カプコン 『セクションZ』(北米版)の修理

『アレスの翼』を立ち上げた際に、ついでに同じ基板ということで『セクションZ』(北米版)を起動しようとしたところ立ち上がりませんでした。昔ジャンクを買って直しましたが、殆ど覚えていないのでまた1から調べていきます。

Z80(6)のCLOCKが来ていませんので、ここから調べていきましょう。

Z80(6)から1Eの74LS367(5) → (4) から8Jの74LS32(11)へと辿り着きます。

74LS32(13)へはCLKが来ています。

IC自体は正常動作品なので、(12)がHIGHであることに問題があると見られます。

8Jの74LS32(12)は同じ74LS32の(3)へ、(2)は7Jの74LS74(9)へと繋がります。この74LS74(13)に問題があり、74LS74(13)は8Kの74LS08(6)へと繋がります。

8Kの74LS08(6)は出力であり、入力である(5)を見ると波形が浮いています。つまり繋がっている先のICが壊れているか断線しているかでしょう。

この基板自体断線しまくっていたことを思い出したので、同じ基板である『アレスの翼』を使って断線していないかを調べます。その結果、7Jの74LS74(6)へのパターンが切れていたので、クリップで接続したところ起動しました。

なんとも痛ましい裏面の写真。買った時はZ80とIC2個がソケット化されていましたが、高熱でハンダを吸い取ったのかパターンが殆ど断線してました。動作品を元にひたすらジャンパをしたのを思い出します。購入価格自体はまあ安かったですし、こうして動いているからヨシとしましょう。

パターンを繋いだら立ち上がりました。セクションFくらいで超高速レーザーが飛んできて嫌になり止めましたが、多分動作は大丈夫でしょう。

『セクションZ』の基板は『アレスの翼』と基本同じ、ということは冒頭で書きました。つまり『アレスの翼』のサウンドROMを『セクションZ』の基板に載せ、テストモードに入ると『アレスの翼』の曲が聴けます。途中で切れるネーム入れの曲が全部聴けるのがいいですね。

【作業内容】
・パターン修復

セガ 『フリッキー』の修理

「キャラがちらつくから見て欲しい」ということでセガの『フリッキー』の基板を預かりました。

確かにフリッキーやピヨピヨが正常に出ていません。写真にはありませんが、クリア後の<100><200><300>という文字が読めなくなってます。

スプライトを司っているのはIC12,13,22,23,32,33の2148です。取り外してチェックしようとしたらIC13とIC33のSRAMが砕け散りました。

砕け散ってはどうにもならないので、SRAMを新品に交換しました。IC23はチェックして問題なかったのでそのまま。

スプライトの問題は解決しました。やっぱりSRAMは取り外してチェックするのが良さそうですね。

写真だと分からない気がしますが、森のところがチラチラしています。

ROMを差し直したら解決するでしょうが、片側ソケットだしこの先の面でチラつくという可能性はあるので交換していきます。結局以前購入した『ピットフォールII』も背景ROMのソケットは全交換しました。

ソケットを交換して立ち上げたところ、当たり判定は出ない、色は変、フリッキーはジャンプしないという故障が発生したので見ていきます。

IC28の74LS153(3)、IC6の74LS157(14)、IC35の74LS157(11)が繋がっていますが、いずれも信号がコレでした。ここに信号が正しく入れば大きく前進する気がします。

テスターで変な出力をするTTLを探しても見つからず、導通先も見つからなかった(上記の3つは全て入力に行っているため、出力のICを探す必要がある)ので、断線の可能性から見ていきます。

『アップンダウン』の回路図で74LS153に繋がっている信号を見てみるとAD0~AD10というアドレス線を発見。『ピットフォールII』の基板が同じ作りをしているのでテスターで調べるとプログラムROMから信号が来ている模様です。

プログラムROMの先にあるIC124の74LS244(14)とIC28(3)をジャンパさせます。

一発で全部解決しました。

改めて裏面からジャンパします。

20面まで遊んで特に問題が見当たらなかったので、これで修理完了とします。

【作業内容】
・SRAM交換 x2
・背景ROMの片側ソケット交換 x6
・パターン修復

『フリッキー』にはいくつか思い出があるので、この場を借りて書いていきます。信じるも信じないも貴方次第。

その1
シカゴのゲームショップで箱説付のGenesis版『フリッキー』を45USDくらいで購入。「これでメガCDがなくても遊べるぜー」と思ったら、某mini収録予定リストに「『ゲームのかんづめ お徳用』、ダメなら『フリッキー』単品」と書いてあって少し暗い気持ちになった。

その2
某microは最初ロンチの『ペンゴ』をプッシュしようと思ったけど、諸般の事情があり『フリッキー』に変更。『フリッキー』のミニゲームを作ってたけど、これまた諸般の事情があってキャラを変えてROMを出した。最後に遊びづらいからってことになり慣性を取ったから『フリッキー』要素は0、茶トラのニャンニャンはさくらちゃんへ差し替え。

任天堂 『ドンキーコング』の修理 (2枚目)

ジャンクの『ドンキーコング』をまた入手しました。以前直した経験があるので、今回も何とかなるんじゃないかと思っています。

鉄板とスペーサーを取り外し、ママレモンで洗った状態です。ハーネスは前回作った物を流用します。

立ち上がったが起動しません。ウンともスンとも言わない故障がある中で、ちゃんとRGBで絵が出るだけラッキーじゃないかと思います。起動しないということはZ80、プログラムROM、SRAMの周辺でしょう。

プログラムROMをチェックしたら無罪、Z80を交換しても変わらずということなので、EPROMの波形を調べてみます。するとアドレス線の一部が浮いていました。

このアドレスはどこから来ているのか、別途購入した回路図で調べてみると6Bの74LS367から来ていました。

サビサビだったので切り飛ばして新品へと交換します。

サクッと立ち上がりました。キャラ、音、操作も問題ないないですが、青が出なくなってしまいました。

色に関しては2Jと2KのPROMが司っています。さっきは出ていたので、ソケットの接触不良であると見るのが順当でしょう。

PROMを少し浮かせたら色が出ました。

このままだとまた再発する可能性があるので、ソケットを2点交換しました。無理に全部変えないでもいいと思いますが、やっぱり片側ソケットは困ったもんだなと感じます。

発色は安定しました。

鉄板とスペーサーで組み上げ、一通り遊んだのでこれで修理完了とします。

いちいち取り外して挿すのもあまりにも面倒なので、この基板用にJAMMA変換ハーネス作成しました。立ち上げると映像に大きな乱れが出ています。

任天堂基板あるあるのボリューム接触不良だと思ったら的中。触ると症状がなくなりました。

確かにVR1のコネクタが割れています。

交換するほどでもないかなと思ったので、ハンダを流し込んでおきました。

問題なさそうなのでこれで修理完了でしょう。『ドンキーコング』は基板で持っているといいと思いますが、取り扱いの面倒さが足を引っ張ってしまいます。その分動いていると感動もひとしお。

【作業内容】
・基板洗浄
・74LS367交換
・ICソケット交換x2
・VR1補修
・JAMMA変換ハーネス作成

アルファ電子 『エクイテス』(海外版)の修理

スプライトが出なくなった海外版『エクイテス』です。サウンドボードに「EQUITES」と書かれたライセンスシールが貼ってあるのがいいですね。

ゲームは動いて音も出ますが、エクイテス(自機)などのスプライトが表示されていません。

スプライトのデータはMASK ROMのEQUITES-S1/S2/S3に格納されているので、それらのスプライトを司るSRAMの波形を見てみます。

何か怪しいなあと思って取り外すも問題無し。そもそもエラーだった場合、起動チェックで弾くでしょう。

5Bの74LS157の出力がLOW固定でした。入力には波形が来ているので、これは壊れていると思って間違いないでしょう。

交換するとスプライトが出てきました。ただレッドタイタンがグレーっぽくなっており、写真は爆死の瞬間なので分からないですが、エクイテスも青と白以外出ていません。

色と言えばCPUボードのPROMx3ですが、脚を磨いて元に戻しても何も変わりませんでした。動作品と入れ替えると故障は下のビデオボード、CPUボードは無罪が確定しました。

『エクイテス』はテストモードに入るとスプライトが常に表示されるので波形が追いやすいです。COIN 1とCOIN 2をTESTに配線するといいんじゃないでしょうか。サウンドテストも出来るしお得。

MASK ROM不良かなと思って交換してみましたがこちらも関係なし。しっかり奥まで挿さないとキャラ化けを起こすので注意。

EPROMから下流は問題なさそうなので、上流へと遡って波形を調べてみます。その結果ここの74LS273の出力がLOW固定でした。入力には波形が来ていたので、これも流石に故障でしょう。

交換しました。

立ち上げるとスプライトが色鮮やかに正常に表示されるようになりました。

首を横にしつつ1周 = 18kmまで動作確認したので修理完了とします。『エクイテス』が自分の手で直せて良かったです。

【作業内容】
・JAMMA変換ハーネス加工
・74LS157交換
・74LS273交換

コナミ 『スクランブル』の修理

コナミ純正の『スクランブル』です。ゲーム開始時に鳴るウィリアム・テル序曲が半分しか鳴っていないということで預かりました。

立ち上げるとクロスハッチから立ち上がりません。

上ボードのZ80に衝撃を与えたところ立ち上がりました。

Z80とPSGx2のソケットが片側ソケットです。立ち上がりが悪いのも音が半分出ないのもこのソケットが原因の可能性が高いです。

片側ソケットx3を交換しました。コナミの片側ソケット問題は『沙羅曼蛇』や『イー・アル・カンフー』でも対応しました。あとは修理日記にないけど『サーカスチャーリー』のキャラ化けもそうだったはず。

立ち上がりも安定し、問題無く音も鳴っています。暫く通電していましたが問題なさそうなのでこれで修理完了とします。あっさり。

【作業内容】
・ICソケット交換x3

タイトー 『スペースインベーダー パートII』の修理 (4枚目)

この修理日記の常連とも言える未チェックの『スペースインベーダー』シリーズ、今回は『スペースインベーダー パートII』です。過去ログ的な紹介ですが、eBayで拾ったジャンク1セット購入したジャンクの修理はこちら。

とりあえず動作品と組み合わせて上中下のボードをそれぞれ見ていきます。

まずは上ボードだけ起動して入れ替えてみると起動しません。上ボードが壊れているので見てみましょう。

暫くそのまま放置しているとテストROMが立ち上がっていました。音が一部鳴っていませんが、立ち上がらない問題を先に解決します。

ちょっと放置してから通電するとまた立ち上がりません。

時間が経つと起動する・・・という所からコンデンサを一通り交換してみると安定して起動するようになりました。

音声不良に話を戻すと、自機死亡音、インベーダーヒット音、エクステンドが鳴っていません。

自機死亡はIC26,IC27のLM3900、インベーダーヒット音はIC29,IC30のLM3900を交換すれば直りました。ただエクステンド音はLM3900を使っていないので、もう少し回路図を見てみます。

IC12の出力からエクステンド音が出るとあります。その一つ手前にあるIC17の556からIC12の74LS11(2)へ信号が入っていますが、74LS11(12)からの出力は何もありません。

IC12の74LS11を交換したところ、無事にエクステンド音が鳴りました。シフターもOKと出たので上ボードはこれで大丈夫でしょう。

中ボードは8080(7)の脚が切れていたので交換しました。その内壊れるだろうということで、定番のCPU近くのタンタルコンデンサも交換します。

下ボードはクロックに問題があるようです。テストROMを挿すと音は出ているので、映像が出ていないということでしょうか。

IC6の74161(14)がLOWというのはおかしい気がします。ただ74161(LSにするとダメっぽい)を交換しても変化はありませんでした。

IC12の7400(9)には波形が来ていますが、(8)がHIGH固定です。交換しても変化はないので、波形の来ていない(10)が怪しいでしょう。

7400(10)はIC4の7474(8)から来ています。回路図を見ると信号がIC6とIC4をグルグル回っているので、とりあえずこのIC4を交換してみます。

映像が出ましたが同期が取れていません。

同期信号=”COMP SYNC”を追いかけると、IC11の74LS55で合成されています。74LS55へ入っている信号の内、(4)がいわゆる波形ではなくLOWだったのでその先であるIC1の74S04(6)を追いかけます。

IC1の74S04(5)(6)がそれぞれLOWです。(5)がLOWなら(6)はHIGHにならないとおかしいはずです。74″S”04はちょっと貴重なので、念のため取り外してチェックしてみることにしました。

案の定壊れていました。『ゲットスター』の時に買った74S04を取り付けます。

同期もバッチリです。これで上中下全てのボードが直ったことでしょう。

組み上げてROMを『スペースインベーダー パートII』に戻しました。起動確認が取れたのでこれで修理完了とします。『インベーダー』は古いだけあり壊れやすいなあと思います。

【作業内容】
・コンデンサ交換
・LM3900x4交換
・74LS11交換
・8080近くのタンタルコンデンサ交換
・8080交換
・74161交換(不要?)
・7400交換(不要?)
・7474交換
・74S04交換

ナムコ 『パックマニア』 の修理

割と安かったので『パックマニア』の基板を買いました。基板に「SUPER PAC MAN」と書いてあるのが味わい深いです。

残機が5だったのでテストモードから変更しようと思ったら「RAM5 ERROR」と出ました。アタリ版のマニュアルにはエラーメッセージの項目があり、「RAM 5 ERROR ROM at loaction L5 on the CPU PCB」と書かれています。

L5はこの62256です。

手元に在庫があったので交換しました。確か『ストリートファイター』の時に買ったはず。

ROMテストも通り、ゲーム設定の変更も出来ました。テストモードだけやたらと輝度が高いのが不思議です。

暫く通電しておきましたが、異常は出なかったのでこれで修理完了とします。アタリ版『パックマニア』のマニュアルのおかげであっさり解決できました。

【作業内容】
・62256交換

任天堂 『ドンキーコング』の修理

毎度おなじみeBayで『ドンキーコング』のジャンク基板を購入しました。TKG-3と書かれているので二次ロットでしょうか。

やっぱり汚いのでママレモンで洗って天日干しにしました。

修理のしやすさを重視した結果、鉄板は取り外して間にプチプチを挟み動作確認をします。

ボリュームが不揃いな上に洗っていたら破損したので新品へと交換します。

物凄い時間を掛けてJAMMA変換ハーネスを作成しました。RGB反転回路とアンプが必須な上に、コネクタが多数ある上に電源入力が3本必要・・・と相当な面倒さです。

音が鳴って立ち上がり、タイトル画面の一部が出て止まります。初期起動は通るのでCPUエラーではなさそうです。

プログラムROMはこの4つです。

ROM脚が錆びていたのでヤスリ掛けで綺麗にしてから吸い出します。

MAMEのデータベース照らし合わせると5KのROMだけ一致しません。このROMがおかしいのは間違いないでしょう。

中を見ると池上通信機のメッセージが壊れずに入っていましたが、あとは一部アドレスが死んでいます。焼き直しましょう。

2532のEPROMは手元にないので注文をしたところでこの日はお開き。ついでにソケットを新品に交換しました。

5KのROMを焼いてみましたが症状は変わらず。

以前直した『ドンキーコングJr.』はメインプログラム用2114が原因でした。今回も可能性としてはあり得るので外してみましたがいずれも問題なさそうです。

やたらと汚いので、4Lの74LS138を調べると波形が明らかに変です。(12)を触るとマリオの死亡音が流れるので何かあると思います。

74LS138を交換したところ立ち上がりました。

サウンドや入力、グラフィックの表示は問題ありませんでした。

鉄板に戻していくとスペーサーが2個ありません。マルツで「CBSS-10-19」と調べたら出てくるスペーサーが同じっぽいので、購入して取り付けます。

海外版なので3周目でようやく50mが見られるのですが、そこまで確認出来たのでこれで修理完了とします。

【作業内容】
・基板洗浄
・ボリューム交換x2
・EPROM(5K)焼き直し
・ICソケット交換(不要の可能性あり)
・74LS138交換
・スペーサー取付

アルファ電子 『スカイソルジャー』の修理

ROMシールがSNKではなくアルファ電子という珍しい『スカイソルジャー』の基板を輸入しました。写真右下にループレバー用の13pinコネクタが残っているので、『バトルフィールド』から改造したのでしょうか。ちなみに基板は『バトルフィールド』と同じですので修理に興味があればどうぞ。

カスタムはALPHA-8713でした。使われているのがALPHA-8511だったと思いますが、きっと互換があるのでしょう。

立ち上げると自機の横に線が出ます。

スプライトのSRAMがメーカーから速度までバラバラです。

動作品を見ると120nsだったこととメーカーがバラバラなのが気になるので、手元にあった100nsの6226を取り付けました。ただ特に変わりません。何らかのTTLでしょう。

電圧が4.91Vだったので試しに5.00Vにすると自機の横線が消えました。ただ動作品は4.91Vでちらつかないので、何らかの問題があることには変わりがありません。

動作品と見比べていると3Jの74LS157(5)(8)の間に100pFのセラミックコンデンサがありません。外された後もないので、製造不良と考えていいのかと思います。

セラコンを取り付けました。

4.91Vにしてもキャラ化けが発生しないのでこの問題は解決したとみて良いでしょう。

触っていると画面が化けたのでソケットに問題があると判断し、スプライトとBGのソケットを一通り再ハンダしました。ある程度衝撃を与えても変化がないのでOKとしました。

『スカイソルジャー』はDIP1-4のOFF/ONで日本語/英語、1-5がSNK/ROMSTARの切り替えです。基板1枚で全リージョンが押さえられるというコレクターにも優しい基板です。

いつも通りママレモンで洗浄し、乾かしてみたところ音が出なくなりました。洗う前は動いていたので、何らかの衝撃による故障と考えられます。

L78M05CVの足が1本取れています。他の2本も無理矢理付けられていて驚きます。

無理矢理ハンダとクリップで繋いでみると音が出たので、この故障で間違いないでしょう。手元になかったのでマウザーで注文していったんお開き。

マウザーから新品が届きましたので取り付けます。

無事に音も出たのでこれで修理完了とします。tested workingとありましたが、かろうじて動いてたといった感じなのがやっぱりeBay。

【作業内容】
・基板洗浄
・3Jの74LS157(5)(8)の間にセラコン(100pF)取付
・スプライト用SRAMを揃える(しないでも問題はなさそう)
・スプライトとBG用SRAMのソケット再ハンダ
・L78M05CV交換