他の出力もHIGHだったりLOWだったりしたので、壊れているのは間違いないです。

外してチェックするとパターンごと取れそうだったので、切り飛ばして交換しました。

キャラ化けが直りました。スプライトがない基板なので今までと勝手が違うだけでなく、今回はテストROMもそこまで役に立たなかったので苦労しました。RAMとシフターと音のチェックにはいいと思います。ただ症状の切り分けには使えるので、万能薬という扱いではなく使い方次第でしょうか。

1面クリアまで遊び、しばらく放置しましたが問題ないのでこれで修理完了でしょう。「RE 17/18」は2バイト違いましたが、こうして立ち上がっているのでバージョン違いでしょうか。

【作業内容】
・破損したボリューム交換(50kΩ)
・EPROM脚補修
・ICソケット交換(不要の可能性が高い)
・7486交換

後日また壊れました。グラフィックが連続して出るという不具合です。

チェックROMを使っても同じ表示であり、RAMはOKと出ています。サウンドボードやCPUボードではなく下ボードのTTLに問題があるとまで絞り込めます。

片っ端から調べた方が早いと判断したので、TTLの出力を調べてみることにしました。IC27の7483(2)の波形が変です。

74LS83を注文したので交換してみます。

直りました。以前直したICの真横というのがちょっと気になりますが、問題無く動いているのでヨシでしょう。ちょっと付けっぱなしにして様子を見てみます。

8時間ほど通電していますが特に問題がなさそうなのでこれで修理完了とします。

【作業内容】
・7483交換

SunA 『ラフレンジャー』の修理

先日の韓国『テトリス』の修理用に74LS298を、『タイムパイロット』(C)の時に74LS377を拝借した『ラフレンジャー』にパーツを戻してみました。

画面がおかしいです。部品取りにしてしまった『ラフレンジャー』といえど、直しておいた方が良いので修理してみようと思います。

E7の6116のDATA部分にプローブを当てると画面が変化します。DATAということは出力なので、ひとまず外してチェックしてみるも問題はなし。『ラフレンジャー』の基板は作りが適当なのかスルーホールやパターンが弱いです。「コピー基板かよ」と思いますが、韓国製なのでそんなものなのかもしれません。

このSRAMを外したまま起動すると表示はおかしいですが、ちゃんと黒が出ています。つまりSRAMの出力以降の何かがおかしいと目星が立ちました。

この適当についている74LS169はちゃんと付いていなさそうに見えることと、SRAMへのアドレスを出しているので交換してみましたが特に変化はありませんでした。DATA以降の部分でしょう。

いくつかのICを外してみて確信したのですが、『ラフレンジャー』のパターンはとにかくとれやすいです。そこで韓国『テトリス』用に拝借した74LS298へはソケットだけ付けていましたので、もしやと思いソケットを外してみました。

D7の74LS374へのパターンはかろうじて繋がっていますが、その下の集合抵抗へは繋がっていませんでした。

距離が短いので両方の脚を曲げてハンダ付けしました。

無事に黒が戻ってきました。

DIP2-8が無敵なので最後まで見てみましたが大丈夫でしょう。写真でお分かりの通り『ローリングサンダー』をベースにしています。アルバトロスの特徴ある動きがそのままなので、動かしていると面白くなってきました。

『ローリングサンダー』のヒットを受けてセガからは『SHINOBI』、タイトーは『クライムシティ』と各社類似品を発売していましたので、その煽りを受けての登場でしょう。カプコンUSAが売っていたというのが凄い。

【作業内容】
・パターン切れ修復

コナミ 『タイムパイロット』(C)の修理

eBayで格安で出ていたので『タイムパイロット』のコピー基板を買いました。以前直したのは続編の『タイムパイロット’84』なので、これが直れば両タイトルを持つことになります。

基板には「TAIMU-PAYLOT」と印刷されています。日本人がコピーしたのでしょうか。

上ボードも下ボードもクリスタルがもげています。14.318MHzと18.432MHzのクリスタルは普通に変えますのでまだよかったです。

上下共に新品のクリスタルに交換しました。さてどうなるか、スイッチオン。

絵は出るけど起動はしないといったところです。

起動しないといったらZ80(26)のRESET波形を見てみると上下に動いていました。HIGH固定のはずなのでこれが原因でしょう。

回路図上だとIC2とある82S153の(12)からリセット信号が出ています。別の『タイムパイロット』にこのICを挿したら起動したので、このIC自体は生きているはずです。

L6(Tile)のROMへは波形が全く行っていないというのも気になります。

基板自体がボロボロのサビサビだったので、ソケット化されているものを外してヤスリがけをしようとしたらPROMx2がダメになりました。幸いにも82S123Nはあったので焼き直しましたが、PROMを無駄にしないためにも直したいと思います。

手詰まりを感じるので、SRAMを外してチェックを掛けるも全て問題無さそうでした。この基板の下ボードには番号が降っていないのでICの場所が表記しがたいのですが、右上の74LS293(10)が上下にパタパタしていたので追いかけます。

ここの74LS74(5)に辿り着いたので交換しますが、特に起動するといったことはありませんでした。

また手詰まりを感じたので、リセットを出している82S153や波形の来ていないROMから離れて、端から波形をチェックしてみることにしました。するとソケット化されていた74LS368(11)にプローブを当てると先に進んでクロスハッチが出ました。

波形は74LS138(13)から来ていました。どう見ても怪しいので交換します。

立ち上がりました。基板には「TAIMU-PAYLOT」とありましたが、『スペースパイロット』でした。TIMEの文字スペースに無理矢理書いたSPACEの文字がうさんくささを出します。

キャラが化けていて音が出ません。まず音の方が何とかなりそうなので見ていきます。

Z80とPSGx2とROMをチェックするも問題無さそうでした。PSGの内1つは外したら脚が根元から折れたので、手元のと交換しました。やっぱりボロかった。

直付けされているのでやりたくなかったですが、2114が2個あるのでチェックしてみたところ、1個壊れている模様です。交換したら音が出るようになりました。

現状はこんな感じでスプライトが出ています。爆発や雲が真四角になっており、正常に読み出せていません。

1枚目が今回の『スペースパイロット』のスプライトROMのDATA部分、2枚目が動作品の『タイムパイロット』(C)のDATA部分の波形です。明らかに変な波形が混ざっています。

ソケット化されていた7404の波形がおかしい気がしてチェックするとNGでした。ここを交換しましたが特に変わりません。

スプライトROMの(22)=Output Enableを調べるとLOW固定でしたが、回路図を見ると本来は波形が出ているはずです。

ソケットがボロボロだったので外した時にスルーホールがやられたパターンでしょう。回路図を見ながらジャンパしました。コナミのコピー基板は作りが弱いのか、結構持って行かれることが多い気がします。

二重に表示されていますがあるべきスプライトは全て出ました。もう一息でしょう。

2114と6116以外にMBM2148LがSRAMとして使われており、外してチェックしても問題はなかったのですが、外側の2148を外すと表示が正常に近づきました。SRAM自体は無罪となるとこのアドレス部分に異常があるはずです。

アドレスが来ているのは2つの74LS163で、(7)(8)をプローブで接触させると表示が大きく変わるので(4)から(7)のアドレスを出している方が怪しいように見えます。

そこまで波形に異常があるようには見られず、ピギーバックをしても何も変化しませんでしたが、ダメ元で交換してみます。

正常にスプライトが出るようになりました。ある程度遊んでみましたが、異常が出なかったのでこれで直ったのでしょう。

純正の『タイムパイロット』はカスタムが多数使われており、回路図もそれに準拠しています。そのためコピー基板を直す際はあくまでも参考程度にしかならずそこで苦労した気がします。サブボードでカスタムを再現したコピー基板やサブボードなしデッドコピーなど、大ヒットしただけにコピーのバリエーションも盛りだくさんというのが特徴でしょうか。

安かったとはいえあまりにもボロボロで多数壊れていたので、多分普通にコピー買った方が安上がりで状態が良かったと思います。

【作業内容】
・基板洗浄
・XTAL取り付けx2
・74LS74交換
・74LS138交換
・2114交換
・7404交換
・74LS163交換

~以下不要の作業~
・PROM焼き直し
・ソケット交換
・パターン修復

D.R.KOREA 『アルカノイド』改造版『テトリス』の修理

起動しないタイトーのジャンク基板と書かれている基板を入手しました。基板はサイズと色からして『アルカノイド』ですが、ジャンパがありROMシールが純正ではないので、サウンドに『ウシャス』(MSX2)が勝手に使われている韓国『テトリス』のはずです。

よく見るとHコネクタ付近に「ウチャステトリス不動」と書かれたシールがあります。立ち上げると真っ白な画面でウンともスンともしません。

Z80のCLOCK(6)は来てたので、RESET(26)の波形を見てみると上下にパタパタしています。HIGH固定であるべきなので、ここがおかしいはずです。

『アルカノイド』は回路図があるのでそこからRESET信号を追いかけると、IC19の74LS08(8)→(9)→IC20の74LS04(8)→(9)→IC21の74LS393(8)→(13)=(6)→(1)と繋がっています。

74LS393(1)は見た感じ正常っぽいのでどうするか・・・と思っていたらZ80がアツアツでした。

ここまで熱くなるのはおかしいので、手元のZ80Bへと交換します。(この後ジャンパしたKABUKI CPUに交換)

Z80Bを交換して立ち上げると絵は出るようになりましたが立ち上がっていません。プログラムROMは問題なかったので、隣接するIC15のSRAMを調べてみましょう。

死んでましたので手元の6116と交換します。

画面の変化はありますが、起動しないというところは変わりません。気になるのでIC51,IC57,IC58のSRAMも調べてみます。

IC51のCXK5814Pのデータの波形がおかしいです。

外してチェックに掛けるとこれも! BAD !と出ました。ここまででZ80とSRAMが2個と中々の壊れ具合です。『ブラックドラゴン』の修理の時に買った2018があったのでそちらと交換しました。

まだ立ち上がりません。

Z80B→プログラムROM→RAMと流れているDATA BUSを回路図上で眺めつつ信号を追いかけると、IC27の74LS374(1)がどう見ても変です。

回路図上ではCATCHとあるので追いかけるとIC25の74LS155(4)に辿り着きました。手元に在庫があればニッパーで切り飛ばして新品を取り付けるのですが、74LS155は無かったので丁寧に外してICチェックに掛けます。

予想通り壊れていました。ICを注文し、妙に汚い基板をママレモンで洗ったので本日の分はこれで終了とします。

74LS155を入手したので取り付けましたが、特に変わりはありません。

今まで音量を0にしていたのですが、試しに音を出してみるとPSGの一音がノイズだらけでした。PSGを交換したところ『ウシャス』のエンディング曲が軽快に流れるようになりました。中々のジャンク具合です。

キャラROMの(2)がHIGH固定だったのが気になったので追いかけてみます。

IC50の74LS298(15)から出ていました。基板の状態が悪く綺麗に取り外し出来なかったので、ニッパーでぶった切り『ラフレンジャー』から74LS298を調達して付けてみます。しかし画面は変わらず真っ白。

片っ端から波形をオシロで調べてみるとIC87の74LS74(9)の波形がパタパタしていました。ここを交換すると症状はなくなりました。

4Q以外はLOW、CLEARと4QとCLOCKはHIGH固定になっている74LS273がどうも怪しいと睨んでいます。ただCLEARはZ80のリセットと同じなのでHIGH固定で正解、CLOCKは交換した74LS155(10)から来ているので、ここもどうなんだろうといったところです。外してみると絵が出てきました。

この『テトリス』は配線が独自です。わざわざこれ用にハーネスを作るのも勿体ないので、PSGの裏から出ている配線と入手した配線図を元にタイトー配列にしていきます。

1Pと2Pの左右はそのままだと『アルカノイド』の信号が出ていて入りっぱなしになるので、カッターでパターンを切りました。

ふと思い立ちIC51のSRAMを外して立ち上げた時の挙動を見ようとしたら、ゲームが問題なく立ち上がりました。

回路図を見るとキャラと背景のデータバスに絡んできますが、外すと動くというのは想定外でした。流れている音楽と合わさって「そ ん な  あ ほ な !?」という気分に包まれます。

他の画像を見てもIC51のSRAMは付いているので、何故この基板ではSRAMが不要なのかが分かりません。ただ現状立ち上がって動いているのでヨシとします。あの壊れていたSRAMはあれで良かったのかもしれません。

入力が左右ひっくり返っていたので、上の図を元に再配線しました。

1P2P共に問題なく遊べました。ゲーム中のBGMはウシャスの2面であるDUNHUANGの曲が流用されているのでそれだけで満足です。コナミのMSXといえばSCCという印象が強いですが、『ウシャス』や『シャロム』のような心洗われる美しいPSGサウンドも捨てがたいです。個人的には両タイトルとも『シャロム』の箱入り娘以外お気に入りですが、ゲームがそれぞれ癖があるってところが足を引っ張っているのでしょうか。 

【作業内容】
・Z80B交換
・SRAM交換x2 (内一つは不要?)
・74LS155交換
・AY-3-8910A交換
・74LS74交換
・74LS161交換(替えたら同期周りが安定した)

任天堂 『VSスーパーマリオブラザーズ』と『VSエキサイトバイク』 の修理

eBayで未チェックジャンクの『VSスーパーマリオブラザーズ』と『VSエキサイトバイク』のセットが安く出ていたので購入してみました。立ち上げると両方とも起動しなかったので、早速嫌な気分になります。

過去の成功体験を信じて深く考えずにソケットを交換しました。

ダメです。ウンともスンとも言わないので、プログラムROMの波形を見てみましょう。

信号がパタパタ動いているので、定期的にリセットが入っているのでしょう。

CPUである2A03(3)がRESETですが、ここが上下に動いています。

CPUを交換しても変化無し、プログラム部分のSRAMを外してチェックしても問題ありません。回路図を見る限りCPUとPPUが相互に連携した上で立ち上がり、PPUの出力(39)のALEが出ていないのでPPU不良の可能性が浮上してきました。CPUと違いファミコンからひっぺ剥がせないカスタムなので死んでいると最悪です。

『VSスーパーマリオブラザーズ』のPPUは『VSクルクルランド』と同じRP2C04-0004なので、手元の『VSクルクルランド』のPPUを持ってきたところ起動しました。替えの効かないPPU不良という最悪の結果でした。

RP2C04-0004の乗った別のVS基板を購入し、『VSスーパーマリオブラザーズ』のROMを移植してこちらは完了とします。ジャンクのVSを買うときはPPU不良=基本は詰みという可能性をよーーーーく考えた上で皆様も手を出しましょう。

『VSスーパーマリオブラザーズ』は無事にクリアまで確認しました。『スーパーマリオブラザーズ』の1と2のちゃんぽんなので、ディスクシステムの『スーパーマリオブラザーズ2』がクリアできれば十分楽しめるゲームだと思います。7-4の迷路は独自なので予習しないと死にます。

『VSエキサイトバイク』もPPUからの出力が死んでいたので、別のPPUを付けた所色が変ですが立ち上がりました。色が変なのはPPUの型番違いなのでいいのですが、すぐにリセットが掛かります。

リセット信号が生成される1J/2K/4C/4EのICをチェックしても特段壊れているようには見えませんでしたが、1Jの74LS123の(10)に波形が来ていないのでこれが原因でしょう。ウォッチドッグ異常問題は以前直した『タイムパイロット’84』と同じ症状です。

この波形は5B(3)の74LS32から来ており、74LS32の(1)が浮いているのが原因です。ただこの(1)の信号は8J、つまりは使用していない側のCPUから来ています。試しに同じ基板(MDS-02-CPU)を使っている『VSクルクルランド』と『VSマッハライダー』から、8JのCPUの抜いてみましょう。

『VSマッハライダー』は立ち上がってすぐリセットが掛かりました。これはこの『VSエキサイトバイク』と全く同じ症状です。つまり「MDS-02-CPUは44pin側でのシングル稼働は不可、シングル稼働する場合は36pin側で起動させなければいけない。また36pin側が立ち上がらないと44pin側もリセットを繰り返す」という仕様でしょう。少なくともMDS-05-CPUでは対処済みですが、シングル稼働させる場合は36pin側を使った方が確実でしょう。

『VSスーパーマリオブラザーズ』のマニュアルには「UNISYSTEM(one monitor)の場合は2Jにカスタムを刺し、ROMは6Aから6D、8A/8B=36pin側にROMを刺せ」と書いてあるので44pin側に刺すのは任天堂の想定外ということでしょう。これを見た皆様もシングル稼働の場合は36pin側(サブ)にROMを刺して運用してください。

色はPPUが違うのでおかしいですが、ひとまず36pin側にROMを持って行ったら動いています。PPUは後日なんとかします。

両方ともPPUが死んでいるという近年まれに見る最悪の結果でした。再三言いますが、皆様もVS基板のジャンクを買うときはある程度覚悟しましょう。

PPUチェンジャーなるものが海外にはあるので、そちらをeBay経由で購入してみました。これを使えば型番のPPUでも何とかなるという大変便利な代物です。

ちゃんとした色で『VSエキサイトバイク』が出ています。ファミコン版と比べると表彰台が大変リッチな見た目になっています。VSはPRGが64Kx4の256K、CHRが64Kx2の128Kとファミコン版の2倍だからこそ出来ることでしょう。

もの凄い回り道とお金が掛かりましたが、VSについて少し詳しくなったのでヨシとします。

作業内容
・ICソケット交換
・PPU(RP2C04-0004)交換
・PPU(RP2C04-0003→PPUチェンジャー+RP2C04-0001)へ交換

カネコ 『エアバスター』の修理

『ヘビーユニット』の基板を買って1コイン1周を達成したので、後継作であろう『エアバスター』の基板を遊ぼうと引っ張り出してきました。すると再生される音量が妙に小さかったので修理してみます。

脚が折れそうですがサウンド部分のカスタムチップであるPX4460を取り外しました。この黒い樹脂?はエタノールとカッターナイフで何とかなるので剥がします。

樹脂を剥がしコンデンサ(16V47μF)を取り外しました。風前の灯火だった脚も全て無くなりました。

16V47μFのコンデンサと脚を付け、基板に戻します。表面実装のコンデンサを取り付けるのは『ナムコ クラシックコレクション Vol.1』の修理以来です。

音も大音量で出るようになりました。これで修理完了でしょう。

「PX4460がちょっと斜めに付いているな・・・」と思い触ったら脚が折れました。パターン自体が限界だったのでしょう。

このカスタムを何とかするというのも現実味がないので、基板上に用意されている空いている回路を利用できないか調べます。

アンプ(LA4460N)からPX4460へは以上のピンが繋がっています。

LA4460Nのデータシートを見ると(4)からは6.3V47μFのコンデンサと0.01μFのセラコン、1.5kΩの抵抗に繋がっています。テスターで当たりつつ調べると『エアバスター』の基板はデータシートと同じ回路のパターンを用意しているように見られます。つまり『エアバスター』はPX4460がダメでも何とかなるという結論になります。

データシートを元に調べたIC表です。

自分を信じてIC表に基づいてパーツを付けていきます。

一通り取り付けました。起動するとちゃんと音が出ているので、『エアバスター』にはPX4460は不要ということで間違いないでしょう。カスタムがどうにもならなかった場合は参考にして頂けますと幸いです。

一通りエンディングまで遊びましたが問題なかったので修理完了とします。散々指摘されていますが、『エアバスター』のED曲は劇場版『機動警察パトレイバー』の「朝陽の中へ」に割とそのまんまな気がします。これは「『パトレイバー』みたいな感じで作ってよ!ほらこれがCD!」といった感じで企画が作曲に発注するとこうなる可能性が高いです。

好きな曲を「こんな感じで」と渡す発注は往々にしてありますが、そこからどこまで原曲に忠実にするのか、どこまでのものを通すかというのは企画とサウンド間で上手いところ決めてください。

【作業内容】
・PX4460のコンデンサ交換
・基板の空いている部分にパーツの取付