タイトー 『スペースインベーダー パートII』の修理 (2枚目)

何枚か『スペースインベーダー』の基板を触っていると欲しくなったので、海外で未チェックジャンクの基板を安く引っ張ってきました。金属ケース無しで汚れと修理痕がありますが、eBayのジャンクなのでこんなものでしょう。

『インベーダー』は移動音の出ない『パートII』1PスタートとDIPが効かないミッドウェイ版に続く3枚目です。

立ち上げると音もなくこの画面で止まります。起動すると大音量でSEが流れるのですが、それもないということはサウンド部分の故障もある模様です。

写真はないですが、8080CPUのリセット信号がHIGHになっていました。Z80と違いこの信号がLOWになっていないと立ち上がらないので、回路図から信号を追いかけます。

IC8の74161(15)が出力となっていたので、取り外そうとするともげてしまいました。この43年間でこの基板にどのようなことがあったのか・・・、考えれば考えるだけ不思議になります。

ジャンク基板から74LS161を持ってきたので交換します。立ち上げたらどうなるのか・・・!

無事に起動しました。パースが付いているだけでなく「A」部分がインベーダーになっているところがオシャレで好きです。

デモ画面に遷移するとインベーダーの形が変なことになっています。DRAMかシフターのどっちかではないかと予想しつつ、毎度おなじみインベーダーテストROMを立ち上げます。

シフターのNGが出ました。このタイプの基板はIC3のMB14241がシフターの役割を担っているので、ICの脚とソケットを調べてみましょう。

脚が折れていました。ソケットに脚が残留していたのもあるので、脚の補修とソケット交換を行います。

サビをヤスリで磨いてから替えの脚を装着しました。以前直した『ゲットスター』のように脚がもろくなくてよかったです。

「SHIFTERS = OK」と出たのでこれでヨシでしょう。あとは全く音が出ないという問題です。

音が全く出ない問題の答えは簡単で、アンプの先のコンデンサがありませんでした。

回路図によると16V1000μFと書かれていましたが、手元にあった25V1000μFを付けていきます。立ち上げると音が出るようになりました。

前オーナーにより、物理的に高いソケットにへと交換されています。

裏面を見るとスルーホールが無くなっていたり、芋ハンダや汚れも目立ちます。全て取り外してソケット交換+ソケット化、ついでに清掃も行いたいと思います。

ソケット化されていたIC26とIC27はパターンが切れまくっていたので修復しました。これで立ち上げるとショット音が長いというトラブル以外全て動作するようになりました。

テスターやオシロで色々と当たってみるとIC26の2と3が接触していました。一旦ハンダを取り除き、再ハンダしたらショット音が正常に再生されました。ソケットを付ける際にテスターで接触確認をすべきだったと悔やまれます。

基板があまりにも汚かったのでママレモンで洗浄し、スペーサーとネジで組み上げたところかなり見た目が良くなりました。3面クリアまで遊んだ上で問題がないと判断したので、これで修理完了とします。

【作業内容】
・基板洗浄
・74161を74LS161に交換
・MB14241修復
・ソケット交換
・コンデンサ(25V1000μF)取付
・パターン修復

カプコン 『1942』 の修理

純正未チェックの『1942』を入手しました。かなり基板が綺麗なので嬉しい買い物です。

コピー基板でもCAPCOMの印字がされていますので、PSG音源に「No.xxxxx CAPCOM」とシールがある、ROMシールは黄色い丸にSRと印刷という所から判断されるのが良いかと思います。海外版や後期ロット(?)は従来のカプコン銀シールです。早速通電してみましょう。

タイトルロゴやスコアなどのテキストが出ません。前に見たコピー基板では該当EPROMの波形チェック→接触不良発見という流れだったので、過去の成功に倣い今回も該当EPROM(F2,SR_02)から見てみましょう。

EPROMの3(A7),4(A6),5(A5),6(A4)がHIGH固定になっています。これが故障の要因なのは間違いないので、どのICが原因でこの波形を出しているのか遡っていきましょう。

EPROMの(3)はC2の74LS273(6)に行き、入力の(7)を見ると波形が浮いています。浮いた波形からHIGH固定を出力しているので、このICは動作していると判断。一つ上のC3の74L273をチェックします。

入力の信号は来ているのに、出力が浮いた波形になっているので、C3の74LS273の故障は確定です。取り外してチェックする必要もないのでニッパーで切って取り外します。

取り外してソケット化+新品の74LS273に交換しました。今回は84年製の富士通製でした。

テキスト類が表示されています。2面クリアまで確認しましたが問題なかったので、これで修理完了でしょう。

【作業内容】
・74LS273交換

タイトー 『スペースインベーダー』 (ミッドウェイ版) の修理

ミッドウェイ版『スペースインベーダー』の基板を海外から購入しました。「修理済み動作OK」と書かれているだけあり、多くのICがソケット化された上で交換されています。『スペースインベーダー』を触るのはこの前の『パートII』以来2枚目です。

早速JAMMAハーネスを作りました。マザーボードのTコネクタはテーブル版『スペースインベーダー』の流用が効きますが、ピンコネクタ部分が独自です。『ナイトストライカー』のハーネス制作時に買ったタイトーHコネクタと同等品が使えそうなのでそのまま使いました。

ハーネスができたので立ち上げてみましょう。

立ち上がってコインが入るのにスタートボタンが効きません。ハーネスの不備を疑いましたが、該当ピンとJAMMAハーネス間で導通しています。これはもう基板の故障でしょう。

ちなみにこの小型液晶はHDMIとコンポジが入るからと買いましたが、『インベーダー』の白黒の信号も映るのでそれなりに便利な気がします。Amazonのリンクを貼っておきますので興味ある方いたらどうぞ。こちらです。

回路図を元に1P STARTの信号を追っていくと、7414(11)から(10)に行っています。

ボタンを押すと(11)の波形は動いていますが、(10)は写真のまま全く波形が動いていません。試しに2P START出力である(12)の信号を見てみると動きがあるので、この7414の不良で確定でしょう。

カスタムの抜かれたジャンクの『名人戦』に74LS14があったので移植しました。立ち上げてコインを入れてスタートが・・・効きました。

ゲームは遊べるようになりましたがDIPスイッチの設定が反映されていません。DIPをONにしてテスターで当たったところ導通していない、つまりONになっていないので壊れているのでしょう。

取り外してみると確かにボロボロです。動作品とは一体・・・と思いますが、オークションなので多分そんなものでしょう。8連DIPスイッチが取れるジャンク基板を探します。

別のジャンク基板からDIPスイッチを移植しました。立ち上げるとDIPの設定は効いたのでこれで修理完了でしょう。

動作確認として何度か遊んだところ、UFOに弾がヒットしたのにヒットと処理されないことがありました。まだ完治していない可能性が高いのでもう少し見ていきます。

『インベーダー』のチェックROMを使ったところ、そもそも立ち上がらないというトラブルが発生しました。押し込むと先に進んだのでICソケット不良と判断、見てみると当時物だったので交換しました。

チェックROMは立ち上がりましたが、シフターのエラーが出て止まりました。シフターについて調べると「スプライト機能のない基板でオブジェクト描画に必要な操作を高速化する」と書いてありました。オブジェクト描画がおかしいからUFOの判定がおかしい、と考えれば納得できます。

色々と見ていきましたが、ジャンパされていた線が外れていました。「誰かがジャンパしたんだから付いてるだろうヨシ」という思い込みが余計な時間を食った結果ですね。

他の基板のパターンや長さから推測して本来あるべき場所に戻していきます。

SHIFTERS = OK と出ました。やっぱりあのパターン切れが故障の原因です。梱包中に外れたか輸送中に外れてしまったのでしょう。

遊んだ限りこれで大丈夫なはずです。動作品と書かれていましたが、移動中のトラブルもあるでしょうし、こちらで弄っている間にジャンパが取れた可能性もあります。とりあえず問題なく動いているのでヨシとしましょう。

【作業内容】
・7414を74LS14に交換
・DIPスイッチ交換
・ICソケット交換
・パターン切れ修復

コナミ 『沙羅曼蛇』 の修理 x2

調子の悪い『沙羅曼蛇』の基板を2枚お預かりしました。1枚はキャラ化け、もう1枚は起動画面から先にいかないといった症状です。キャラ化けの方から見ていきましょう。

上部と下部のテキストとスプライトの表示がおかしいです。下ボードはバブルボードであり、『ネメシス』の回路図があるので参考に見てみましょう。スプライトは回路図上だとOBJのはずなので、その信号が入っているSRAMやDRAMの波形を見ていきます。

8HにあるDRAMのTMM4164AP(7)の信号がHIGH固定でした。7はA1(アドレス)なので、ここがHIGH固定というのは考えにくいです。この信号を出しているのは10Hの74LS244(3)でしたので交換しましょう。

244を交換するだけで直りました。DRAMのアドレス信号は縦に全部繋がっているので、キャラとテキストの一部が仲良く化けたのでしょう。6面まで遊びましたが問題はありませんでした。

次は起動しない『沙羅曼蛇』です。まずは上ボードのEPROM2個とMASKROM2個が正常かどうか確かめます。MASKROMの吸い出しは
・32pinソケットを買ってきて32,31,30をジャンパ
・27C1000として吸い出す(ICソケットとIDチェックは飛ばす
でできました。

吸い出したところROMは全て正常でした。基板に戻して通電するとタイトル画面まで出ましたが、変な音が流れるといった具合です。起動に関しては故障ではなく接触の問題ですので、ソケットの交換を行いました。変な音が流れるのも接触不良ではないかと思うので、6個まとめて交換します。

ロゴがKonamiの頃はこの片側ソケットを多用しており、接触不良の温床となっています。過去にキャラバケする『サーカスチャーリー』を手に入れましたが、片側ソケットの交換で直りました。(先日直した『タイムパイロット’84』は特に問題なかったのでそのままですが、ダメになった時に考えればよいかなと思います。)

特に問題が出ることなく起動しました。ある程度遊びましたが問題がなかったので、これで修理完了とします。

今回お預かりした『沙羅曼蛇』の基板は、両方とも比較的簡単に特定ができて良かったです。持っている方も多い基板ですので、もし壊れた際にはこの記事が少しでもお役に立てればと思います。

【作業内容】
1枚目
・下ボードの74LS244交換
2枚目
・上ボードのICソケット交換x6

東亜プラン 『ゲットスター』 の修理

東亜プランの傑作である『ゲットスター』の基板を入手しました。ROMシールはオレンジががった金だけだと思っていましたが、こちらは三菱の銀シールのバージョンです(両方とも純正)。ゴミみたいな絵が出て起動しないと書かれていたので早速見てみましょう。

立ち上げるとROM CHECKと出て画面が止まります。CPUかプログラムROMが怪しいので、プログラムROMを見てみます。

プログラムROMはZ80横のA68-00,A68-01,A68-02の3つで構成されています。写真右上の2個並んでいるROMはテキスト、左上の4個並んでいるのは背景のROMとなります。

脚の一部が錆びていてボロボロになっており、少し触ったら根元から取れたEPROMもありました。

折れた脚を修復し、根元から取れたEPROMは吸い出した上で焼き直しました。ちなみにEPROMの中身はすでに持っている国内版の『ゲットスター』と同一のものでした。

立ち上がりました。スプライトが出ているのは動作品の上ボードを使っているからです。スコアやロゴなどの出力不良を見ましょう。

ROMを外すと脚が折れていましたので付け直します。

SRAMの信号が出ていないので、とりあえず交換してみるかと交換したところ画面が出なくなりました。クレジットが入ってゲームが動いているようなので、テキスト周りの不具合のはずです。

落ち着いてSRAMの波形を見ていくと、(18)CSと(20)OEの波形が変でした。(20)の先を追うと4Dの74LS157(9)です。データシートだと9は出力なので、このIC不良とみて間違いないでしょう。

外してソケット化した上で新品に交換しました。

テキスト周りの絵が出てきました。上からスコア、ロゴ、INSERT COIN、(C)TAITOと出ているはずです。

EPROM付近のICを片っ端からオシロで追いかけると7Hの74LS157(4)の波形が変でした。4は出力なので、この157は交換対象のはずです。

サクッと手元の新品と交換しました。左の「×」と書かれている74LS32は無罪でした。何のトラップだったんだ。

見事にテキスト周りが復活しました。次は色のおかしい背景を見ていきます。

EPROMとソケットは問題なかったので、EPROM周辺のICを調べていくと、5Qの74LS174(2)(5)(7)(10)(12)が変です。データシートだといずれもQと書かれている出力になるので、ここも壊れているのでしょう。

という訳で交換しました。富士通製のICの不良が多い気がします。

背景の色は正常になりましたが、テキスト部分にゴミが出ただけでなく、ゲットスターの登場音がスローになっています。

音が遅いのはCPUへのクロックが落ちているからでした。画面にゴミが出るのもCPUへのクロックが本来より落ちているためであると推測するので、Z80(6)のクロックを追いかけていきます。

7Mの74LS04(6)→(5)→7Kの74LS393(11)→(13)→7Jの74S163(9)
7K(13)→7M(10)→7J(15)
となったので、7Jの74S163に辿り着いています。

断定はできませんが、とりあえず丁寧に外してみてICチェックに掛けてみましょう。

これだけICテストでエラーが出ているので交換対象でしょう。

こちらもソケット化した上で手元の74LS163に交換しました。

テキストのゴミは消えました。ただサウンドの再生が遅いという問題が解決していません。サウンド関連は上ボードなのに、下ボードに問題があるようなので見ていきましょう。

上ボードのZ80のCLOCKを追いかけると下ボードの7Lの74S04へ辿り着きましたので交換すると症状が悪化しました。よく見てみるとこの2つのICは74「S」136と74「S」04であり、LSではありません。調べるとSは高速化され消費電力が大きい(動作周波数56kHz)、LSは低消費電力版(28kHz)とあります。この2つをSからLSにすることで(1/2)^2の1/4のクロックしかCPUに来ていないことになります。

74S163と74S04へと交換すると音声の再生も正しい速度になりました。これで下ボードは修理完了でしょう。

上ボードを交換するとスプライトも音も出ないといった状況です。音はなんとかなるでしょうから、先にスプライトを見ていきます。

EPROMは問題がなかったので、EPROM付近の波形を見て怪しいところを追いかけていきます。2Tの74LS157(4)(7)と出力が2個出ていない、1Aの74LS04、5Bの74LS04も出力不良があったので交換しました。

スプライトの出力に必要なSRAM付近のICを見ていくと5Lの74LS174(5)(7)(10)が変ですので交換しました。いずれもQ出力なので納得の壊れ方です。

スプライトの何かが見えてきましたので前進しています。このまま怪しい波形を見ていきましょう。

だんだん画像もなくなっていきますが、5MのSRAM、MBM2148L(1)(2)(3)(11)の出力が死んでいましたので、パターンを追いかけます。すると4Rの74LS157(4)(7)(8)(12)へと繋がっていたので、この157の不良で間違いないでしょう。

交換したところ色はおかしく、ヒットボックスが出ていますが、スプライトが更に出てきました。

2HのSRAM(25)に信号が来ていないという問題も見つけたのでパターンを追います。4Eの74LS174(2)に来ていたので、その隣の(3)を見ると浮いています。

2Eの74LS367(5)との間でパターンが切れていたので繋いだところSRAM(25)に信号が来ました。

スプライトのパレットが変で、ヒットボックス化しているのはEPROM付近のICが怪しいと睨み、付近を片っ端から調べると7Lの74LS08(5)がHIGH固定でした。ここは入力なので出力を追いかけると、9Kの74LS166(13)に辿り着きます。13はPARALLEL OUTPUTとあるので、このIC不良で間違いないでしょう。

74LS166の新品はなかったので、6116目当てに購入したジャンクの『ジャントツ』から拝借します。

スプライトの問題は全て解決しました。動作品の『ゲットスター』と安オシロ、諦めない心のおかげでここまで来ました。あとはサウンドの問題です。

オーディオプローブでYM2149からアンプの出力まで追いかけたところ、C24のコンデンサが抜かれていることに気付きました。

16V470μFのコンデンサが動作品に付いていたので、手元にあった25V470μFを取り付けました。音は問題なく出力されています。

起動すらしなかった『ゲットスター』がようやく問題なく遊べるようになりました。元から面白いゲームですが、その面白さが3割増しで感じられます。1周したけど問題ないのでこれで修理完了とします。

【作業内容】
・EPROM修復、焼き直し
・74S04交換
・74LS04x2 交換
・74LS157x4 交換
・74S163交換
・74LS166交換
・74LS174x2 交換
・パターン切れ修復
・コンデンサ(25V470μF)取付

タイトー 『フィールドゴール』 の修理

タイトーの『フィールドゴール』が壊れたとのことなのでお預かりしました。『サーカス』(風船割り)の世界をアメフトに置き換えている、コミカルな雰囲気の漂うブロック崩しの亜流です。

手元にハーネスはないので作成からです。この前作成した『スペースインベーダー』のハーネスとTコネクタは同じなので、具材節約のために『フィールドゴール』Gコネ→『インベーダー』Gコネのハーネスを作りました。

Webにあるマニュアルを追って配線図を作りましたので、こちらにもアップしておきます。※自己責任でお願いします。

立ち上げたところ、画面右の一部が消えているだけでなく、選手にボールを当てた時の「ぱぉぱぉぱぉぷおぉー」といった声が限りなく小さいです。

画面右が消えている症状は、時間を置くと徐々に復活しているように見えます。サウンドは後回しにしてこちらから見ていきましょう。

PROMのソケットが白い→古いタイプのソケット→接触不良になりやすいと判断し、試しにM11のPROMを抜いて脚を磨いて戻したところ改善しました。このソケットのままだと、また動作不良になる可能性もあるので交換してみます。

という訳で画面右の一部が見えない問題は解決しました。次は「ぱぉぱぉぱぉぷおぉー」の音です。

筐体に貼ってあったボリュームの対応表です。ボリュームが実際にどのサウンドを指すのかいまいち分かりづらいと思います。「ぱぉぱぉぱぉぷおぉー」はVR6「ホワード選手が倒れた時の”ポン”の音量調整です。」に該当すると思ったら、VR4「選手にボールをパスした時のホワードヒット音です。」が正解です。胴体に当たっても怒ってるだけだし、頭に当たったら倒れるから「パス」ではないだろうと判断したのが原因でした。

当時のチラシには「走っている選手にボールをパスすると、その背番号の100倍が加算されます(頭にボールが当たると倒れます)。またボールを取りそこなうと、くやしがったりする動作がコミカルで、ゲームを一層楽しくしてくれます。」と表記がありました。

選手にボールを当てるのではなくパスをしている、怒っているのではなく悔しがっているというのが新発見でした。あの時代にここまでの要素を盛り込んだというのは特筆すべきではないでしょうか。

修理に話を戻しますが、回路図だとVRの数字が一つ若いのは『インベーダー』で学んだので、回路図上ではVR3を追っていきます。

ボリューム手前のM67(MC3340)の1では爆音で「ぱぉぱぉぱぉぷおぉー」が出るのに、出力は音量が小さくなっていました。限りなく怪しいのでMC3340を発注し、店頭受け取りの準備が整うのを待つばかりです。

約1週間後、MC3340を受け取ったので、ソケット化の上で交換しました。

これで完治・・・と思い立ち上げるとパドルが左に入りっぱなしという状況になっていました。

何度かゲームを開始させると、ボールがいい感じに跳ね返り「ぱぉぱぉぱぉぷおぉー」は聴けましたが、ゲームができないのでそれ以前の問題です。

オシロを片手に回路図上の「1 PLAYER CONTROL」信号を追いかけていくと、M62の74LS74の出力が1つHIGH固定でした。

試しにピギーバックしてみるとパドルが反応したので、このIC不良が原因で間違いないでしょう・・・ということで交換しました。

問題なくゲームが遊べるようになりました。ある程度遊び、各ボリュームの対応するだろう音声の出力も確認したので、これで修理完了とします。

【作業内容】
・ソケット交換
・MC3340交換
・74LS74交換

ストリートファイター展 | 俺より強いやつらの世界展 |に協力致しました

弊社キャット・ホイ商事は、ストリートファイター展 | 俺より強いやつらの世界展 |大阪会場の設営に協力致しました。

稼働タイトル(『ファイナルファイト』、『スーパーストリートファイターIIX』)とそれに伴うオペレーションのご提案、基板の貸し出し、筐体手配の協力(ナツゲーミュージアム様と共同)・・・と体験コーナーの筐体周り全般を担当しています。

そして「『ストII』は対戦があってこそであり、その様子は別画面に中継したい」という要望を受け、中継ハーネスの作成、アップスキャンコンバーターも含めた貸し出しも行いました。

開催初日には実際にフロアに立ちオペレーションやお客様の案内のヘルプも行いました。海外からのお客様と『ストII』を介してのコミュニケーションを行うという大変貴重な体験をさせて頂きました。

後日『ファイナルファイト』のポスターも貸し出し致しました(『スパIIX』はカプコン様所有品)。筐体の横にポスターがあることで、より作品の魅力が引き立っていると思います。

貴重な原画は写真撮影OK、最新作である『ストリートファイター6』の体験や充実した物販もございますので、『ストII』シリーズに少しでも興味があれば是非お越しください。

コナミ 『タイムパイロット’84』 の修理

海外からジャンクと分かって輸入した『タイムパイロット’84』の基板です。上ボードは動作する、カスタムは無事、ゴミみたいな画面が出て止まるといった症状が書かれていました。早速立ち上げてみましょう。

立ち上げると確かに起動しません。ちょっとだけアニメーションがありますので、起動しようとしているけど何かが邪魔をしている感じでしょうか。

こういう時はCPUを疑うべきなので、6809のリセット信号(37)を見てみましょう。

リセット信号が上下に動いているのは異常事態です。この上下に動く波形を回路図から追っていきます。

IC12Gの6809(37)←(2)←13Hの74LS04(1)←(8)←13Gの74LS10(9)←(12)←13Hの74LS04(13)←(8)←14Hの74LS293と辿り着きました。

74LS29はR0(1)とR0(2)に波形が入っていないとカウント動作になります。つまりはリセットを繰り返しているのはR0(1)とR0(2)に波形が来ていないからとなるはずです。

信号を追いかけると、74LS293(12)(13)←(8)←8Gの74LS00(9)←(6)←15Jの74LS32(4)←MAFRと来ました。

MAFRと書かれている信号が浮いているのでほぼほぼコイツでしょう。

回路図を見ていくと3Aの74LS138の15から変な信号が出ていました。入力は来ており出力が浮いているので、このICが不良と見て間違いないはずです。

74LS138を交換したら起動しました。5面まで遊びましたが特に異常はなかったので、これで修理完了とします。

【作業内容】
・74LS138交換

タイトー 『スペースインベーダー パートII』の修理

今回は『スペースインベーダーパートII』の修理です。インベーダーの移動音がしないということでお預かりしました。

こちらが基板の写真。「TAITO」のロゴが眩しい純正基板です。

インベーダー系基板は手元にないのでJAMMA変換ハーネスから作っていきます。

起動しました。コインを入れてスタートすると再起動するというトラブルに見舞われましたが、下ボードのROMの刺さりが甘かっただけでした。ROMを押し込むことで多少の衝撃を加えても問題なく遊べるようになりました。

説明書や回路図を元に、各ボリュームの対応図をまとめました。

今回は回路図を元にSTEPの信号を追いかけていきます。

26の556→27の7411→100Ω→100Ω→10kΩ→ボリュームとなっているので、オシロとオーディオプローブで566から順に見ていきます。

インベーダーの移動に合わせて波形も出ており、ボリュームの入力部分までごくわずかですが音声が来ていました。インベーダーの上ボードは左に回せば音が大きくなりますが、付け替えられているボリュームは逆だったのもハマりかけた一因です。

よく見るとボリュームは50kΩ(503)なのに交換されたものは10kΩ(103)になっています。外して同じ抵抗値のものを付けます。

同じ抵抗値のボリュームを付けました。これで左回しにすると音量が上がるようになりました。

正しい抵抗値のものにしましたが、引き続き他の効果音に比べると低めです。他の効果音の音量を下げてマスターボリュームを上げることでバランスの良い音量に調整しましたが、マスターボリュームをかなり上げても全体音量が低い気がします。

マスターボリュームのオペアンプであるLM3900Nがソケット化されていたので、試しに手元の新品と交換したところ音量が急激に大きくなりました。LM3900Nはソケット化した方がいいと言われている理由が少し分かった気がします。

【作業内容】
・プログラムROMの挿し直し
・ボリューム交換(10kΩ→50kΩ)
・LM3900N交換

セガ 『ペンゴ』 の修理

セガの名作『ペンゴ』の純正基板です。開発はコアランドだそうですが、現在の権利はセガのものです。

キャラ化けしています。

それだけでなくコインを入れてスタートすると、この画面でフリーズした後にリセットします。

キャラに関するROMはEPR-1640とEPR-1695の2個ですのでここから見ていきましょう。吸い出してデータが一致するか調べたところ正常品でした。戻す際に脚を磨いたらフリーズがなくなったので、そこは接触不良が原因だったのでしょう。

触るとキャラ化けの具合が少し変化するので、念のためICソケットを2個交換しました。

回路図を見ていくとEPROMのデータ信号はIC91の74LS194、IC104の74LS157、IC98の74LS194を通るそうです。

今挙げた3つのICの波形をオシロで調べるとIC104の2と6の波形が変です。この波形の先はIC35の74LS08の11でした。パターン切れではなかったので、入力側の12と13の波形を見てみましょう。

入力は2個来ているけど出力が正常ではない模様です。この74LS08が不良とみて間違いないでしょう。

綺麗に外してチェックを掛けるまでもないので、脚を切ってICを交換します。

直りました。たまに起動がこける時がありましたが、プログラム部分のEPROMの脚を磨いて挿し直したら改善しましたので、これで完了とします。

【作業内容】
・ソケット交換x2
・74LS08交換
・EPROMの脚を磨いて挿し直し