アルファ電子 『スカイソルジャー』の修理

ROMシールがSNKではなくアルファ電子という珍しい『スカイソルジャー』の基板を輸入しました。写真右下にループレバー用の13pinコネクタが残っているので、『バトルフィールド』から改造したのでしょうか。ちなみに基板は『バトルフィールド』と同じですので修理に興味があればどうぞ。

カスタムはALPHA-8713でした。使われているのがALPHA-8511だったと思いますが、きっと互換があるのでしょう。

立ち上げると自機の横に線が出ます。

スプライトのSRAMがメーカーから速度までバラバラです。

動作品を見ると120nsだったこととメーカーがバラバラなのが気になるので、手元にあった100nsの6226を取り付けました。ただ特に変わりません。何らかのTTLでしょう。

電圧が4.91Vだったので試しに5.00Vにすると自機の横線が消えました。ただ動作品は4.91Vでちらつかないので、何らかの問題があることには変わりがありません。

動作品と見比べていると3Jの74LS157(5)(8)の間に100pFのセラミックコンデンサがありません。外された後もないので、製造不良と考えていいのかと思います。

セラコンを取り付けました。

4.91Vにしてもキャラ化けが発生しないのでこの問題は解決したとみて良いでしょう。

触っていると画面が化けたのでソケットに問題があると判断し、スプライトとBGのソケットを一通り再ハンダしました。ある程度衝撃を与えても変化がないのでOKとしました。

『スカイソルジャー』はDIP1-4のOFF/ONで日本語/英語、1-5がSNK/ROMSTARの切り替えです。基板1枚で全リージョンが押さえられるというコレクターにも優しい基板です。

いつも通りママレモンで洗浄し、乾かしてみたところ音が出なくなりました。洗う前は動いていたので、何らかの衝撃による故障と考えられます。

L78M05CVの足が1本取れています。他の2本も無理矢理付けられていて驚きます。

無理矢理ハンダとクリップで繋いでみると音が出たので、この故障で間違いないでしょう。手元になかったのでマウザーで注文していったんお開き。

マウザーから新品が届きましたので取り付けます。

無事に音も出たのでこれで修理完了とします。tested workingとありましたが、かろうじて動いてたといった感じなのがやっぱりeBay。

【作業内容】
・基板洗浄
・3Jの74LS157(5)(8)の間にセラコン(100pF)取付
・スプライト用SRAMを揃える(しないでも問題はなさそう)
・スプライトとBG用SRAMのソケット再ハンダ
・L78M05CV交換

任天堂 『マリオブラザーズ』の修理 (2枚目)

eBayに「スプライトが出ないジャンク」として『マリオブラザーズ』が格安で出ていたので購入しました。

立ち上げると画面の左右調整が効きませんがスプライトは出ています。軽く動かした限り他の異常は見当たりませんでした。割と色々壊れていた1枚目とは大違いの展開です。

電池を捨てた上で、ママレモンを使って洗浄しました。これで大分綺麗になったと思います。

基板上で反転させるより反転基板を使った方が綺麗に出るので、CL2にジャンパを飛ばします。

左右調整はH-POSなのでボリュームを交換しました。

正常に動作しています。

14面まで遊びましたが、リセットやキャラ化けが起きることもなかったので、これで修理完了とします。たまにはこういうラッキージャンクがあってもいいんじゃないでしょうか。

【作業内容】
・基板洗浄
・CL2ジャンパ
・ボリューム交換

任天堂 『マリオブラザーズ』の修理

「音が出ないから見て欲しい」というご依頼があったので、『マリオブラザーズ』の基板をお預かりました。「(C) 1983 Nintendo」以降にヤスリ掛けがあるので国内版の基板です。

音は出たのですが、マリオの歩行音がポポポポ・・・と低いです。これは明らかにおかしいので直しましょう。

回路図を見ると「1 WALK」「2 WALK」と書かれているものがあり、順当に考えたら「1 WALK」がマリオの歩行音でしょう。2Hの74LS123から1Jの74LS629→2Jの74LS629を通っています。

1Jと2Jを入れ替えて様子を見てみようと思い取り、ハンダ吸い取り機で取り外すと2Jの74LS629が砕け散りました。

無事に取り外せた1Jの74LS629を2Jへ移植してみます。

マリオの歩行音が聞き慣れたピピピピ・・・という音が鳴ったので、74LS629に問題があると見られます。発色の具合が違うのは基板上でのRGB反転を止め、反転回路で映像を出しているからです。

もう1個の74LS629は砕け散ったので発注します。

ビデオボードのボリュームがあまりにも適当なものが付いています。104 = 100kΩが付いているのも含め、「流石にこれは・・・」と思うので交換します。

手元に『ドンキーコングJr.』の修理時に使ったボリュームがあるので交換して、スポンジとその下の両面テープを捨てました。ちゃんと「TMA1-03-VIDEO」及び任天堂の権利表記が見えた方がいいと思います。

基板上でRGBを反転させると出力が汚いので、反転回路を使って出力することにしました。ついでにちょっと見た目が良くないのでハーネスの手直しをしていきます。

線材の長さを整え、付いていない部分のGNDを配線した上で反転回路を取り付けました。

CL2のジャンパも付けたのでこれで大丈夫でしょう。

やたらとリセットが掛かるので、メインCPUとプログラムROMのICソケットを交換しました。これで暫く様子を見てみます。

74LS629を1Lと2Lの両方に取り付けたところ、マリオの歩行音が『クレイジークライマー』のビルを登る音みたいになりました。回路図を見ると1Jと2Jの出力が1Kで合成されている、74LS629は新品に交換した・・・から推測するに629周辺のフィルムコンデンサに原因があると思われます。

C6の0.0039μとC17の0.022μ、ついでにタンタルコンデンサx2を交換しました。

聴き慣れた足音が出ました。フィルムコンデンサ1つでここまで音が変わるというところに、ディスクリート音源の奥深さがある気がします。

氷(スリップアイス)が出るところまで問題が見当たらなかったのでこれで修理完了とします。ここまで大丈夫ならツララも大丈夫でしょう。

【作業内容】
・74LS629交換(不要だった可能性あり)
・ハーネスにRGB反転回路取付及びCL2ジャンパ
・ボリューム交換
・Z80及びプログラムROMのICソケット交換
・フィルムコンデンサ交換

テーブル筐体 (SEGA T-13)の整備

ジャンクのテーブル筐体を入手したので整備までの過程を記していきます。入手したのは1983年の『スタージャッカー』と同時にリリースされたT-13で、セガのシステム1やこの時代のアルファ電子タイトルを動かすにはピッタリな筐体です。引き取りから搬入まで手伝って頂いた知人には感謝。

筐体に張り付いていたステッカーによると1985年に製造されたようです。

購入時に把握しているのは以下でした。
・モニターは未チェック
・天板のカギは破壊済
・パネル欠品
・スピーカー欠品

電源を見るとテーカン製だったので、捨てて新品に交換しました。

+5Vの調整がやりづらいだけでなくACの線も短かったので、ACの線を延長して電源を平置きにしました。

付いているハーネスを見るとGNDの位置が変に見えますので、このハーネスは使わない方向で進めます。

動作している別のT-13のJAMMAハーネスを使って動作確認します。

無事に映像が出ました。モニターが死んでなくて良かったです。

スピーカーがなかったので同型のものを取り付けました。ちょうど線が2本出ていたので調べてみたところ予想通りSP+と-だったので接続します。

入手時に入っていた木の板は無理矢理入れられていたので、寸法を測り直したものをホームセンターで購入して入れました。寸法は403mm x 300mmでしたので、板がなくて困ってる人は参考にしてください。

36pinコネクタの配線図は調べた限り以下なので参考までにアップしておきます。

上記の配線図を使いJAMMAハーネスを作成しました。

動作は問題ありませんでした。映像、音、テストスイッチ、サービススイッチ、1P/2PスタートがOKです。コインシューターは反応が悪いので交換をする予定です。

1P STARTの効きが悪かったので、ガワを分解清掃してマイクロスイッチのみを新品に交換しました。

ついでに2P側も清掃してマイクロスイッチを新品にしました。スマイリーの褪せ具合に年期を感じます。

この先の予定は以下です。
・カギの交換、取付
・コインシューター交換
・パネル取付
・2P側への鉄板取り付け

芝商事でカギを4個と730A/Bを注文したので交換していきます。

新品に交換しただけあり100円玉がすんなり入っていきます。天板のカギは跡形もありませんでしたが、ベロが手元にあったので2個共取り付けました。

現物を元に背面の鉄板を作って貰いました。お値段は5k+送料と全然納得のいく金額です。購入したのは鉄板市場というサイトです。

背面に付けてみましたが中々いいんじゃないでしょうか。もう1台の背面パネルが無いT-13にも付けておいたのでこれで安心です。

パネルも入手したので、筐体の中に入っている9pinコネクタを生かす方向で配線します。調べた限りはこの配置ですが、GNDの場所も含めちゃんと各自テスターで調べてください。

レバーとボタンを新品で買ってきたので組み込みました。

インスト類を入れて完成です。上に荷物を置く可能性が高いので薄手のビニールシートを切って敷いています。ビニールシートに空気が入るのが少し気になりますが、ゲームは遊べるのでこのまま使っていきます。

同じアルファ電子の『スパークシックス』と向かい合わせで稼動させてみました。アルファブルーがブラウン管で煌々と輝いています。

アルファ電子 『バトルフィールド』の修理

久々に主人公の断末魔が聞きたくなったので『バトルフィールド』の基板を出して来たところ起動しません。プップップップッとリセットが掛かり続けている音が聞こえました。

68000(18)がRESETなので波形を見てみると波形が上下に動いています。

RESET信号はCPU横のカスタム、ALPHA-8511(2)にも繋がっています。カスタム不良だった場合は詰むので、カスタム不良ではないという前提で進めていきます。

ALPHA68Kは回路図がアップされているので、それを元に起動周りを追いかけると74LS193(7)がどう見ても変でした。ただ外してチェックしても関係なかったので別の所が原因となります。

よーく見てみると丸で囲んだ部分のパターンが切れています。調べると1P STARTへと繋がっていたので起動とは関係無かったですが、繋がないと遊べないので繋いでおきます。

外側のALPHA-INPUT84(黒塗りされている個体あり)だけ妙に錆びているのが気になります。最近ジャンクで拾ってきたのではなく、前々から自宅で管理していたので不思議です。ループレバーが要るし適当に絵出しだけして放置してたにしても錆は考えにくいです。

錆びてるカスタムを手元にあったALPHA-INPUT87へと交換しても進捗なし、そこから何日か見て手詰まりを感じたので知人に預けてみました。

「直った」と言われたので見てみると、ALPHA-INPUTが87から84のリプロに交換され、1本ジャンパが飛んでいました。黄色い丸で囲んだ部分がおそらく切れている部分でしょう。84と87は使われているICが違うので互換性はありません。

上部のパターン切れは見つけたので、下部もパターンが切れている可能性は確かにあったよなあと思います。少しでも怪しいと思ったらテスターで当たる癖を付けたいです。

無事に起動しています。

DIP1-6をONにすると無敵になるのでローマ時代の戦士を助けるところまでを確認しました。「古代ローマ時代」とは言いますが「ローマ時代」とは普通言わないんじゃないかなあと、この画面を見る度に思います。

同じ時空を旅して撃ちまくるシューティングの『ニンジャコマンドー』では「エジプト時代」と出るので、もしかしたらアルファ電子内では何かあったのかもしれません。

関係ないですが海外マスターシステム版『Time Soldiers』はアルファ電子が直々に移植しているのでかなり完成度が高いです。未だにお手頃な値段なのでとりあえず買いの1本。日本でのリリースも考えていたのかFM音源にも対応しています。

【作業内容】
・パターン修復
・カスタム(ALPHA-INPUT84)交換

データイースト 『ミッドナイトレジスタンス』の修理

1年のはじめには『ミッドナイトレジスタンス』を遊ぼうということで遊んでいたのですが、途中でこの画面から進まなくなりました。

これがその基板。海外版を国内版にコンバートしています。

交換されているSRAMの出力を調べてみるとLOWでしたがチェックしてみるとOK、動作品の基板の波形を見ても同じでした。速度に差があるように見えるので早い6116へと交換しておきます。

起動すると
・最初の警告文は出る
・その後は画面が真っ暗(クレジットは入る)
・ゲームが開始すると止まる
といった症状です。

グラフィックROM関連のSRAMの出力がおかしい→調べるとカスタム→カスタムが浮いている可能性を疑い再ハンダ・・・を2回繰り返しましたが特に変わりはありません。

次はソケット化されている68000を疑ってみようということで、手元にあった10MHzのものへと交換したところ問題無く立ち上がりました。本来は12MHzの68000を使用しているので発注をして一旦終了。

動作する12MHzの68000(×と書かれているが実際は動くのを確認済)に交換しても症状が変わりません。

起動に関わるというということでメインプログラムのSRAMを取り外してチェックするもOKと出ました。

立ち上げると特に止まることも絵が出なくなることもなく起動しています。何度か電源を入れ直したり軽めの衝撃を与えても止まりません。

ループレバーを取り付けている筐体に入れ、最後まで遊ぶことができました。新年一発目はこれを見たかった・・・ということで修理完了です。SRAMの接触不良だったのでしょう。

3ヶ月後にまた立ち上げたところ、2面のハシゴを下りられずに進行不能になりました。

もう一度立ち上げたらこの画面で止まりました。流石にメインプログラムのSRAM不良でしょう。

という訳で交換しました。

最後まで遊べたのでやっぱりここでした。ループレバーで一番面白いと思うタイトル。

【作業内容】
・メインプログラムのSRAMをソケット化
・各所を再ハンダ
・メインプログラムのSRAMx2交換

アイレム 『トロピカルエンジェル』の修理

「海外からジャンクを買ったから見て欲しい」ということで『トロピカルエンジェル』のジャンク基板を預かりました。

PROMの脚が根元からもげてる上にサビサビなので、なかなかのジャンク基板であることが感じられます。何とか修理完了まで辿り着いた北米版『戦場の狼』を思い出させます。あっちは回路図がありましたが今回は無し。

シールを剥がすと18S030と出たので82S123の互換です。他のPROMは82S129でしたがこれだけ82S123でした。

ソケットにPROMの脚が残留してたのでソケットごと交換しました。通電するとウンともスンとも言わないのでメインCPUから見ていきます。

Z80(6)のCLOCKが来ていません。

こちらもボロボロだったので新品のZ80へと交換しました。

CLOCKは来ましたが、まだウンともスンとも言わないので(24)のWAIT信号を見てみるとLOWになっていました。この波形がどこから来ているかを追いかけます。

4Nの74LS32(3)→(1)→5CのKNA6032601(26)と来ました。KNA6032601(26)がLOWでしたが、まだカスタムが故障とは断定できません。同じカスタムを使っている『スパルタンX』で見てみましょう。

『スパルタンX』ではHIGHなのでカスタムが死んでいると見て間違いないでしょう。

カスタムはリプロが買える時代になったので、最後にリプロへと交換することを前提に修理を進めます。まずは『スパルタンX』からKNA6032601を取り外します。

『トロピカルエンジェル』らしいものが立ち上がりましたがV-SYNCがダメです。この時点でかなりハードな展開となってきました。

回路図も無いのでsyncがどう行っているかを真面目に追いかけます。

エッジコネクタ→下ボードへ→R17→2Aの74LS367(7)→(6)→2Bの74LS08(8)が浮いています。(7)は波形が来ていますが(6)は来ていませんので、ここがsync不良の原因です。パターンを追いかけると4Lの74LS74(9)に行きますが、途中でパターンが切れていました。

パターンを繋いだところ同期が安定しました。なんとも言いがたい絵が出ただけですが、最初からすると大きな前進です。

動画などで見る限り最初に出るのはBGなので、上の画面はBG不良であると判断できます。BGはA-3C/3D/3Eに入っているのでここに関するSRAMを調べます。

波形がおかしいので外してチェックする必要があると見ました。

予想通りダメだったのでSRAMを交換しました。

立ち上げると相変わらず画面は化けてますが、何かそれらしいものが動いています。

背景がバケバケなのは上ボードの問題なのでもう少し追いかけてみます。もう1個のカスタム(KMA6032701)も『スパルタンX』から抜いて交換しましたが変化はありませんでした。こちらは無罪でしょう。

背景ROMのTA_A-3Eの脚が1つ曲がっていたので、多少の改善を信じて脚を戻していきます。

触ったら折れたので脚を補修して戻しました。それとプログラムは動いているのですが、たまに変なリセットが掛かるのでソケットを一通り交換します。

1日半くらい色々とICを取り外したり交換しても何も進捗がなかったので、KNA6032601がどこのICへと繋がっているか調査していきます。調べた限りは以下となりましたが、あくまでも参考程度、自己責任でご活用下さい。701はKNA6032701の略です。

これを調べている最中、23のパターンが切れているのを発見しました。

具体的にはこの「CN1」と書かれている部分のパターンが切れていました。ICがサビだらけのボロボロなのでパターンもそれ相応に切れているはずです。

他にもこの周辺のパターンが切れているに違いないとアタリを付け、以下のパターン切れを発見しました。
・4P(10)→6J(6)
・5P(10)→5L(6)
・701(22)→6J(5)
・701(24)→6J(14)

スプライトは全く出ませんが、背景とテキスト面はひとまずこれで大丈夫でしょう。スクロールすると画面にノイズが出るのは一旦放置。

下ボードですが、今まで以上のパターン切れが発生しています。パターンを見るためにICを外したりしたものもありますが、交換した後の波形を見る限りICも何個か壊れていました。

数日間パターン切れを調査するとようやくスプライトが見えてきました。最初下ボードの半分で波形が出ていなかったのですが、ここまで来るとPROM含めて波形が行き渡ってる気がします。あまりにも重傷なのでどこにどうジャンパを飛ばしたというメモさえないです。

もしかしてKNA6032701もまだパターン切れがあるかもしれないと思い、ソケットを取り外して調べてみましたが関係なかった模様です。本当に想像を絶する状態の悪さで、どこまでが正しいと判断して良いのか困ります。

多分これで合ってると思いますが自己責任でご活用下さい。

下ボードでパターン切れを直していくと何とか形らしいものは見えてきました。引き続きパターン切れを追いかけます。

82s123(15)=CEが浮いていました。このPROMがどうやら色を司っているので、ここさえ繋げば色が出るのではないでしょうか。

色が足りませんがスプライトに色が付きました。ちょっとやる気が出てきます。

スプライトが出ていない時の7Fの出力が見た限りおかしいです。入力は7Jの74LS367から来て、7Jへは6Jの74LS367から来ています。6J(11)の波形が怪しいので交換しました。

異様な波形は出なくなったのできっと直ったのでしょう。画面に変化はありません。

またしても写真はないですが2Hと3H(1)には波形が来ているのに、同じ74LS163で2Jと3J(1)には波形が来ていませんでした。これはおかしいということで追いかけると、3Aの74LS139(11)から出ている模様です。

導通していなかったのでジャンパを飛ばしたところ、アストラルビジョンしていたマリンガールが元に戻りました。色は抜けていますが、着実に前へは進んでいます。

色についてオシロで調べると、1BのPROMから出ていてその後は周辺の抵抗へと行っているのが分かります。

そしてRGBの3色だから右端のR14/15/16へと行っているだろうと思って見てみると正解でした。ただR15への波形が来ていません。やっぱりパターン切れでしょう。

頑張って追いかけた結果は以下のようです。
R14 → R2/3上
R15 → R4下
R16 → R8左
※部品面から見た場合

R15と該当箇所へのジャンパを飛ばしました。本当にパターンが切れまくっていて驚きます。

スプライトの色が正常に出ました。マリンガールのドットの上手さが際立ちます。

下ボードのジャンパのまとめです。大体20本くらいでしょうか。あとでテープで取れないようにしておきます。

最後にサウンドボードです。これはM52なので『ムーンパトロール』の回路図があるから何とかなるでしょう。

クリスタルがもげていました。全体的にボロボロなので、一番上となるとそれはもうといったところでしょうか。

EPROMは読み出せなかったので焼き直しましたが音が出ません。PSG音源(AY-3-8910)を抜いてみたら、脚が砕け散ったので在庫のものと交換しました。音楽も再生され(DIP 1-4をONにすると鳴る)、SEも出ているのでサウンドボードも直ったはずです。

遊べはするのですが、スクロールした際の画面ノイズが気になります。カスタム周辺のセラミックコンデンサが破損しているので、それを付けた上でどうなるのか見てみたいと思います。それとKMA6032701がダメになっている可能性もあります。

変えてないTTLがダメなんじゃないかと猫が示しているので交換しても特に変わらず。

知人に相談してみたところ「背景ROMのSRAMがリマーク品に見える。ちゃんとしたものに交換してみては」と答えが出たので別のSRAMに交換しました。

キャラ化けが解消されました。プログラムROMは同じSRAMで問題無いのに背景ROMでは発生しているのは、動作がシビアな部分に対応しきれていないからでしょう。なるべくリマーク品と思われるものは避けた方がいいなと心から思います。

暫く通電しておきましたが問題無かったのでこれで修理完了とします。過去最大級のジャンクでしたが直ったので良かったです。

【作業内容】
上ボード
・Z80交換
・KNA6032601(カスタム)交換
・パターン切れ修復複数
・SRAM交換
・IC交換

下ボード
・PROM焼き直し
・パターン切れ修復多数
・IC交換

サウンドボード
・もげたクリスタル付け直し
・EPROM焼き直し
・PSG(AY-3-8910)x2 交換

任天堂 『スーパーパンチアウト!!』の修理

壊れているから見て欲しいということで『スーパーパンチアウト!!』の基板を預かりました。

臨場感を出すために2画面並べてみましたが
・ボイスは出るが曲が流れない
・上画面が明らかにおかしい
といった状況です。曲が流れない問題から着手しましょう。

曲を出しているのは2A03の(1)(2)というのは『VSホーガンズアレイ』の時に調べたのでまたチェックします。どうも音が出ていないようです。ちなみにコインを入れて放置すると曲が鳴りっぱなしになるのでチェックの時には便利です。

予備で持っていた2A03へと交換したところ、(1)(2)から音が出ました。ただスピーカーへと音が出ないのでコンデンサ→LM324→抵抗と追いかけていきます。

音声はエッジコネクタ(51)と(52)から出ていて、どちらかがボイス、どちらかが音声に割り振られています。分ける意味もないのでまとめていたのですが、半田不良で音声の方が接続されていないというオチです。熱圧着チューブでまとめたので今後そういうことはないでしょう。

次は上画面の色化けについて調べていきます。ちょっと放置してたらゲーム&ウォッチみたいなロッキー熊五郎が出てきています。CHP1-01-BAKを動作品と交換すると症状が無くなったので、この基板に原因があるということでしょう。

こういう時はPROMだろうと思いオシロで調べてみると6E/6F/7Fの(1)(2)(3)(15)の波形が浮いています。回路図で調べると6Kの74LS157の出力から全て出ていました。

取り外してチェックする必要も感じられないので、切り飛ばして新品へと交換しました。

ロッキー熊五郎も色鮮やかに出てきたので直ったはずでしょう。『スーパーパンチアウト!!』や『PlayChoice-10』用に2画面環境を作ったのでそちらで映して動作確認します。

上下の画面を映すには反転基板x2が必要な上に、別に上画面はなくてもゲームが遊べるというのがなんとも言いがたいです。

よく見ると勝利ポーズのこの時だけ、右グローブの端の色が化けています。気になるので調べていきましょう。

主人公に関するROM周りはこの4つです。6N「a」とあるのは2764互換のMASK ROM、6N「b」とあるのは2564のEPROMでした。

CHP1-V 6Paを吸い出すとエラーの数が多いので、これがキャラ化けの原因かと思いきや違いました。(1)(27)はエラーが出ても問題無いので、この2つだけエラーが出たら挿入テストをスキップして吸えばOKなはずです。

ここから暫く2764タイプと2564タイプのボードの違いについて調べたり試行錯誤していても進捗はなく、ダメ元でROMテストに入ったところ8FにNGが出ました。

動作品から吸い出した8Fのデータを焼き直します。

ROMテストもOKと出ました。これで直っている可能性はあるので、早速世界のチャンピオンを殴りに行きましょう。

直りました。キャラ化けなのにプログラムROMのエラーという珍しいと思う結果でした。ROMチェックがあるならとりあえず掛けてみるというのは大事ですね。

また1周クリアまで確かめましたが違和感はなかったので修理完了でしょう。『スーパーパンチアウト!!』はお気に入りのタイトルなので、自分の手で直せて良かったです。ニンテンドーDSが発表された時に移植が出るかと思ったけど、まさか基板を買う方が早いとは思わなかったあの日。

【作業内容】
・2A03交換
・74LS157交換
・プログラムROM焼き直し

タイトー 『スペースインベーダー パートII』 (ミッドウェイ版) の修理

安いジャンクを見かけるとつい欲しくなっちゃう、そんな『スペースインベーダー』基板の修理です。ミッドウェイ基板は2枚目(1枚目はこちら)、『パートII』としては4枚目、『パートII』の基板で動くタイトーブラジルの『GALACTICA』も含めると5枚目と数字だけは伸びていきます。

今回はハーネスの利便性を重視し、サウンドボードのピンコネクタ→テーブル用Gコネクタの変換ハーネスを作成しました。

メモ書き程度ですが一応配線図を掲載しておきます。ネットにあるものだとピンコネの(10)が12Vで(11)がGNDとありますが、テスターで調べると(10)がGNDと導通しているので逆じゃないかと思います。確かめてから配線してください。

ハーネスを作ったのでスイッチオン、予想通り立ち上がりません。

毎度おなじみチェックROMを刺すと「8」「A」「B」のDRAMが死んでいる模様です。

外してチェックすると確かに死んでいます。

「8」「A」「B」に該当する場所のDRAMx3をチェック機で「OK」と出たものへと交換します。ミッドウェイの『インベーダー』はスルーホールがやられやすい気がするので、取り外すときは気をつけてください。

立ち上げるとRAM = OKと出て、サウンドも「UFO-H」以外全て出ました。ここまで来るともうゴールはすぐそこでしょう。

回路図上では「SAUCER HIT」に該当するLM3900はM4とM5です。M4を交換しても直らなかったのでM5も交換します。

UFO-Hの音も出るようになりました。今となっては入手困難なSHIFTERもOKと出たので、チェックROMから元のROMに戻します。

無事に立ち上がりました。基板や筐体には「DELUXE」と書いてありますが、ゲーム画面は「PART II」表記なので少し心配になりました。

何度かプレイも交えつつ、1時間ほど通電していても問題が無かったので、これで修理完了とします。3枚基板もかさばるとは思っていますが、L字(アップライト用)は輪を掛けてかさばるので棚に平置きで管理します。

【作業内容】
・DRAMx3交換
・LM3900x2交換

見城こうじ氏から見た『超翼戦騎エスティーク』デモ版

ビデオゲームの歴史や面白さに精通した見城こうじ氏が『超翼戦騎エスティーク』のデモ版をプレイしてくださり、貴重なご意見をお寄せくださいました。

見城氏は『マイコンBASICマガジン』で数々の記事を執筆されたほか、『コズモギャング・ザ・ビデオ』『コズモギャング・ザ・パズル』などの開発にも携わっています。見城氏のご感想は開発チームにとっても大きな励みとなりました。次回のバージョンでは見城氏のご意見を参考に、さらに進化した『エスティーク』を皆様へお届けできるように頑張ります。

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『超翼戦騎エスティーク』、プレイさせていただきました。すごく楽しかったです! ありがとうございました。以下に詳しい感想も書かせていただきますね。

(1)
駒林さんの好きなものが詰まってる感じが伝わってきて、とても良かったです。ショットもフルオートで爽快で、とても遊びやすかったです。
ボタン連打でスーパーウェポンというのは珍しいですね。プレイしていて暴発することもないですし、2ボタンしか使えない工夫として、なるほど面白いと思いました(セレクトボタンも使ってはいますが)。スーパーウェポンでボンバーのように別のボタンを押す必要がないというのは素早く使えてよいですね。

(2)
少しだけ気になったのは、けっこう序盤から複数の敵が混合で激しく(敵弾数も多く)攻めてくるので、ちょっとパニックになりました。
耐久力制ですぐに死ぬことはないので、難易度としては問題ないのかもしれませんが、序盤はもう少しだけ1~2種類の敵だけで構成するシーン(徐々にゲームを把握していく時間)があってもよいかもしれないと感じました。もしくは敵弾数を減らすか。
ただ、これはゲームのコンセプトによると思いますので、あくまで自分はそう感じた、というぐらいに思っていただければ。

(3)
ロボット形態と戦闘機形態の、スーパーウェポン以外の性能・特性の違いがちょっとわかりませんでした。SHIELDの回復時間がロボットと戦闘機形態で異なっていたので、何かバランス的に違いがあるのかなと思ったのですが、自分があまり上手くないということもあり、そこがわからなかったです(移動性能等、違うのでしょうか?)。

(4)
スーパーウェポンについては、攻撃力が高いというのはわかったのですが、射程が短かったり、持続時間が一瞬だったりして、そのメリットが少し伝わりにくかったかもしれません。射程や時間が短いのは、代わりにたくさん使えることでバランスを取っているように思いますので、「ここでこの敵に使うと強い(楽になる)」というのがよりわかりやすいと、その有り難さがさらによく伝わるように感じました(これもぼくが上手くないので使い方がわからなかっただけかもしれません)。

(5)
アイテムのWかBを何度も取った際に、多段パワーアップしているのか、それとも打ち止めになっているのかがわからなかったです。これ以上パワーアップしない側で取った場合は、(ただの得点アップアイテムになるのであれば)得点を表示するなどして、プレイヤーに打ち止めをわからせた方がよい気はしましたが、フィールドに得点を出さないタイプのゲームのようですので、それも難しそうですね。何かわかりやすくなるとよいと思うのですが。ゲーム説明に一言添えるだけでもよいかもしれません。

(6)
ボスのところで、アイテムのWとBが一度切り替わったぐらいで画面外に去ってしまったので、選んで取得する余裕があまりありませんでした(ボスがいるため前方に出ることができないから取得できるタイミングが短いことが理由?)。ただ、粘っていると何度も出るようなので、そういう考え方のゲーム(タイミングはシビアだが何度も出る)ということであれば、それでよいと思います。

以上です。

いろいろ書きましたが、ぼくはゲームのコンセプト・全体像・正確な仕様を把握していないので、見当はずれなことを書いているかもしれません。現時点のバージョンでもとても楽しく遊べています。最終的には駒林さんご自身が「これがおもしろいんだ」と思うものを貫いてほしいです。無事完成することをお祈りしています。頑張ってください。